- 奥秩父の縦走も最終日の六日目になった。台風接近と秋雨前線の影響で午後は崩れるとの予報だった。大弛峠のもう一張りのテントの主は、予定を変更して林道を下山して行った。雨はまだ降っていなかった。天気が崩れる前にできるだけ歩こうと暗いうちに大弛峠を出発した。
- 最初は、付け替えれたばかりの登山道でふかふかしていた。やがて古い道に戻り、しっかりした道になった。少し広くなった朝日峠からの登りになると、早くも下山してきた単独行者とすれ違った。朝日岳山頂手前は岩場になっていた。眺めが良かったので小休止した。
- 朝日岳からの下りは少し急な岩場だった。周囲は少し紅葉し、正面には金峰山がきれいに見えた。岩場が終わるとダケカンバとシラビソの森になった。鞍部まで下るとベンチが有ったので小休止した。風はほとんど無く静かだった。
- 金峰山への登り途中の森林限界手前で雨が降り出した。少し雹も混ざっていた。森林限界から出るところでレインウェアを着た。6-7人の登山者が相次いで急ぎ足で下山して来た。
- 風雨の中、山頂へ向かった。冷たい雨に手がかじかんで来た。下山してきた単独行者とすれ違ったが挨拶する余裕もあまりなかった。
- ようやく山頂に着き、岩屋に入って風雨を避けて一休みした。周囲は霧に覆われていた。手袋を厚手のものに交換し、パンを食べると少し落ち着く事ができた。
- 山頂からの下り始めは岩場が続くのでストックはザックに付けた。5分も歩くと雨はやみ、視界が開けてきた。周囲の黄葉がきれいだった。遠くには北アルプスが見えた。風も穏やかになり手のかじかみも取れた。やがて山頂を目指す登山者3人と相次いですれ違った。鎖場を通り、岩の稜線を進むと砂払ノ頭に着いた。レインウェアをしまい、ストックを出した。砂払ノ頭からは樹林帯に入った。
- 大日岩付近ではシャクナゲの木が多かった。霧雨が降ってきた。大日岩前後で6人の登山者とすれ違った。鎖場を2箇所通過すると大日小屋に着いた。少し登り返し、富士見平小屋への下りに転じると雨が本降りになってきた。レインウェアを着た。富士見平小屋の直下で雨の中を登って来る外国人登山者二人とすれ違った。
- みずがき山荘まで下りるとバスは台風接近のため運休になっていた。やむなく、雨の中、舗装された林道を増富温泉まで歩いて下った。増富温泉の林道への入口には「台風で通行止」との標識が立てられていた。
- 増富温泉バス停前の食堂で、待ち時間を利用して肉うどんを食べ、体を温めた。