春だから


 温かくなってきて、うずうずするのはレジャーのムシ。
 一番にうずうずしていたのは夫だったようで・・・

 3学期終了式前日の日曜日、家族でお出かけ。
いつもなら公園へ行くところですが、土曜日が雨だったため、公園のぬかるみはNG。普通の子どもならよけて歩くぬかるみも、悠太・光太は大喜びで突進してしまいますから。
 そこで、泥んこの心配なく遊べる交通科学館へ向けて出発。
 最高気温20度を越す、ぽかぽか陽気のこの日。
「そういえばお父さん、ずっと動物園行きたい、って言ってたよねえ」
つい私が口走ってしまいました。

夫はしばらく前から、ことあるごとに「動物園行こうよー」と言っていたのです。
 水遊びもできない冬場に悠太・光太が動物園へ行って喜ぶわけもなく。夫はただ「普段とは違うことをしたい、普段とは違うとこに行きたい」。現実逃避ですな。

 しまった!と思ったときには遅かった。
 夫の目がキラキラ。「動物園、行きたい・・・動物園。動物園行こっ!」
 動物園に行くと、親の体力の消耗が激しいのです。広い園内、上り坂、下り坂、歩かない子どもをおんぶに抱っこですから。
 仕方ない。それを覚悟で行くか。
 急遽、動物園へ行き先変更です。

 動物園に着くなり、アクシデント。
「光太、おしっこしてる〜(涙)」
「どうすんのっ。着替え持ってきてないよっ!もういい、このままで。光太、我慢しろ。乾く、乾く!」(ひどい親・・・)

 意外にも悠太はノリノリ。売店で風車を購入。そうだよね。この間来た時も、ここで風車を買ったもんね。よく覚えているなあ。

 子供向け遊具のある公園スペースは、悠太・光太よりも小さい子向けだったらしく、二人とも気が進まない様子。
 間がもたず、園内を散歩してみることにしました。
 もちろん、動物に興味ゼロの二人は、「お父さん、抱っこ〜」「お母さん、おんぶ〜」です。
 「悠ちゃん、しまうまよー」「ぞうさんだよー」「きりんさんだよー」
 見ちゃいねえ。

 はた、と、光太が急におんぶから下りて、歩き始めました。
 やれやれ、ラクちん、ラクちん。
 そう思ったのもつかの間。光太はぐんぐん歩いていきます。まるで何かを探しているかのよう。
 何かを。どこかを。
 そして、発見!
 「それ」が視界に入るなり、猛ダッシュ!
 光太の視線の先には、水遊びのできる「ぴーちくパーク」が。

 ニコニコの光太。暖かかったこの日、水遊びスペースには、数人の子どもが入って水遊びしていました。もちろん、その子どもたちは、すそをまくり、服が濡れないようにと節度を守って。

光太はお水には興味を示さず、吊り橋の「ゆらゆら橋」へ行きたい様子。でも、ゆらゆら橋へ行くには、お水の中の飛び石の上を渡って行かなければいけません。
濡れるといけないからね、と靴・靴下を脱がせ、ズボンの裾をまくり、「ほら、ゆらゆら橋、行っておいで」と光太の手を離したとたん、光太、お水へざぶんっ。
う、裏切り者・・・ゆらゆら橋に行くんじゃなかったのか、お前は。
お水の中にしゃがみこみ、お水を口に含み、ぴゅーっ。
あっという間に、ズボンはずぶぬれ。
お前、節度を守れ、節度を!着替えはないぞっ。まだ3月だぞっ!

後から追いついた夫と悠太。
悠太、お前も行ってしまえ!
もう、やけっぱちだっ。

さすがに、全身ずぶぬれになる前に引き上げましたが、わずかな時間でも、今年最初の水遊びを楽しみました。
濡れたズボンをはいたまま、抱っこ、おんぶで退散。こんな大きな子をおんぶしていると、ただでさえ人目をひくのに、親子してすげー格好ですからね。ヘトヘトです。
ったく、急に動物園行くなんて言い出すからー。
でも、やっぱり楽しかった♪ 今度はちゃんと着替え持参で行かなくちゃ。

おサルさんと一緒にウキッ。悠太。 お水に突入。光太。


さて、子どもたちは春休みに入りました。
この春休み、夫は平日3連休をとるはずでした。あー、お父さんがいてくれたら、私も助かるわ〜。子どもも喜ぶし。どこへ行こうか。旅行でもする?
なんて言っていたのが、だんだん雲行きがあやしくなり・・・
「2連休でいい?」
「2連休・・・難しいかも」
と、結局1日だけ。
こうなることは分かっていたんだけどねえ。ま、1日だけでも助かるのは事実。

で、この平日のお休みを利用して、倉敷チボリ公園へ行ってきました。
平日だから・・・と思っていたのですが、甘かった。春休みとあって、人が多いこと!どの乗り物も待ち時間がかなりあって(といっても、10分、20分ですが)、悠太・光太にはちょっとしんどい思いをさせてしまいました。
「はよーせんかー!あれに乗るんじゃー!」と暴れ、割り込みしようとする二人をなだめすかし、押さえつけ、おんぶ・抱っこする私と夫もまた、しんどかった・・・
それでも、お目当ての乗り物に乗ると、心底うれしそうな顔をする二人。そんな二人の笑顔を見ると、疲れも吹き飛ぶ・・・ような気がする。うん。

光太はメリーゴーランド、悠太は急流すべりがお気に入りでした。
チボリ鉄道(赤ちゃんも乗れるジェットコースター)では、二人ともとうとう身長制限の110センチを突破!初めて、チャイルドシートなし、おひざに抱っこなしで乗ることができました。大きくなったなあ。

110センチを超えると、本物のジェットコースターにも乗ることができます。
光太はジェットコースターに乗りたくて仕方がなかった様子。でも、絶対だめっ!「乗る、乗るー」とやる気まんまんだった急流すべりでさえ、いざ乗ってみれば、びびりまくっていたじゃないか。ジェットコースターなんて、失神しちゃうわよっ。

チボリ鉄道。一人で座れます。悠太。 同じく光太。
お母さんと一緒に。悠太。 昼食中。食べ物があれば落ち着きます。
観覧車にて。 メリーゴーランドに乗る二人。
視線の先はジェットコースター。


さて、今回の遠出で、一つチャレンジしたことがあります。
初めてミルクとミルク用のお湯を持たずに、冷たいお茶だけを持って行ったのです。
というのも、光太だけでなく、悠太までも最近急に「茶のみ」になってしまって。以前は、「お茶も飲めるけど、やっぱりミルク?」とミルク9割だったのが、最近は「ミルク、いらな〜い。お茶なら飲むよ」と。
冷たいお茶を二人して飲むわ、飲むわ。真夏だろうが、あったかミルクオンリーだった子が。

で、今回のミルクなし外出チャレンジです。
園内ではなかなかお茶を口にしようとしません。「まあ、のどが渇けば飲むでしょ」とあまり気にしていませんでした。
しかし、遊び終わって帰りの車に乗ると、悠太がミルクを探して号泣!「お茶あるよ」とお茶を勧めても、「違うっ。ミルクなのっ!」うわーんっ。

やっぱり、お茶だけってのは無理だったか。ちょっと勇み足だったかなと後悔です。
「悠ちゃん、ごめんねー。お茶しかないんよー」
お茶をゴクゴク飲んでいる光太のそばで、悠太は目を真っ赤に腫らして、ぐずぐず、うらめしそうに見ています。
「家に帰ってミルク飲もうね」そう言って、車を発進させてしばらく。
悠太、「お茶、くれや」って、あんた、散々文句言っておいて、飲むんかい!もう光太がいっぱい飲んで、あまり残ってないよー。600ml入る水筒はからっぽ。
急遽、最初のサービスエリアに入り、お茶を買うことになりました。市販のお茶だろうが、抵抗なくゴクゴク、ニコニコの悠太です。

はー。これで一安心。
大きな山を越えました。これで遠出をするとき、少しラクになります。温かいミルクは売っていないけれど、お茶ならどこでも手に入るもの。
なんか、うれしいなあ。

そして、もう一つうれしいこと。
サービスエリアの緑地で子どもが遊んでいる間に、親も一休憩、とソフトクリームを買いました。
そのソフトクリームを見て、光太の目がキラリーン!
アイスクリームも食べられるようになった光太です。もう、それがおいしいもの、ってのが分かるんだね。
光太と、夫と私。3人で一つのソフトクリームを食べました。
子どもと一緒にソフトクリームを食べる。「おいしいね」って言いながら。夢だったのです。大げさではなく。

他の子どもが、他の家族連れが、おいしそうに、うれしそうにソフトクリームを食べる姿を見ると、すごくうらやましかった。
うちの子ときたら、「おいしいよー。食べてみ」と言ったところで、ぷいっ!
見たくもない、と顔をそむけるだけでした。
一人で食べたところで、おいしくない。いや、もちろんおいしいのですが、何かこう、味気ない。
この子たちは感覚が違うのだから仕方ない、と自分に言い聞かせても、やはりこういった小さな幸せの一つ一つを共有できないのは、寂しいものでした。

それが、今こうしてソフトクリームをなめて、「おいしい(^^)」と笑う光太がいる。冷たいお茶をおいしそうに飲む悠太がいる。
こんな日が来るとは思いませんでした。
幸せ。





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