強気の光太


 弱っちい光太。
びびりの光太。
小心者の光太。
絵本やおもちゃの取り合いでは、当然のように悠太に負ける。やり返せばいいのに、「うわ〜ん」と泣き逃げ。
トランポリンも自分一人で、もしくはお母さん・お父さんと跳びたい光太、そこに悠太が乱入してきただけで、「うわ〜ん」、またもや泣き逃げ。
なにも、泣かなくても。逃げなくても。

そんな光太が、近頃やけに強気なのだ。
トランポリンも、悠太が来ると、「あっち行ってよ」とえいっ!押し出す。
悠太と母が手をつないで跳んでいると、「ボクも、ボクも」とアピール、強引に割り込んできて、母の手をつかむ。
悠太がいるからといって、臆することがない。
ほう。

私がエクササイズ用に買ってきた大きなボールが、悠太も光太もお気に入り。ボールに座らせて、びよん、びよんとバウンドさせると、「きゃっきゃっ」と大喜び。
「ボクもやるの!」
「だめっ。ボクがやるのー!」
と当然ケンカになるのだが・・・いつもなら、悠太の勝ち。光太は争いになる前に逃げてしまう。

しかし、強気の光太は違った。
「ボクがやるんだーーー!」と悠太をべちべち叩いて、とどめは悠太の足をつねっ!
「こら〜、光太、やめなさい!」
これには、さすがの悠太も降参。
光太、初勝利。

こんな兄弟喧嘩の仲裁をするなんて、初めて。
今までは、二人がてんでばらばらの遊びをするか、二人が衝突しそうになってもどっちかが(主に光太が)引いていたので、ケンカらしいケンカにはならなかたのだ。

叩く行為はもちろんよくないことなのだけど、普通の兄弟が叩き合ったり、取っ組み合いのけんかをするのは当然のこと。
兄弟喧嘩がエスカレートすると、これまた私のストレスになってしまうのだろうけれど。
当然のことが当然でない悠太・光太だから、こんなちょっとしたことが、やっぱりうれしい。

きっと光太は、なんとなく気付いたのだろう。
逃げてばかりじゃ何も始まらない。欲しいものなら欲しいと言わなくちゃ。自分の手を伸ばさなくちゃ。前に出なくちゃ。
ボク、やりたいよ。ボク、お母さんと遊びたいよ。悠太ばっかりだめ。ボクを見て!

おとなしいといえば聞こえはいいけれど、何かにつけ逃げ腰であきらめが早い光太が歯がゆくて仕方がなかった。
取られたら取り返すくらいの気持ちの強さを持って欲しい、というのが入園時の目標だった。
初めて療育手帳を申請した2歳のとき、小児科のドクターは「薄いなあ。この(反応の)薄さはいかんよー!」と言っていたっけ。
もう、「薄い」なんて言わせないもんね、光太。

そんな、一皮むけた感じのある光太の、園の節分会。
去年の節分会では、騒然とした雰囲気に最初から飲み込まれ、カメラを抱えて乗り込んだ母を見つけるなり、「抱っこー!」助けて〜!と固まって何もできなかったっけ。
イベントに弱い光太だもんなあ。今年もどうせ同じだろ。と今年の節分会は見に行かなかったのだけれど・・・ううう。なんたる失態。
今年の光太、鬼の乱入に大喜びだったそう。

結構、本格的な鬼なのですよ。怖がる子、泣き出す子もいるほど。
なのに光太は、「わーい、お客さんだ〜。遊んで〜」と。ま、それもどうかと思うのだけれど。
ちなみに、去年鬼に大喜びだった悠太、今年は「ふ〜ん」といった感じ。ちらちら見て、近づかれると泣きはしないものの走って逃げていたそう。

去年と今年の反応ってこうも違うものか、とびっくり。


さて、節分。私の大好きな節分。
去年、鬼のお面付きの豆をを買おうかどうか迷っているうちに売り切れてしまったので、今年は早々にお面付きの豆を購入。
むふふ。悠太・光太、鬼のお面にどんな反応するかな〜と楽しみにしていた。もちろん、節分当日までお面は隠しておいて。

で、節分前夜。
深夜帰宅した夫がニコニコ、「見て〜。コンビニで鬼のお面見つけたから買っちゃった〜?」
えっ、お面?
テーブルの上に置いてある、夫が買ってきたものを見てびっくり。私が買ったものと、まったく、まったく同じもの。
あちゃー。確かに、「お面買ったよ」とは夫に言っていなかったからなあ。
夫も、豆はさすがに買っているだろうけど、お面までは・・・と思ったそうで。いやいや、去年買いそびれた、念願のお面だったのよー。

しかし・・・よりによって、同じもの買うか?
 なんだかねえ。結婚してもうすぐ6年。私たち夫婦もとうとうここまで来たか・・・
 はあ。

夫婦で買ったお面


 節分当日。 
同じ二つのお面をかぶった父・母に悠太・光太は大喜び!「うふふ〜、あはは〜」と大受け。お面をはずしたら、「これ、かぶってよー」とリクエストするほど。あ〜、よかった。
喜ぶだろうなあ、という勝算はあったものの、「ふ〜ん」で済まされたらやっぱり悲しいもんねえ。
 


 今日も光太は強気。っていうか、やけっぱち?(笑)
 トイレで水遊びするんじゃー、トイレを開けろー!
 チョコレートパンの中のチョコクリームだけが欲しいんじゃー!
 本人は、まっとうな主張だと思っているのがやっかいなのだ。
 やれやれ。

光太。パジャマの袖に足を入れています。 悠太、水の玉に夢中。ガラスの里にて。


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