- サハリンの三日目はBi-tomo社に個人ツアーを依頼してチェーホフ山に登ることにした。ガイドは前日と同じワシーリーさんと新たに加わった登山ガイドのニーナさんだった。ニーナさんは背が高いウトドアの経験が豊富な女性で、ロシア語しか話せないのは少し残念だった。「地元の子供達を連れて時々チェーホフ山に登る」と言っていた。
- ユジノサハリンスク市の外れから林道に入った。未舗装だった。途中で天然ガスのパイプラインを渡り、貯水池を右手に見た。貯水池からはSUV車以外では通れそうにない悪路になった。
- Bi-tomo社が準備の弁当を持ち、ワシーリーさんを先頭、最後尾をニーナさんにして登山口(標高300m)を出発した。曇り空だった。最初はエゾマツの森だった。30分程登るとダケカンバの森になった。林床にはオオアマドコロが咲いていた。やがて林床はチシマ笹の笹原になった。ワシーリーさんにエゾセンニュウが鳴いていることを教えてもらった。ワシーリーさんはとても良く植物の名前(日本語)を知っていて、次から次へと教えてくれるので覚えきれなかった。途中で若者3人組に抜かされた。ワシーリーさんは熊よけに一度だけラッパを鳴らした。途中でニーナさんに「トイレに行きたい」と日本語で言ったら通じた。
- カラス岩(標高680m)まで登ると少し霧雨になった。草地が少し有って視界が開けたものの霧で何も見えなかった。カラス岩の先ではエゾムシクイが鳴いていた。
- ヤマブキショウマやチシマフウロ、ニッコウキスゲの咲く急坂を登ると標高800m地点にある展望台に着いた。ボタンキンバイ(の近縁種?)が多く咲いていた。コウリンタンポポも多かった。霧で展望は無かった。
- タカネナナカマドなどの潅木帯を登って行った。ノゴマが鳴いていた。やがて「いぼ岩」に着いた。霧雨がやみ少し薄日が差してきた。晴れるのではと少し期待した。
- 「いぼ岩」からの登りではマルバシモツケ、エゾツツジ、ヒメイソツツジ、コケモモが咲いていた。下山してきた3人組とすれ違った。標高950m付近からはハイマツ帯になった。
- ハイマツ帯を通っていくと前衛峰に着いた。霧雨が降っていた。ワシーリーさんによると「この先は小道が多くて迷いやすい」との事のため、視界の得られないこの日はここまでとなった。ワシーリーさんによれば、「この先、特に新しい花はない」との事だったが、何となく山頂に行かない言い訳に聞こえた。昼食休憩後、岩の周りを一周して花を教えてもらった。エゾツツジやオダマキ、イワベンケイ、カラフトサイコ(固有種との事)が咲いていた。
- 霧の中、往路を下山した。少し気温が上がったのか展望台では行きより多くの花が開いていた。チシマフウロが多かった。登山口が近づくときれいな流れが有った。ワシーリーさんが飲めると言って口に含んでみせてくれたので我々も飲んでみた。おいしい水だった。登山口付近ではアカハラが鳴いていた。最後にワシーリーさんからミヤママタタビを教えてもらった。
- この日会った登山者は3人だけだった。ホテルまで送ってもらって二人のガイドと別れた。この日のガイド料は84200Rub(約151560円)/4人で、ワシーリーさんのガイドは素晴らしかったが、山頂に行けなかった事を思うと少し高かった。