参りました


 22日・火曜日から、子供の新学期が始まりました。悠太・光太は、毎日元気に通ってくれています。
 それはいいのですが。
 参りました。21日の月曜日。
 夫も9日間の夏休みを終え、この日から出勤。新学期が始まるまで1日だけ、インターバルができてしまったのです。
 たった1日、楽勝、楽勝。この1日さえ乗り切れば、明日からはパラダイス!
 そう思っていたのですが・・・・

 朝、いつもどおりに起きてきた二人。特に不機嫌でもなく、寝起きでぼ〜っと。ちょこちょこっとかまえば、にっこり。これもいつもどおり。
 しかし時間が経つにつれて、お父さんがいないことに気づいた様子。
 おいっ!なんだなんだ、そのテンションの低さは!
 どよどよオーラを発しつつ、やることなさ気に、だるだるで絵本をぱらぱら。
いつもはくすぐれば大喜びで、もっとやって、かまって、かまって〜!なのに、私とは目も合わせず、「お母さんはあっち行ってください」と、ぐいっと押しのけます。
 なんなの、その態度はっ!

 夫のいる夏休みの間は、朝から「お父さん遊ぼっ!抱っこして、おんぶしてー!」と二人が夫にまとわりつき、笑い声が絶えることはありませんでした。
 そりゃあその間私は、子供が「ミルクちょうだい」と来ても、「えーっ、お父さんに頼みなさいよー」と相手にもせず、「ちょっとー、悠ちゃんうんちだってー」「光ちゃん、2階でおしっこしたみたいよー」、と何もかも夫まかせでした。
 だからといって、その態度はないんじゃない!?

 光太は徐々に、お父さんがいないのをあきらめたのか笑顔も出てきたのですが、困ったのは悠太。グズグズグズグズグズグズグズグズ・・・・
 ずーっとグズグズ泣いているのです。
 あまりのぐずりように、体調が悪いのかと何度も熱を計ってみるのですが、熱はありません。いろんな遊びに誘っても全く乗ってこず、「ふえ〜ん」と泣くばかり。「抱っこは?おんぶしようか?」と手を差し伸べても、ぷいっ!
 どうしたんだ、悠太。昨日まで絶好調だったのいうのに。
 考えられる原因は一つ。お父さんがいなくなったこと。

 何より参ったのは、ハンストですよ、ハンスト。
 前日夜には、母のお手製コロッケを3つもたいらげた悠太が、半日、飲まず食わずです。
 朝一でミルクを50ccほど飲んだだけ。
 お昼ごはんのカレードリアは悠太も大好きなはずなのに、もう、食べるどころじゃない、「んぎゃーっ、んぎゃーっ」と泣き続けます。
 食べないのはまあ、さほど珍しいことではなく、「もーっ、仕方ないなあ」と思ったのですが、水分さえ受け付けない。
 食べないときは、そのぶんミルクをがぶ飲みして、空腹を埋め合わせようとするのですが、もう、空腹感やのどの渇きすら分からなくなっていたんでしょうねえ。
(夕食は、ようやく少し口にできたのですが)
 少し落ち着いたと思っても、やっぱり思い出したように「ふえ〜ん」
 お父さん、いないよー!うわーんっ!

 それほどまで、お父さんがいなくなったことがショックだったのか。
わがままいっぱい、甘え放題お父さんに甘えて、悠太にとってはパラダイスだった9日間。朝起きてみたらお父さんはいない、いるのはすぐに怒るお母さんだけ。その急激な変化に耐えられなかった、と。

 今まで、夫の長期休暇明けは、「大丈夫かなあ、やっていけるかなあ」という心配をよそに、悠太・光太は父親不在をなんら気にすることなく、あっけなく「いつもの」母と子3人の生活に戻っていったものです。
 
 それだけに、この二人の落胆ぶりというか、母に向ける「あんたなんて、あてになんないじゃない!」という視線に、私もかなり落ち込みました。
 なんでよ。なんなのよ。私だって、こんなにいいお母さんなのに!

 夫がいなくなっただけで、灯が消えたような我が家。
 思い知らされる。
 よく、「お母さんは太陽」というけれど、我が家の太陽はお父さん、夫だったのだと。ううう。

みんなでプール お父さんを追いかける悠太・光太



その夫、25日で30歳になりました。ようこそ、三十路へ!これで、名実ともにおじさんじゃーん!ひゃっひゃっひゃ。ざまーみろ!
と思っていたのですが。
その日の朝日新聞にこんな記事が。
女子高生40人に「何歳からおじさん、おばさんになるか」を聞いたところ、「おばさん」になるのは30歳から、という意見が大多数だったのに対し、「おじさん」は40歳から、という意見が多数で「30歳からおじさん」はごく少数。えーっ、なんでー!そんなの、ずるいよねえ。
5歳の子供がいて「お兄さん」はいくらなんでもずうずうしいと思うんだけど。

夫は、30歳の誕生日記念に有給休暇をとりました。
去年は有給休暇を病気や子供の通院で使いきってしまったのですが、今年はまだ日数が残っているので、まあ、これも使わないともったいないし。

しかし私は・・・「ふうん、休むの。・・・まあ、好きにしたら」

なんでしょうねえ。
少し前の私なら、「やったー、お休みするの?じゃあ、デートできるね!」と手放しで喜んでいたはず。でも今は、一人の時間がなくなることのほうが残念で、「なあんだ、休むのか」と。
そりゃあ、夫がいてくれてうれしいと思う気持ちもある。
夫がいてくれれば家事も子守りも手伝ってもらえる、便利(←ひどいなあ)でもある。面倒な女の買い物もニコニコで付き合ってくれるし、外食をするにしても、小洒落たお店に入るのも、行列に並ぶのも苦じゃない、一緒にいて一番気楽しいし、ラクだ。
けれども・・・なんだろう、この感じ。
夫が休みでうれしいのが4割、がっかり6割。
これって、ちょっとやばいかも〜

夫がいると、いつもの平日の自分のペースが崩れてしまうのが不快。
案の定、子供を通園バスのバス乗り場まで送っていく道のりからして、夫に運転を任せたのですが、私はイライラのしどおし。
私はね、送迎のプロなんですっ。いかに子供を気持ちよく送り出して、バスに乗っていただくか。それに朝のエネルギーを全部そそぎこんでいるわけです。
天候によって左右される道路の込み具合、1分家を出るのが遅くなっただけで、踏み切りにひっかかってえらいことになります。
道路の流れ、信号機の癖もあります。ここではこの車線がベスト、ここでこっちの車線に移動、ここでしっかり加速しておかないと、あの信号機に引っかかる、反対に、あの信号には絶対引っかかるから、ここで加速しても無駄・・・
そういった朝の道路情報すべて、頭の中にインプットしてあります。
でも、夫はそんなこと気にするわけもなく。
バス乗り場に車を横付けすれば、「いつもの場所」でないところに、まるで初心者のような下手くそな停めかたをする。きーーーーーーっ!
園バスが来れば、子供を降ろすのにもたもた。「何しよるんな、はよーしんさいや!」先生の目の前で夫を罵倒する私。
すでに私のイライラは頂点です。
しかし、いかんいかん。今日は夫の誕生日。

気をとりなおして、スーパーへ。お祝いのスパークリングワインを買ったり、カルパッチョをつくるためにお刺身を買ったり。
そして、最近調子の悪くなったパソコンを新しく買い換えるために、家電量販店へ。
ヤ○ダ電気には絶対子供を連れて行けないので、子供のいないときがチャンス!
悠太・光太がまだスーパーに入ることができていた頃でも、すでにトイザラスとヤ○ダ電機だけは、入るとパニック起こしていましたから。

パソコンを買って、和食ファミレスでランチして。
帰宅して、私は今夜のメインディッシュのビーフシチューつくりを始め、夫は古いパソコンから新しいパソコンへのデータの引越し作業に追われ、あっという間に子供のお迎えの時間。
夫にお迎えを頼むつもりが、思いのほかパソコンの設定に戸惑っている様子。パスワードが分らない、控えをどこにやったか見つからなくて、家中ひっかきまわす夫。
普段イライラすることのない夫が、相当テンパっている。
あまりに尋常でない夫の様子に、結局私がお迎えに行くことに。
これが間違いのもとだったのだけれど。

1時間後、帰宅。
「おかえり〜。パソコンの設定はできたけど・・・お肉がこげちゃった」
なんだってーーーーー!!
シチューのお肉を煮込む段階で、お鍋を火にかけたまま出かけたのですよ。弱火にしてるし、大丈夫だろうと。夫にも、「お鍋火にかけてるけど、大丈夫だから」と言ってしまった。
お湯はたっぷりだったのだけど、予想以上に蒸発してしまったようで。
ああ、今夜のメインディッシュが。お祝いのご馳走が。
料理人ともあろうものが、いかなる理由でも、火のそばを離れたのが悪い。けど。やり場のない怒りは常に夫に向けられる。
「なにしよったんよー!そりゃ、大丈夫とは言ったけど、子供の留守番じゃないんだから!」
しょんぼりの夫、「お父さんがこれからお肉買ってくるよ・・・」
また、この一言にぷちっと切れてしまった。
以下、私の怒りの叫び。

このお肉はね、定番商品じゃないの!いつお店に行ってもあるってやつじゃないの!
それに今からやり直す時間なんてないの!これから子供のご飯作らなきゃいけない、私は身動きとれないの。お肉買って、お鍋買って・・・そんな時間なんてない。作るのにも最低3時間はかかるんだからね!どうすんの、もう・・・・(涙・涙・涙)

だってね、この日の夕食のビーフシチューが、夫への私からの誕生日プレゼントだったのですよ。
物欲のない人です(パソコンは買ったけど、それは家庭の必需品、必要経費ということで)。プレゼント、何がいい?とたずねても、思い浮かばない人です。
だから、夫のために私ができることといえば、おいしいご飯をつくること。いつもより手の込んだ、時間も手間もかかるものを、この日のために作ろうと・・・

しまいには、「あんたが会社休むからこんなことになったんじゃないの!」と。
ああ、最低、最悪。

いつもの私なら、ここで手がつけられないほどのパニックに陥ります。予定が狂う、段取りが狂う、もう、全然駄目です。壁をけり、物をぶちまけ、「ああ、どうしよう、どうしよう」と頭の回線がショートします。
けど、必死です、私も。どうにか、気持ちを持ち直さなければいけない。せっかくの夫の誕生日なのだから、ここでパニック起こしたまま、引きずるわけにはいかない。

結局、近くのスーパーで、ちょっといいお肉を買って、焼いて。カルパッチョのサラダを出して、スパークリングワインと、ろうそく立てたお誕生日ケーキ出して。
なんとか、こわばった笑顔で「お父さん、お誕生日おめでとう」

気持ちの切り替えの下手な私、これでも最大限、がんばりました。でも、悔しい、こんなはずじゃなかったのに。
でも、一番「こんなはずじゃなかった」のは、夫です。
最悪の30歳の誕生日。まるで、これからの1年を暗示するような(笑)。
いやきっと、夫のことだから、何もかも、「ま、こんなもんさ〜」と思っているんだろうな。



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