初めてのガイドヘルプ


 5月18日、19日と、K学園は年長児さんの1泊2日キャンプがあるため、年中さん以下はお休みでした。
 平日2日間の休日、さ〜てどうしよう。義母に来てもらうのが一番安心、ラクではあるんだけど、2日もあるしなあ。わざわざ高速で1時間かけて来てもらうのもなあ・・・
 ということで、初の試み、ヘルパーさんに移動介護をお願いすることにしました。

 ヘルパーさんを派遣してもらう事業所と契約したのは、悠太・光太が3歳になる夏だったので、今から2年も前のこと。でも、契約したっきりで、1度もサービスを使うことなく今までやってきました。
 3歳の頃はまだお昼寝をしていて、その時間も2人がばらばらゆえ「この時間にお願いします」というのが決めにくかったし、「移動介護」の使いにくさもあった。それに加え、「私一人でなんとかなる」というのも大きかったし・・・
 何より、ただでさえ何が起こるか分からない不安定な生活・毎日に、新たな不安定要素である第三者が、その生活に入ってくるということがどうしても許せなかったのです。  
ヘルプの手を疎ましく感じるほど、気持ちに余裕がなかった。子供を抱え込んで、守ることで精一杯だった。

そんな時期も越え、私一人ではムリだし〜、体力ないし〜、と開き直る余裕もできた昨今。
悠太・光太も園に通うようになり、親以外の人と接することにも慣れたことだし。
これから学齢期に向けて、親の手に負えないこともどんどん出てくる、ヘルパーさんを利用する機会も必然的に増えてくるはず。
そろそろ、チャレンジしてみてもいいんじゃないかな?
K学園でも、ヘルパーさんと定期的に外出しているお友達がたくさんいて、みんな楽しくガイドヘルプを利用している・・・ということを知ったのも後押しになりました。

そして、18日当日。
全くの最初からヘルパーさんだけに子供を預けて、母はバイバイ・・・はちょっと不安なので(子供が、ヘルパーさんにどんな反応をするかも全く分かりませんし)、ヘルパーさんは1人だけお願いして、私も一緒に外出することにしました。
私は朝からそわそわ。
どんなヘルパーさんなんだろう、子供は初対面の人にどんな顔をするんだろう、大丈夫かな。
妙に緊張して、お昼ご飯も喉をとおりません。

約束の時間の午後1時、その10分前。この日のヘルパー、Kさん到着。
お客さん大好きの二人は、来客の気配にぱーっと顔が明るくなります。しかし、Yさんの顔を見て、「だあれ、このひと・・・」と一瞬顔が固まりました。
悠太・光太の戸惑いをものともしないKさん、「ゆうちゃん、こうちゃん、こんにちは〜っ!」と元気な大きな声でにっこり。そのKさんの子供大好きオーラに、悠太・光太はイチコロ!戸惑いは最初の3秒だけ。あっという間にYさんに懐いた(手なずけられた?)二人でした。

悠太・光太と遊ぶため、泥んこになってもいいように・・・と、エプロン姿で気合いっぱいのKさん。
行き先の交通科学館でも、子供を抱えて走り回って、体を張って遊んでくれます。もちろん、子供は大喜び!

話をきくと、Kさんにも、今年高校を卒業した知的障害のある娘さんがいらっしゃるとのこと。障害児サークルのボランティアもされていて、知的障害、発達障害のあるお子さんにも慣れていらっしゃるそう。

そのKさんの子育てエピソードがおかしいのなんの。
通常学級に通っていたKさんの娘さんは、よくいじめにあっていたそうなのですが、そこで黙っているKさんではない。私も、子供がもしいじめにあったとしたら、絶対にはらわたが煮えくり返るほど悔しいし、子供同士のこと、なんて冷静ではいられないと思います。が。
ある日、Kさんの娘さんが、「イノシシって言われた・・・」と落ち込んで帰ってきたそうです。そこでKさん、クラスメートを待ち伏せして、「どの子が言ったの!?」と確認するなり、「ゴリラ!」とその子に向かって叫んで、娘さんの代わりに仕返し(?)したそうです(笑)。
「大人げないよね〜。あっはっは〜」と豪快に笑うKさん。私も大人気ないのは自負するところですが、さすがにそこまでやらないかも・・・

兄弟がおらず競い合うことを知らないKさんの娘さん。スイカを切って出すと、他の子は競って真ん中のおいしい部分を取り合うのに、娘さんは端っこの部分を手にニコニコしている。それがはがゆくて仕方なかったKさんは、娘さんにスイカの真ん中を取る練習をさせたこともあったそうです。

そんな話で移動の車内は盛り上がりつつ、無事に初めてのガイドヘルプを終えたのでした。


翌日19日はあいにくの雨。
この日もヘルパーさんをお願いしていたのですが、さ〜て雨の中どこへ行こう?ということで、ショッピングモール内にある「しましまタウン」(しまじろうに会えます)へ行ってきました。そこのボールプールで遊ばせようということで。
しかし。問題は光太。こういったにぎやかなお店が大嫌い!きっと嫌がるんだろうなあ、でも1年前は喜んで遊んでたんだけどなあ・・・
最後にしましまタウンで遊んでから、8ヶ月ほど経っています。お店嫌いは去年の秋以降にぐーんと加速したわけです。
どうにか、去年の楽しかった記憶をよみがえらせてくれ、光太!

しかし。
やはりというべきか。
入店したときからもう、耳をふさぎ、顔はこわばり、抱っこでしがみつき。本来なら好きなはずのボールプールを見ても泣いて私にしがみつき、頑として下りようとしません。
しましまタウン内にはひっきりなしにしまじろうの歌う音楽が流れ・・・
光太、恐怖。

一方悠太はうれしそうに遊び始めました。
どうにか光太のご機嫌をとろうと、私も必死。さすがに、この状況の光太はヘルパーさんにおまかせすることはできません。
ようやく最後の最後には笑顔も出て、ご機嫌に遊んでくれたのですが・・・
やっぱり気になる音、音楽。
ボールプールを出て、しましまタウン内を耳をふさいでさまよい・・・それでも、どこへ行っても聞こえる音楽、しまじろうの声に涙目。
恐いよ、つらいよ、耐えられないよ〜
30分で限界でした。でも30分、よく頑張ったね。
やっぱり、雨の日の屋内遊びは光太には鬼門のようです。


初めてのガイドヘルプでしたが、やはり、1人に1人の目がある、というだけでも、本当に助かりました。
悠太・光太も、初対面のヘルパーさんにも全く平気でお友達になれることが分かったし。
会って30分かそこいらで、ちゃんとヘルパーさんの顔を覚えるんですよ。今日はこの人と遊ぶんだ、ということがしっかり分かっていて、しましまタウンの中、他にもたくさんのお母さんたちがいたのに、ちゃんとヘルパーさんに助けを求めていくんです。
これには私も驚きました。
もう大丈夫。
これからは、1人だけヘルパーさんと外出して、もう1人は家でのんびり、母とまったり、なんて利用法もありですね。

親以外の大人と遊ぶのも、いい経験。その人その人によって、かかわり方が全然違ってくるので、子供も新鮮なようです。
自分に笑顔で接してくれる大人には、絶大な信頼をする悠太・光太。そこまで無防備になっていいのかとも思いますが、自分に向けられる好意をキャッチするアンテナがしっかりあるということが、とってもうれしい。
いい子に育っているなあ、と目を細めてしまいます。


最近の悠太・光太はいつもニコニコ。とってもご機嫌です。
思いっきり唇めがけてブチューッとチューしに来たり、目が合っただけ、顔を近づけただけ、指一本触れただけで大喜びの大笑いです。
ボクを見てくれてる、遊んでくれてる、という雰囲気だけで、もう身もだえして、笑い出しちゃう。
あきれるほどおバカなんですが、それがまた、かわいいのなんの。
まだまだ赤ちゃんなんですよね。体は大きいけど。
本来の赤ちゃん時代には、子供をかわいいと感じたことなどなかった、不安の中、血眼になって育てていただけでした。
今こうして、見つめ合って笑って、抱っこして笑って、触れ合って幸せを感じる・・・そんな赤ちゃん時代を、親子して取り戻しているような気がします。

普通は、赤ちゃん時代ってあっという間で、「このまま大きくならないで、かわいいままでいて!」といくら願っても、子供はどんどん成長してしまうんでしょうね。
私も最近思います。このまま、この、赤ちゃんのときの笑顔のままでいて、と。 
うちの子は親孝行ですから(笑)、きっとこの赤ちゃん時代が長いんですよね。ずーっとこんな感じで、ニコニコと。親の望みどおり、ということで。

ちょっと肌寒い、雨の土曜日の午後。
悠太と光太がお布団にくるまって、なんだか楽しそうに笑い合っていました。
何がそんなに楽しいの〜?とその様子を覗くと、二つの無邪気な笑顔がくるっと母のほうを向きました。
よく、双子は二倍の笑顔、二倍の喜びと言われますが、まさにその瞬間。これぞ双子の醍醐味!
あまりの二人の笑顔のかわいさにつられて、母もお布団にもぐっちゃいました。母が来たことに二人とも大興奮!あっはっはっは、わ〜っはっはっは、と笑いが笑いを誘って、もう止まりません。
すると、「なんだか楽しそう。いいな、いいな」と夫も参加。家族4人でお布団にもぐってぬくぬく、大笑い。

早く大きくなれだとか、なんでうちの子はこんなにのんびりなんだ、とか、発達の遅れや、よその子との成長の差ばかりが気になっていたのに、なんだか今は、このままでもいいか〜と思ってしまいます。
悠太は悠太のままで、光太は光太のままで。
君たちが幸せに笑っていてくれれば、それだけで幸せ。





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