怒っちゃダメ!


 ある日の深夜、光太がおしっこしたくなったらしく、起きてしまいました。私はその夜、子供の添い寝は夫に任せて、ひとり2階で就寝していたのですが、階下の光太の声に気付いて時間をみると、3時半でした。子供が夜中に起きることは珍しいことではないので、私はそのまま再び眠りの中へ。

 夫は、いつも夜中に光太が起きるとはっと目覚め、「なに、光ちゃん、おしっこ?」とおしっこを誘います。まるで、授乳中の母親が、赤ちゃんの「ほぎゃ〜」のひと泣きに条件反射で目覚めて授乳するかのようです。
 私ときたら、「日中子供の世話をしているのに、なんで(夫のいる)夜中まで子供の世話をしなくちゃならないの!」と、たとえ光太が起きたことに気付いても、狸寝入りを決め込むので、あてにはならないのです。
 そんな私に、あきらめモードの夫。自分がやらなきゃ誰がやる、と眠い目をこすりつつ光太の世話をします。たいてい夫のそばで眠る光太、そのまま布団の上でおしっこされたら、被害にまともに受けるのは夫ですしね。

 先日、夫は膝の関節炎になってしまい、膝にシップを張っていたのですが、そのシップの冷たい感覚に、夜中何度も寝ぼけて「光ちゃんがおしっこしちゃった!」と起きてしまったそうです。

 今はそれほどでもないですが、冬の間、体調が悪いときなどはおねしょをよくしていました。で、パジャマが濡れた光太がすることは、「お父さん、おしっこでた〜」とそのずぶ濡れのまま、寝ているお父さんに抱きつく!果たして、夫も光太のおしっこにパジャマを濡らされ、親子して夜中にお着替え・・・なんてこともたびたびでした。

 まあ、そんなことは余談なのですが。
 さて、その日の朝、私はいつものように5時前に起きて階下へ行くと・・・
 びっくり!光太がソファの上で絵本をパラパラしています。光太の声に気付いたのが3時半で、その後寝ずにずっと起きていたのです。
 思わず、「あんた、まだ起きてたの!?」
 光太も突然の私の出現にびっくり。慌ててソファから下りて布団の部屋へ逃げ込み、私の顔色を伺ってビクビクしています。どうやら私に「寝なさい!」と怒られると思っている(いつものように・笑)。いつ雷が落ちるか心の準備をしているようです。
 「今は寝る時間」ということが、光太もちゃんと分かっているのですよ。けど、ちょっと夜中に起きちゃって、絵本をパラパラし始めたら止まらなくなっちゃった・・・ってとこか。もう、朝なんだけど。

 光太がずっと起きていたせいで私の睡眠時間が削られたのなら、「早く寝なさい!」と鬼になって怒るとこなんだけど、この日の私は被害を被っていないので、寛大。
 「体がもたんけえ、もうちょっと寝ときんちゃい」
 と添い寝で寝かしつけることに。
 
 お母さんが怒らなかった!・・・ことが、どうやら心底意外でうれしかったらしく。添い寝する私に、「お母さん、スキスキ〜」とキラキラの瞳で、すりすり。子犬のように愛想をふりまきます。怒らなかったからって、そんなに喜ばなくても。
 結局30分ほどラブラブしてから、ようやく寝付いてくれました。
 きっと本当は眠くて、絵本パラパラするのも、誰かに止めて欲しかったんだろうなあ。
 

 光太の個別療育の日のエピソード。
 光太の個別療育は土曜日なので、家族全員で参加します。〆の遊びは光太の大好きなホールへ。もうとっくにお昼で、光太もおなかがすいているだろうに、余裕で遊んでいます。
 この余裕っぷりはもしかして。
 どうにか、「おうちへ帰るよ」と促して遊びはお終いにしたものの・・・光太、意気揚々と歩き出し、向かった先は玄関ではなく、光太のクラスのお部屋。
 やっぱり!
 光太、お部屋の扉をバンバン叩いて「開けて〜!」とアピール。そう、光太はすっかりこの後給食を食べるつもりでいたのです。遊んで、お部屋に戻ればすぐにご飯が待っている、と思い込んでいたのです。それだけ、園で食事をとることが光太にとって当たり前で、楽しみな習慣になっていたんですね。
 でもねー、今日は土曜日。光太、給食はないんだよ。ごはんはおうちで食べようね。
 

 二人とも、今年度初めての母子通園日が5月後半にありました。
 昨年入園して間もない頃は、いつもと違う雰囲気、人の多さにかなり神経質になっていましたが、もうすっかり慣れた様子。
 光太もリラックスして、母とラブラブ、大好きな先生とイチャイチャ。
 悠太も楽しそうににっこり。

 悠太のクラスでは、プリンアラモードをつくりました。プッチンプリンにホイップクリームとチョコスプレー、アポロのチョコレートで飾り付けて出来上がりなのですが・・・
 悠太ときたら、プリンの存在そのものが嫌、というか不気味だったようで。あのぷるぷる感が堪えられない!と私がスプーンですくったプリンを目の前に見せるだけで、なんともいえない表情で顔をしかめていました。
 子供に人気のプリンも、悠太には得体の知れないもの。
 最近はいろんな食べ物を、口にしないまでも、触ったり匂ったり、なめてみたり確かめてみることが多いのですが、プリンは見た目でNGだったようで。
 あら、悠太、食べないの?と母がぜ〜んぶいただいちゃいました。悠ちゃん、ごちそうさま!


 6月最初の日曜日は、両親参観日。私は悠太のクラスへ、夫は光太のクラスへ入りました。
 母子通園日には慣れた二人ですが、もっと多くの大人がいる、それもお父さんたちがいっぱい・・・さすがにしんどかったようです。
 
 この日の悠太は早起きで、園に着いたときすでにもう眠そう・・・それでも、朝の会では椅子や先生のおひざに座って落ち着いて過ごしていました。お友達が音楽に合わせて踊っている様子を見て、楽しそうに笑うことも。お返事も上手に先生の手にタッチ!
 けど、メインの新聞紙遊びではあまりやる気なし。「もー眠いよ、ほっといてくれよ」といった感じで、端っこのほうに避難。

 途中、光太のクラスを覗きに行くと、光太のクラスではクッキング。ホットケーキをつくっていました。
 しかしここでも、光太はお父さんにおんぶで現実逃避。
 朝の会ではいい子で頑張っていたそうなのですが、もう限界だったそうです。いつもはパクパク食べるホットケーキも、とても食べる気分にはならず、ぷいっ!

 クラス参観の後、親は各クラスで懇談会。
 その間、子供たちは給食です。静かになったいつものお部屋にホッとしたのか、二人ともしっかりごはんを食べてくれました。特に悠太、眠くてドロドロだったはずなのに、大好きなハッシュドビーフに、おかわりまでパクパク。

 帰りの車の中、やっと緊張の糸が切れたように、悠太はウトウト・・・
 きっと、ものすごく気を遣っていたはずです。お家にお父さんがいて、お休みのはずなのに、いつもと同じ時間に家を出て、なのに「いつもの」園バスには乗らずに、「いつもの」園へ行く。園には先生がいて、いつもと一緒だと思ったら、なんだか人がいっぱい、おじさんもおばさんもいっぱい・・・いつもと一緒、でもいつもと違う!
 不安になって当たり前。
 悠太も光太もお疲れ様。頑張ったね!

 夫もお疲れ。
 けど、30歳を目前にして、休日に家でゴロゴロする時間がぐっと増えたような。
去年、おととし、こんなことはなかったんですけどねえ。休日には、とにかくあっちこっち遊びに出かけていたものです。「寝るより、悠ちゃん・光ちゃんと遊ぶほうがいい!」な〜んて言って、「さすが20代、まだ若いなあ」と感心していたのですが・・・
これじゃ、普通のオヤジじゃん。プッ!



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