- 九重山の三日目も晴れだった。カッコーが鳴いていた。坊ガツルのテントに荷物を置いて九重山群一周に出発した。
- 最初は樹林の中の涼しい登りだった。鉾立峠に出ると視界が開けた。ミヤマキリシマが多く咲いていた。前日、大船山からピンクに見えた立中山(たっちゅうさん)に向かった。立中山山頂は一面のミヤマキリシマだった。花に誘われた虫がたくさん飛んでいた。鳥のさえずりが聞こえ風が気持ちよかった。他の登山者はいなかった。
- 鉾立峠に戻り、白口岳への急坂を登り始めた。最初は潅木の中の細い道だった。やがて広い道になった。ミヤマキリシマが所々に咲いていた。白口岳山頂もミヤマキリシマがきれいだった。登山者が二人休んでいた。風が気持ちよかった。
- 白口岳から稲星山への途中もミヤマキリシマが咲いていた。稲星山山頂は茶色の石に覆われていた。稲星山から緩い坂を下り、中岳への急坂を登った。中岳山頂には登山者が数人いた。風が涼しかった。三俣山のピンクがきれいだった。
- 岩尾根を下って登り返すと天狗ヶ城に着いた。ここもミヤマキリシマがきれいだった。行く手を見ると百人近い行列が久住山に登っていくのが見えた。どうやら修学旅行生らしかった。天狗ヶ城で少し時間をつぶす事にした。
- 久住山へは石ころの多い登りだった。ちょうど中学生の団体がワイワイ言いながら下りてくるところとすれ違った。久住山山頂では登山者約20人が休んでいた。
- 久住山から登山者の多い道を下っていくと久住分れに着いた。ちょうど中学生達が入れ違いに出発するところだった。
- 北千里浜は谷間の平らな道だった。ロングトレイルを歩く感じがした。正面に三俣山が見えてくると歓声が聞こえてきた。どうやら三俣山にも別の中学生の団体が登っている様子だった。 諏蛾守越下分岐で一休みした。翌日の予報が悪かったので、翌日予定の三俣山を繰り上げて、この日に登ることにした。
- 諏蛾守越から三俣山に登り始めると、他の中学生達からは少し遅れて、数人の先生と、若い先生に背負われた女の子一人が下りてきた。「先生も大変だけれど、こういうことで山登りが嫌いにならなければ良いな」と思いながらすれ違った。
- 三俣山山頂はミヤマキリシマがきれいだった。つぼみも多かった。時間が遅くなったせいか誰もいなかった。
- 諏蛾守越に戻ると誰もいなくなって静かになっていた。どうやら背負われた女の子も無事下山していった様子だった。避難小屋に下がっていた鐘を一撞きしてから法華院温泉に向けて出発した。
- 法華院温泉でビールを飲んで一休みした。坊ガツルに戻ると、あんなに多かったテントは3張りに減っていた。他の二つのテントは若い女性の二人組だった。
- 夜10時頃から雨が降り出した。時々風も強かった。もう一泊するつもりだったが、この日に下山する事に変更した。朝、小降りになった頃を見計らってテントを畳んでいると、二人組も我々に合わせるかのように撤収し始めた。テント場の休憩所で雨宿りをしていると、二人組もやってきた。「風が強くてよく眠れませんでした。こんな広い場所にテントが少なくて不安でした。」と我々のテントがまだ有るか何度も見ていたと話していた。「前の日は50張り以上有ったんです」と言うと、驚いて「そういうときに来たかったです」と言っていた。
- 法華院温泉に移動し、土砂降りが霧雨になった頃を見計らって出発した。ぬかるみの多い雨ヶ池越を避け、諏蛾守越経由にした。北千里浜は霧の中の向かい風で歩きにくかった。長者原に着いた頃に、ようやく雨が上がった。