- 下部温泉からのタクシーは1時間後の予約が入っているとの事でスピードを出していた。新倉(あらくら)集落先の田代入口で下車し、新倉湧水で水を1リットルくんでから歩き出した。
- 林道は終点の広河原で堰堤の工事をしていて生コン車がしばしば通った。広河原で工事の迂回路を通り、山道に入った。沢沿いの道で涼しかった。桟道の壊れているところが多かった。大滝から保利沢小屋へのちょうど中間あたりで完全に崩れて三点確保で通過する所が有った。二度は通りたくない感じがした。保利沢小屋では暑くて建物の陰で休んだ。保利沢小屋の先は少し倒木が多かった。石積みの針金に靴下を引っ掛けて穴を明けてしまった。出合からの本格的な登りで「蝙蝠、塩見、白根南嶺と一周してきた」と言う単独行とすれ違った。
- 伝付峠の水場でテントを張っていたら上から単独行が下りてきた。水場のテント場が良さそうなので峠に荷物を取りに行っていたとの事だった。その間に私が到着した訳で、単独行にとっては不運、私にとっては幸運だった。
- 二日目、この日の宿泊地に水場が無いため、水を4.5リットル持って出発した。快晴で富士山が良く見えた。伝付峠からの林道は、2年前に蝙蝠岳へ行った時に比べ工事用の車が多く通ったらしくタイヤの跡が多く付いていた。林道すぐ上の展望台からは赤石岳が見えた。ちょうど満月が赤石岳に沈むところだった。林道崩壊地には新しい迂回林道ができかけていた。迂回林道を過ぎると車の通った気配の無いヤブ気味の林道になった。
- 少し林道の向きが逆方向になったところが奈良田越だった。奈良田越で林道を離れ山道になった。樹林に囲まれた白剥山山頂のすぐ先に露岩が有り悪沢岳が見えた。更に進んだ小ピーク横の小コルで休んでいたら3人組とすれ違った。「人がいるよ」とびっくりされた。
- 笹山(黒河内岳)への登り、標高1570m付近からハイマツ帯になった。日差しが強く暑かった。ルートが少し分かりにくかった。山頂手前にテント場が有った。山頂もテントが10張りくらい張れそうだった。山頂にテントを張った。まだ日が高くテントの中は暑くて入れなかった。やむなく4時頃まで外の木陰で休んだ。4時過ぎにテントの影で食事の支度をしていると3人組が到着した。北岳山荘から来たとの事だった。夜は星空を眺めながら寝た。
- 翌日、台風が近付いているので、北岳まで行く予定を変更して、その日のうちに下山することにし、暗いうちに出発した。笹山北峰からは笠雲のかかる富士山が見えた。ルリビタキがたくさん鳴いていた。シラビソの森を下り、白河内岳への登りになるとハイマツ帯になった。朝露が服に付いた。やがて岩のごろごろした所を登るようなった。ケルンに従って登った。ガスなら迷いそうなところだった。
- 白河内岳は広い山頂だった。北アルプスが見えた。目指す農鳥岳へは見晴らしの良さそうな稜線が続いていた。