色っぽい!?


悠太と光太のことを「色っぽい」「色気がある」と言ってくれる方がいます。
 昨年度、悠太と同じクラスだった子のお母さんなのですが、途中入園した悠太に、最初から「男前だね」と言ってくれていました。私はてっきり、お世辞なんだろうな、でもうれしいな、と思っていたのですが・・・
 どうやら、まるっきりお世辞でもないらしく。

 今年度に入ってクラスは違ってしまったのですが、同じ園バスを利用しているので、バスの中の悠太・光太をよく見てくれているらしいです。
 で、園の行事やお仕事で、母親同士で顔を合わせるたびにいつも、「こども、色っぽいよね〜」と言ってくれるのです。
 はあ?色っぽいかい?悠太と光太が?
 なんか、ふとした表情が色気があるんだそうです(笑)
 うーん。分るような気もするけれど。
「母さんは色気無いのにねえ・・・」ほっといてくれ!
 (悠太と光太みたいなのが)タイプ?と聞くと、「うん!」とにっこり。
あはは。マジかいなー。
 そのお母さんだって、自分の子供が一番かわいい、ってのは分っている。そのうえで、悠太・光太に好意を持ってくれている、「かわいい」と言ってもらえるのはうれしいものです。

 以下、あまりの親バカ加減に失笑を買うことを覚悟して。
 色っぽいかどうかは置いといて、確かに、光太を見ていると(悠太じゃないところがミソ)、「きれいだなあ」と思うことがあります。澄んだ目、長いまつげ、その横顔や斜めから見た表情に、見とれてしまうことがあります。
 本当に、もったいないと思う。
 もし、悠太も光太も、知的障害や自閉症なんて障害がなくて、「普通の男の子」だったら、結構女の子にもてたんじゃないかなあ。
 そういえば、悠太、隣のクラスの年長さんの女の子に、「かっこいい〜」って言われてたっけね。

色っぽい?光太。


 さて、最近の光太。
 先週の土曜日から、何を思ったか、急にお風呂でお湯に顔をつける練習を始めました。
 それを最初に見たのは夫。
 初めは、お湯を飲んでいるのかなあ、と思ったそうです。けど、そうじゃない。しっかり顔をお湯につけて、ブクブクブクブク・・・とやっている。
 その練習は日々激しさを増して、ザブン!と後頭部までしっかりお湯につかっていたかと思えば、昨日には、完全にもぐって口を浴槽の底につけて、お尻がぷか〜んと浮いた状態にまでなってしまいました。
 光太、なにゆえ、そんなことを。

 もちろん、教えたわけじゃありません。教えようにも、伝わらないし。まるっきり、自発的な行動です。
 ただ、プールで人が顔をつけて泳いでいたり、もぐっていたり、というのはよく見ていました。光太の目の前でもぐって見せて「ぷはーっ!」と浮き上がると、何がそんなにおかしいのか、大笑いでした。
 「ボクもやってみようかな、おもしろそうだな」とでも思ったのかしら。

 私が幼稚園年長のころ、突然母親にお風呂で、「顔をつける練習をしなさい!」と言われたのを覚えています。「やらないと、プールに連れて行ってやらないよ!」と脅されて。
小学校に入ってプールの授業が始まるまでに、泳げないまでも顔を水につけられるくらいはしておかないと、と母も思ったんでしょうねえ。泣く泣く、顔をお風呂のお湯につけてみたんですが、最初はすごく怖かった記憶があります。
 光太は、水に顔をつける怖さよりも、興味や面白さが勝ったんですね。

 まだ悠太・光太が3歳で入園前、毎日のようにプールに通っていたころ、子供のプール教室の団体さんとかちあうことがよくありました。
 その子供たちの多くが水に顔をつけることができるのを見てびっくり。思わず、指導をされている先生に、「どうやったら、水に顔をつけることができるようになりますか?」と尋ねたことがあります。
 すると、「水の中でブクブクブク・・・と息をはくことができるようにならないと」と言われて、「えー、そんなのこいつらには無理じゃん」とがっかりでした。
 「ふーってしてごらん」と言っても伝わりません。いまだロウソクも吹き消せない、おもちゃのラッパも鳴らすことができません。もちろんシャボン玉もできません。
 そんな悠太・光太に、「お水の中でブクブクしてごらん」なんて理解できるはずもなく。
無意識の呼吸と違って、自分でコントロールして息をとめる、息を吐く。そういうことがなかなか難しいのです。
しかし。それを本能で克服した光太。
摩訶不思議なり。

ほんと、こいつらって面白い。
放っておけば、自分の特になることはどんどんやってのけてしまう。
「ああしなさい、こうしなさい」という命令が通じない、「がんばれ!」なんて励ましや期待にこたえなきゃ、なんて気負いがまったく無いこいつら(それはそれで、生きにくいと思うけれど)。
そんな奴らに付き合うのも大変だけれど、な〜んか、いいなあ、と思うのです。


 最近の悠太は、リトミックを楽しんでいます。
 先日、悠太のクラスを覗き見してみると、ちょうど体操教室の真っ最中。そこで、音楽に合わせて体を動かすリトミックをやっていました。
 以前の悠太は、「リトミック=先生おんぶして〜!」だったのですが、最近はしっかり参加して楽しんでいるとのこと。テープの音楽が終わってしまうと、「もう1回」とおねだりするほどだそうです。
 どれどれ・・・悠太に見つからないように、こっそり覗きます。
 すると、悠太はうっきゃっきゃー!のニッコニコでお部屋中を走り回っていました。もちろん、みんなと同じ動きができるわけはないのですが、とにかく、その状況を楽しんでいる、いや、楽しくて仕方がない、といった様子。
 先生にジャンプを誘われると、先生と手をつなぎながらジャンプ、ジャンプ!
 こんな顔してるんだなあ。母の知らない悠太の笑顔。

 窓からこっそり覗いていたわけですが、クラスのお友達は、覗き見する私に気づいて、入れ替わり立ち替わりご挨拶に来てくれます。けど・・・悠太ひとり気づかない(笑)。
 ま、いいんだけど。

 土曜日は、光太の個別療育。いつも家族みんなで園に遊びに行きます。
 この日、2階のホールで遊んでいたところ、いつも悠太が個別療育でお世話になるO先生がホールに入ってきました。
すると悠太、O先生の顔を見るなり「うわーんっ!」今まで楽しく遊んでいたホールから出ようと必死。どうやら悠太、自分の個別療育だと勘違いしたらしいのです。
そして、お父さんとホールを出て行った先は、いつも悠太が個別療育で使うお部屋。そこには悠太の大好きなドラムセットがあります。
「先生!ボクを迎えに来てくれたんだね!ボク、行くよ。いつものお部屋でたいこ叩くよ!」きっと、そんな感じ。
O先生の顔もしっかり覚えている、「O先生=個別療育=いつものお部屋=たいこ」と、ちゃんとつながっていることにビックリでした。
そうかー。いつも個別療育の時間は淡々としている悠太だけど、実は楽しみな時間だったんだね。


日曜日、「オレはプールに行くんだーっ!お外、お外、おそとーっ!!」と絶叫する悠太に負けて、朝からプールへ行きました。
さあ、光太、顔つけの練習の成果はどうかな?
一生懸命、水面に顔を近づけるものの・・・けど、やっぱりこわ〜い(笑)。
水に顔をつけてみたい気持ちはすごーく伝わるんだけど、「うーん、てへへっ」と照れ笑いでごまかします。
まあ、光太、ぼちぼちでいいよ。



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