衝撃の真実


 最初にお断りを。
 タイトルに「衝撃の真実」とありますが、私個人が衝撃だっただけで、ほかの人からすれば「それがどうした」と呆れられる内容です。
 では。


 先日、わけあって、平日の午前中に夫と広島駅構内を歩く機会がありました。
 まあ、その理由をいちいち説明することもないのですが、今、悠太・光太の通う園では水疱瘡が流行っておりまして。悠太も、もしかしたら水疱瘡じゃないか・・・という疑いがあったのです。それっぽい発疹が2、3できている、と。

 で、前日からの様子見で、もし発疹が増えていたり、水ぶくれになっているようだったら病院に行かなければいけない、けど、私一人ではどうにもならない(病院に行く間、光太はどうするのか、とか)・・・ということで、夫に午前有休をとって待機してもらったのです。
 
 確かに、少し前から体調がしっくりこなかった悠太。食欲がなかったり、微熱があったり。予防接種はしていたのですが、それでも1〜2割は発症することもあるとか。
これはやばいかも・・・と思っていたのですが、幸い、それらしい発疹も増えず水ぶくれにもならず、単なる吹き出物だったようで(もともと体調が悪くなると、ブツブツができやすいのです)登園許可がおり、子どもは通常どおり登園。

 さて、どうしよう、です。
 せっかくとった午前有休、じゃあ、ちょこっとお茶でもしましょうか、と。
 夫が、駅の隣にあるレンタルCDショップにCDを返却しなきゃいけないというから、じゃあ駅に行ってみましょうか、と。

 駅の地下道を夫と並んで歩いていると・・・あれ、ちょっとちょっと。いつも通勤時に歩くときの習慣か、夫の歩調が速い。並んで歩いていても、少しずつ夫の肩が前に出てしまうのです。
 「ねえ、いつも一人のとき、この速さで歩いてるの?」
 「うん。でもいつもはもっと速いよ。電車に間に合わないから」
 こんな感じ、と「いつも」の歩く速さで歩いてみせる夫。わわわ、追いつけない。
 「へ〜、そうなんだぁ」ちゃんと電車通勤の会社員してるんだなあ、と。
 そこでふと、思い当たる。
 「もしかして・・・いつも私と歩くときは、私に合わせてくれてたの?」
 「うん」と夫はにっこり。
 「えええええーーーーっ!今までずっと、歩くのがすっごく遅い人なんだと思ってたーーーー!!!」

 夫と肩を並べて歩くようになって約8年。
 8年目の、衝撃の真実。この人は、ずっと私に合わせて歩いてくれていたのか!
 もー、バカバカしいでしょ。でも、私にとっては、天地がひっくり返るほどの衝撃的事実だったのです。

 私は歩くのが遅いんです。背が低いぶん足が短いので、一歩一歩の距離がかせげない。背が高くて、さかさか歩く女性と一緒に歩いていると、私はほとんど小走り状態。息切れします。
 夫とは30センチ近く身長が違います。当然、歩くのも私より速いはず。なんで、なんで今まで気付かなかったんだろう。
 夫と初めて会った日から、「あ、この人、歩くの遅いなあ、ラクだわー」と思っていた私って・・・(笑)

 合わせ方があまりに自然で、気付かなかった。
 だって、夫ってば、気性もの〜んびりしてるし、普段の動作もゆっくり、というか、腹が立つくらい緩慢なんだもの。短気の私はそんな夫に、「こらっ、さっさとする!走れ!」とどなることしばしば。
 それなのに、実はずっと合わせてもらっていたなんて。
なんというか、良くも悪くもショックで。

思えば、夫が私に合わせてくれていることっていっぱいあるのです。
私と付き合うまで、習慣的にコーヒーを飲んだり、毎週のようにケーキを食べる生活なんてしていなかったのです。
小洒落たカフェに入ることも、レストランでフルコースを食べることもなかった。行列にだって嫌な顔一つせず一緒に並んでくれるし、どこそこへ行きたいと言えば、「いいね」とにっこり笑ってくれる。

 私のわがまま、なんだけど・・・いつだって、笑って、夫も一緒に楽しんでくれるので「合わせてくれている」という感覚がまるでなかったのです。たぶん、夫本人も「合わせている」という感覚はないと思うのだけれど。
 そんな夫だから、一緒にいて自然で、ラク。

この日、お茶をした後時間が余ったので、一緒に本屋さんをぶらつきました。
絵本を手にとりながら、「これ、悠ちゃん・光ちゃんが好きそうだねえ」「そうだねえ」
そんな会話をするだけで、すご〜く楽しいのです。夫はとりたてて面白みのない人。無口だし、話題も豊富じゃないし。
それでも楽しいのは、夫だからなんだろうなあ。

 いつも変わらぬ優しさで、私と子どもを包んで、守ってくれる夫。
いつまでたっても、夫は私にとって「白馬に乗った王子様」。・・・ちと、無理があるか。あはは。


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