■ピッチの残像
「06W杯よりも05アジア最終予選」
意地悪を言うわけではないのだが、「ちょっと待った!」と、手をあげたくなる。
「日本も2006年は8強へ進出ですね」
お隣さんは言う。
「1か月楽しかった。サッカーがこんなにおもしろいなんて。2006年まで待てないわ」
これまでサッカーに興味などなかった友人まで、得点王はロナウドなどとうれしそうに言う。
W杯が終わり、興味は2006年ドイツ大会に向けられる。しかし、「2006年に出られる保障はない」と言うと、首をかしげる。2006年の前に、まずは2005年に始まるアジア最終予選の心配をしたい。
FIFA(国際サッカー連盟)加盟国ランキング最下位決定戦、「裏W杯」も6月30日に行われた。202位のブータン対203位のカリブ海の英領モントセラト。ブータンは一昨年アジアに加盟したばかり。現ランクが202位でも侮れないのは、ヒマラヤの麓・標高2400mに競技場を持つことである。
2005年の詳細は出場枠も含めて未定だが、ホーム&アウェーでの戦いの可能性もある。ネパール・カトマンズのダシャラス競技場も標高約1500mにある。
湿度が80%にも達する中東はアジアに含まれ、東西に広い大陸予選の過酷さは想像を絶する。
今大会直前、アフガニスタンが初のアジア予選出場を目指すと発表。協会は3人。
事務所はなく、選手は非難生活を送り、用具も施設もない。
しかし銃弾痕が残るカブールの五輪競技場で人々がボールを蹴り始めた。
サッカーの面白さとは何か、期間中考えていた。スピード、スリル、スペクタクル、様々ある。しかし本当のところ、世界中でもっとも愛されるスポーツを知ることは、どんな地域でも通じる、共通の言語を持てる喜びにほかならないのだと思う。
1か月、首から下げていた記者のADカードは、イングランドの記者と交換することにした。
選手のユニフォームばりに、颯爽と。
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