母の日の贈り物



 5月10日は初めての遠足!・・・のはずでした。が、雨天により中止(涙)。
 前日も、次の日も晴れだったのに、この日だけ文句なしの大雨。あきらめがつくってもんです。
 動物園へ行く予定でした。動物と触れ合えるコーナーのそばにはお水遊びスペースがあり、悠太・光太は間違いなく喜んだはず。「着替えたくさん持っていかなくちゃ」と、親のほうが楽しみで、うきうき、わくわくしていたのです。
 もちろん、夫はお休みをとっていました。私一人で子供二人を連れて動物園内を移動は不可能ですからねえ。
 そして、この日が私たち親子初のピクニック、私の夢でもある「家族みんなでお外でお弁当」のはずでした。
 ずっと前から、お弁当の中身は何にしよう、と考えをめぐらせていました。悠太・光太ともに、食べられるものの幅が少しずつ広がっています。楽しい雰囲気の中、温かくないお弁当でも食べてくれるんじゃないか、あれだったら、これだったら・・・と。
 それは、とっても楽しい作業でした。

 が。前日の天気予報からして、降水確率100パーセントだもの。あ〜、本当に残念!
 でも一番がっかりしていたのは夫。そりゃあねえ。「悠ちゃん・光ちゃんと動物園♪ピクニック〜」のはずが、会社でお仕事。まさに天国から地獄(涙)。
 かくいう私も、なんだか気持ちに収拾がつかない。
 この日1日、子供と遊ぶつもりだったし、さしたる予定もない。
 ということで、K学園に遊びに行ってきました。飛び入り、クラス参観です。

 まずは、光太のクラス。
 あはは、ほんと、光太びびってる、びびってる(笑)
 お部屋の中では、年少さん同志のかわいらしいケンカが始まっていました。それを、離れた場所からビクビクしつつ、自分に火の粉が降ってこないか見つめています。
 もー、ほんとに小心者なんだから!

 しばらく光太のクラスにいたものの、母は用なし(悲)。光太、母には目もくれず、先生に「抱っこ〜」と甘えていきます。
 ということで、悠太のクラスに移動。
 すかさず、クラスのお友達が私に「絵本読んで〜」とそばに来てくれます。
 えっ?絵本ですかい?読むの?
 動揺する私。だって、うちの子に絵本の読み聞かせなんか久しくしていないんだもの。ひゃー、なんかこっ恥ずかしい(汗・汗・汗)!でも、かわいいお子ちゃまのまっすぐな目を裏切れない!
 動揺を隠しつつ、絵本を読み始めました。すると、1人、2人と絵本好きな子供が目をキラキラさせながら集まってきます。
 ううっ、かわいい〜
 そのとき悠太は・・・お前、お母さんがいることすら気付いてないだろ!

 よその子ほうがかわいい、と言ってはばからない私ですが、ほんと、かわいいのです、K学園のお子ちゃまたちって。
 悠太・光太のように発語のない子もいますが、普通におしゃべりできる子もたくさんいます。おしゃべりできる子と会話をするのも楽しいし(その会話も、のんびりちゃんらしく少々「ずれ」があったりして、そのずれがまた楽しい)、おしゃべりできない子も、ニコニコしながら「抱っこ〜」と甘えてきてくれるのです。「えっ、抱っこ!?」と思わず躊躇してしまう重たいお子ちゃまもいらっしゃるのですが。
 かわいいお子ちゃまたちに囲まれると、すご〜く癒されます。エネルギーも吸い取られるけど(笑)。

 一つびっくりしたのは、4月に入園したばかりの今年の年少さん。みんな、すご〜く賢いのです!
 朝の会が終わると、その日の出席シールをシール帳に貼ります。ちゃ〜んと椅子に座ってシールを貼り終えると、そのシール帳を手に、当然のように自分の棚に置いてある自分のカバンの中へおさめることができるのです!

 驚きのあまり、目が飛び出そうになりました。
 悠太なんて、シール張りすら興味がありません。自分の棚がどこかなんて、いまだに分かりません。自分のカバン、という認識すらないかもしれません。「自分のもの、他人のもの」という認識が難しいので、こればかりは仕方がないとは思うのですが・・・
 それにしても、年少さんの、なんと指示がすらっと通ることか。
 そして悠太は・・・みんながニコニコでシール張りをしている間、部屋のすみっこに敷いてあったマットの上でごろ〜ん、だる〜ん。ご機嫌でまったりしておりました。
 はーーーーーー。幸せそうだねえ、君は。
 ま、今年の年少さんが賢いおかげで、年中さん悠太は相変わらず、大好きな先生のおんぶも抱っこも独占!できているわけです。
 君にとってはラッキー。けど、母の気持ちは複雑よ〜ん。
 

 さて、5月14日は母の日。
 今年は、初めて悠太・光太からプレゼントをもらいました(花束は夫から)。
 悠太は、手形付きの小物入れ。箱の背にマグネットがついていて、冷蔵庫にもくっつけられるという優れものです。
 当の悠太は、手のひらに絵の具を塗られ、わけ分からないまま手形を取られ、怒ってたみたいですが(笑)
 でも、その手形の大きさにびっくり。小さな、小さな手だと思っていたのに、いつの間にか、こんなに大きくなっていたんだなあ、と感慨ひとしお。この手で、一生懸命スプーンを握ったり、砂遊びをしてるんだよね。

 光太からは、手作りのカード。
 もーね、これを見たときは、泣きました。
 先生からのお手紙によると、光太、これを作るのにすご〜く頑張ったらしいのです。光太のやった作業は、アンパンマンの台紙に、両面テープで顔のパーツやメッセージの文字を貼ること。
 普通の子にとっては、簡単なことかもしれません。けど、光太です。シール貼りも苦手で、こういった工作めいたものも大の苦手、興味無しのはず。それなのに。
 両面テープをはがす(もちろん先生の手でフォローしながらでしょうが)、そして、先生の指差しを見て、そこに貼る。
 きっと、先生の誘導がかなりあると思われますが、ちゃんとアンパンマンの顔になってるじゃないですか!すごいっ!

 そしてメッセージの言葉、「だ・い・す・き」。
 母の日の常套文句である、「おかあさんありがとう」なんて、こまっしゃくれた言葉じゃなく、よりによって、「だいすき」ですよ。
 もー、ノックアウトでした。

 のんびりちゃん光太(もちろん悠太も)には、誰かに対して「ありがとう」だの「感謝」だの、そんな複雑な感情はありません。うれしい、楽しい、すき、いやだ、こわい、キライ・・・そんな1人称の気持ちで世界は占められているはず。
 笑顔で伝えてくれる「おかあさん、だいすき」は今までも、それこそ毎日のようにたくさんもらっていますが、このカードに光太が貼ってくれた一文字、一文字の「だいすき」は、言葉を話すことができない光太が、初めてくれた「ことば」。ナマの光太の声となって、すとんと胸の中に落ちてきたのです。
 初めてのプレゼント、初めての手紙、初めてのラブレター、初めてのことば。それが、「だいすき」。

 いつもなら、こんな工作めいたことは興味がなくなると、途中でぷいっと席を立ってどこかへ行ってしまう光太なのに、このカードは、パーツを全部貼り終わるまで、ニコニコで頑張ってくれたそうです。

 去年も、母子通園クラスで母の日造形をやったんですが、去年は二人とも席に座るどころか見てもくれず、結局全部私がやって・・・ま、こんなものよね、とあきらめ半分、やっぱり寂しかったものです。それが、1年後にはこんなステキなプレゼントを持って帰ってくれるなんて。
 自分が母親として「母の日」を迎えるようになって4度目。
 こんなにうれしかった母の日は初めて。
 ありがとう、悠太、光太。また二つ、宝物が増えました。

母の日は、いつも以上に家事を頑張ってくれた夫。
光太の作ってくれたカードを見て、「かわい〜い!」
 夫にも、一目見て光太の頑張りが理解できたようです。そして、「お父さんにも、こんなのもらえるのかな」と心配しています(笑)。
 次は父の日だ!頑張れ、悠太、光太!

母の日プレゼントです。


 ちょっとおまけの悠太・光太のエピソード。
 まずは、光太の「顔は語る」。
 最近、以前にも増して親の食事に興味津々、手を伸ばしてきます。お父さんがいるときは、自分がすでに食事をした後でも、お父さんの膝に座って親のおかずをパクパク。

 結婚記念日の出来事なので、少し前なのですが・・・
 その日は、握り寿司が食卓に並びました。大好きなイクラを早速口にする光太。イクラがなくなると、勢いにまかせて、他の寿司ネタの上にあったスダチかかぼすか・・・とにかく、柑橘系のスライスを、「あ、光太、それは食べれないよ」と制止する間もなく、光太は何のためらいもなくお口にパクっ!
 次の瞬間、目をまんまるにして、ぶるっと身震い。ひゃーっ、すっぱい!びっくり!

 別の日のこと。
 お父さん、お母さんがおいしそうに飲むビール(発泡酒ですが)が気になって仕方の無い光太。コップに指をつっこんだり、どうにかしてその味を確かめようとします。
 これって、子供なら誰でも通る道ですよねえ(笑)。私にも記憶にあります。お父さんがとってもおいしそうに飲むビール。どんなにおいしいものか、気になって気になって。「これは大人が飲むものだよ。子供はおいしくないんだよ」と言われたところで、納得できませんでした。
 光太とて、いくら「これはダメ」と言われても納得しません。そこで、酔っ払い母ちゃんのやること。「ほれ、光太、飲んでみい」
 光太は好奇心いっぱいの顔で、差し出されたコップに躊躇なく口をつけます。そして次の瞬間、うえーっ!「にがーっ!!」
 母、大笑い。
 それ以来、ビールの入ったコップに見向きもしなくなったことは言うまでもありません。
 
 言葉の喋れない光太。けど、顔は語る。いっぱい「ことば」を持っています。すっぱい顔、苦い顔。新しい言葉を覚えちゃったね(笑)。


 次のおまけは、悠太の「呼んだ?」
 ある晩、悠太が居間続きの電気のついていない和室で、型はめパズルのパーツを掴んでは落とし、こちらに背を向け、黙々と遊んでいました。
 でも、その背中がちょっと寂しそう。
 夫が、「ゆうく〜ん」と呼びました。すると、ふっと顔をあげました。斜め後ろから見たその悠太の顔が、ふにゃっとゆるんだのを、夫と私は見逃しませんでした。
 「あ、あれ、呼ばれたの気付いてるよ」夫と私はニヤニヤ。
 けど悠太は、再び1人で遊び始めます。
 そこで、夫と私が声をそろえて「ゆ〜うく〜ん!」
 すると悠太は、満面の笑顔で振り向き、キャキャキャッと笑いながら夫と私の元にうれしそうに駆け寄ってきてくれました。まるで、「呼んだ?ねえ、ボクのこと呼んだ?」と言っているかのよう。
 自分の名前が「ゆうた」、ってこと、もうちゃんと分かってるんだよね。
 最近よく、名前を呼ぶと振り向いてくれる悠太です。無視されることのほうが多いけど(笑)


 今回の更新は親バカ全開!
 気候がよいせいか、悠太・光太の体調も情緒も安定していて元気いっぱい、笑顔いっぱい。珍しく(?)家族の歯車が合った1週間でした。
 この幸せが、いつまで続くことやら・・・




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