言葉と音楽


 広島地方も梅雨入りと発表された6月8日の夜、大好きなTHE BOOMのヴォーカル、宮沢和史さんの弾き語りライブに行ってきました。
 小さめの会場で椅子に座ってゆったり。宮沢さんの歌と詩の朗読で満ち足りたひとときを過ごしました。
 宮沢さんのつくるシンプルできれいなメロディ、日本語の美しさ・・・普段、心の中に封印していたものが解き放たれる感覚でした。

 悠太・光太との日常生活のなかで、言葉と音楽は「必要でないもの」です。
 といっても、私からはもちろん「おはよう」「ごはんだよ」「お風呂はいろう」など普通の声かけはします。けど、言葉を理解しない彼らにとって、必要以上の声かけは負担以外の何ものでもありません。なるべく言葉でだらだらと言わないように、と気をつけています。
 この先、言葉の意味をある程度(単語くらいは)理解できるようになったとしても、「言葉の美しさ」を理解することは、障害の特性上きっと・・・ムリだろうなあ。
 
 音楽も、聴覚過敏の彼ら(特に光太)には、音を楽しむという感覚がない。いくら私が音楽を聴きたくても、耳をふさいで顔をこわばらせ、パニックになってしまう子供の前で、音楽をかけることはできません。CD・MDコンポさえ生活空間の中にはなく、使用していない2階の部屋の片隅に、ほこりをかぶったままです。
 唯一音楽を聴けるのは1人で運転する車の中。

 私にはなくてはならない、人生を豊かにしてくれる言葉と音楽が、悠太と光太には負荷になるという事実。
「どうして言葉が分からないの?!どうしてこんなに楽しい音楽がきらいなのー!」と悲嘆にくれることはもはやありませんが(もうずいぶん前に諦めた・・・)、言葉と音楽を悠太・光太と共有して楽しめないのは、やっぱり少し寂しいものです。

 自分自身が子供の頃、毎日寝る前に親に絵本を読んでもらって、お話の世界に魅了されたように、自分の子供にも当然、絵本の読み聞かせをするものだと思っていました。
 また、根っからの音楽好きの私は、よく男親が「息子とキャッチボールをすることが夢」と言うように、自分の子供にも音楽好きの子供になって欲しいと夢見ていたものでした。

 それでも、今の私には、悠太・光太との安定した生活が何よりも大切。悠太と光太がそれを幸せと感じるなら、音楽も言葉も必要ありません。音楽がなくても、言葉がなくても、十二分に幸せな生活だからです。
 言葉でのコミュニケーションができない代わりに、めいっぱいのスキンシップで「かわいいよ」「大好きだよ」を伝えることができます。物事の理屈も道理もへったくれもない、すご〜く原始的なコミュニケーションですけどね。

 音楽も言葉も、私ひとりの時間にとっておきます。
 悠太・光太の母親業から、ちょっと一休みする時間。自分のためだけの時間。
 自分のために費やす時間、今後さらに増やしていく予定です。ふふふ。家事・育児に専念するために、と結婚と同時に退会していたザ・ブームのファンクラブも再入会したことだし。やっぱりライブでしょ!さすがに、独身時代のように、あっちの会場、こっちの会場・・・というわけにはいかないですが。
 やっぱり、好きなことはやめられない!というわけで、夫よ、子守よろしく〜♪


 10日土曜日、久しぶりに倉敷チボリ公園に行ってきました。
 久々の場所に、やはり不安はあるようで、園内の移動はずっと抱っこにおんぶでしたが、乗り物は大喜びの二人。
 特に光太はやる気まんまん、ノリノリ!「次はこれに乗る!」と積極的。いや、ジェットコースターは君はまだ乗れないからね。

 この日初めて、悠太はメリーゴーランドの馬に乗りました。今までは馬にまたがるのが恐くて、動かない椅子にまったりと座るだけだったのですが・・・
 パッカパッカと上下する馬の感覚ににっこり。これは楽しい!
 もちろん光太もにっこり。メリーゴーランドが止まっても、バーを握りしめて「まだ降りません!」とアピールです。

メリーゴーランド初挑戦。悠太。 いつまでも回っていたい光太。


 急流すべりにも、家族みんなで初チャレンジ!身長制限(100センチ以上)も十分クリアしていることだし、いつかやってみたいと思っていたんですよねー。
 いかだに乗ってどんぶらこ。しかし、かなりスリリング。途中真っ暗になっちゃうし・・・結構恐い!けど、暗闇が平気な悠太・光太はケラケラ笑っています。そして、最後の急流、急降下!ひゃーっ!
 大人のほうが、びっくり、キャーキャー大興奮(夫は絶叫マシンが苦手)。悠太・光太も一瞬ひゃあっ、って感じでしたが、やっぱりケラケラ笑って「おもしろかった〜」。 
 あんたたち、いい根性してるわ。

スリルを楽しむ光太。 悠太も余裕。


 外食にも挑戦しました。
 けど、レストランに入ると光太は固まってしまい、「なに、ここ。いや〜ん」
 外のテラスのテーブル席だったのですが、光太は用意してもらった子供用の椅子にも座れず、夫の膝に座り、しがみついています。
 悠太は割と平気。椅子にいい子で座って、出されたコップの水を口に含んではぴゅ〜っと水遊びでニコニコ。

 子供も食べられるものを、とドリアとフライドポテトを頼みました。残念ながらドリアは食べられませんでしたが(おコメの食感がNGだったらしい)、フライドポテトには二人ともにっこり。光太も夫の背中にしがみつきつつもパクパク。悠太もポテトを掴んでは上から落として遊びつつも、ご機嫌で少しずつ口に運びます。
 二人とも、空腹をまぎらす程度には食べられたよう。
 私も夫も、落ち着いて食事をとることができました。

 食後は、水遊びスペースで水遊び。この日は曇り空で肌寒かったのですが、我が家は水着持参。
さぞや悠太・光太は喜ぶだろうと思っていたのですが・・・
光太、水着に着替え、足をちゃぷんとつけたとたんその場から逃走!夫があわててその後を追います。何か乗りたいものがあったのかな?
悠太は大喜びで水遊びを始めました。
他に水遊びする子供はおらず、通りがかる人たちは「この寒いのに・・・」という目線をなげかけていきます。いいじゃないの、楽しいんだから。ねえ。

光太と夫はなかなか帰ってきません。どこへ行ったのかな、とあたりを見回したそのとき、急流すべりの筏に乗る二人を発見!あはは、光太はこれに乗りたかったのね。
水遊びスペースに光太を抱っこして帰ってきた夫に聞くと、光太は一目散に急流すべりの列に突っ込んでいったらしい。順番待ちの間、夫いわく「野獣のように」、「早く乗せろー!」と怒っていたそうです。
目的を果たし、やっと落ち着いて水遊びを始めた光太なのでした。



 最後に、この日のヒットだったメリーゴーランドと急流すべりにもう一度乗っておしまい。さすがに光太は3度目の急流すべりはごちそうさまだったかな?
 でも、思い切り遊んで子供も大人も大満足でした。
 やっぱり、たまには遊園地!

目の前の噴水に大うけの悠太。


 そろそろ本格的な水遊びシーズンに入ります。
 6月に入り、「夏」を体で感じるのか、あまり家では水遊びをすることのなかった光太までもが、朝起きた瞬間からお風呂へ直行、悠太とかわりばんこに、蛇口から滴り落ちる水を頭に受けて、水遊びをしています。
 悠太・光太もプール開きが待ち遠しいね。




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