双子であること・その1

 双子はとても目立つ。
二人乗りのベビーカーで散歩したり買い物に出かけようものなら、「わー、双子ちゃん」と振り向きざま、じーっと見られたりする。ときに、「かわいい〜」なんて言われたりすることもある。我が子を「かわいい」と言われて嫌な気がする親はいない。私も夫もそんなときは鼻高々だ。けど、たまによく顔を見もしないで「かわいい」と言われると、「おいおい、せめて顔を見てからにしてくれよ」なんて思うこともある。
 1人だと普通の赤ちゃん、双子だからかわいいのかしら?
 
 「あら、双子ちゃん」の後に大抵、「お母さんは大変ね。頑張ってね。」と言われる。
 この言葉。1日ほとんど誰とも話をすることのなかった赤ちゃん時代にどれだけ救われただろう。本当にたくさんの見ず知らずの人からねぎらいの言葉をもらった。
「大変ね」は、今でもよく言われる。
あっちこっち、やたらめったら走り回る2人を必死の形相で追い掛け回す私を見て、なかばびっくり、呆れ顔、苦笑まじりの「大変ね」なのだが・・・

よく言われること。
「2人いっぺんで終わるからいいわよー」
確かにそのとおりだ。私はあまりの妊娠期間のしんどさから、「子供はもういいや」と思っていたので、「ほんとほんと」と思っていたが、すべてにおいて2人同時というのは特に赤ちゃん時代は地獄だ。その渦中にある人にこの言葉はちょっとしんどいかもしれない。

そして、愚問中の愚問。
「どっちがお兄ちゃん?」
なぜか、これがよく聞かれるのだ。これを尋ねなかった人はいないといっていいぐらいだ。(同じ双子を持つお母さんはそんなことは聞かないけれど。)
2卵性ならまだしも、1卵性と知りながら、である。この世に生を受けた瞬間から一緒だった二人にお兄ちゃんも弟もないよなあ・・・と思うのだけど、他人はそうは思わないようだ。
どうして、お兄ちゃんか弟か重要なのかしら?
おなかの中で下にいたほう(普通分娩で先に出るほう)がお兄ちゃんとなるのだが、
こう尋ねられたら、「一応、悠太がお兄ちゃんです」と言うようにしている。悠太のほうが光太より体がひとまわり大きいのだが、すると、「あら、やっぱりお兄ちゃんのほうが大きいのね」「・・・はあ・・・」こうなると、がっくり。
やっぱり、ってなんだかなあ。うちはたまたま「お兄ちゃん」のほうが大きかったけど、お兄ちゃん・お姉ちゃんと言われるほうが体の小さい双子もいるんだけどなあ。

私は、2人を「お兄ちゃん・弟」で分けて見たことはない。まったくの、同等だ。そんな、上でも下でもない、対等な兄弟関係の双子。そんな貴重な存在・相棒をもてて、悠太も光太も幸せだなあ、と思う。
けれど今はまだ、お互いをどれだけ意識しているか、認識しているか分からない。
いつの日か、「双子でよかった」と思ってくれるときがくるのかしら・・・





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