2003年11月10日

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サッカー

KIRIN WORLD CHALLENGE
キリンチャレンジカップ2003 Go for 2006!
日本代表メンバー発表
(東京・文京区、JFAハウス)

■サッカー日本代表
 対カメルーン戦メンバー
pos. No. 選手(所属)       
GK 25 土肥洋一(F東京)
1 楢崎正剛(名古屋)
12 都築龍太(浦和)
DF 16 三浦淳宏(東京V)
2 山田暢久(浦和)
5 宮本恒靖(G大阪)
14 三都主アレサンドロ(清水)
22 中澤佑二(横浜FM)
3 坪井慶介(浦和)
21 加地 亮(F東京)
4 永田 充(柏)
MF 10 藤田俊哉(ユトレヒト)
17 山田卓也(東京V)
15 福西崇史(磐田)
7 中田英寿(パルマ)
8 小笠原満男(鹿島)
6 稲本潤一(フラム)
18 小野伸二(フェイエノールト)
19 遠藤保仁(G大阪)
FW 11 鈴木隆行(ゾルダー)
13 柳沢 敦(サンプドリア)
9 高原直泰(ハンブルガーSV)
20 大久保嘉人(C大阪)
 19日に大分で行われるカメルーン戦のメンバーを、ジーコ監督がJFAハウスで(東京・文京区)で発表し、中村俊輔(レッジーナ)はケガと体調不良で選ばれず、チュニジア戦で短い時間ながら安定した力を見せた藤田俊哉(ユトレヒト)が再び選ばれた。ほかにチュニジア、ルーマニア遠征で存在をアピールした、DFの中澤佑二(横浜FM)、三浦淳宏(東京V)らが再選出され、好調レッズからキーパーの都築龍太も選ばれた。

 また、12月22日、JFAハウスにオープンする日本サッカーミュージアムの発表が協会で行われ、館長に就任する岡野俊一郎・日本サッカー協会名誉会長は「W杯の遺産を守って、さらに大きくし、世界中の人々に日本サッカーの実績を広めていきたい」と抱負を話した。ミュージアムは、協会の1階から地下2階までのフロアを、1階「アッパースタンド」(無料)、B1階「ロゥアースタンド」(無料)、B2「ピッチ」(有料、大人500円、小中学生300円)から構成されている。日本代表やJリーグの最新情報、ハイビジョンによる映像システムでの試合再現、サッカー関連図書や限定グッズの販売もある。有料ゾーンでは、代表のロッカーを再現したものなどを展示する。
 日本では初めての試みになるため、WEBサイトなどでPRをしていくが、展示だけではなく「今後は企画、イベント、みなさんに来ていただけるようなものを出していかないといけない」と岡野館長は説明し、スタッフは10数人程度で運営をしていく。年間9万人から10万人の入場を見込んでいる。

ジーコ監督「カメルーンはアフリカ勢でも1、2位のチームであり、本大会(W杯で対戦することを前提に)を戦う上でもカメルーンのいいところを取り入れ、分析できるよい機会になる」


    ◆ジーコ監督の質疑応答

──中村は召集せず、また小野はケガがあるようだが、どういう判断をしたのか。
ジーコ 小野に関しては、もちろんいつも通り直接話をしているが、ケガはしているものの、すでに練習をしているというニュアンスを確実にもらっている。中村は、最近試合には出ているが、自分の見る限り彼本来の動きではないし、確認するとやはり50%くらいでやっているという。彼自身、体調が不安で、クラブでの試合に専念せざるを得ないということだったので、治療に専念することも兼ねてチームに残りたいという本人の希望を尊重する。
 選手と直接コンタクトをとって、実際に画面で見ている状況などではなく、彼らの言うことを信頼していく。これからも、声をかけながらやっていこうと思う。

──中村がいない中で、中田とどの選手を組ませるのか
ジーコ 藤田を同列に並べるつもりだ。チュ二ジア戦で、彼が左でも右でも落ち着きというものをチームに与えてくれることがわかっている。

──都築の加入と、前回の遠征に選んだ茂庭が外れたことについて。
ジーコ 茂庭は、遠征で期待に答える動きをしてくれたと思っている。ただ、五輪代表にいる選手については、今、あまりいじりたくないと思っている。(例外として)大久保はすでに長くAでやっている経験があるので、選んだが。決して茂庭のどこかが悪いという話ではない。これからもコンスタントにやって、自分の持ち味を出してくれればと思っている。
 それと、加えれば、中澤、坪井のコンビは非常にいいとルーマニア戦でもよくわかったので、永田を加えたほうがいいという選択となった。
 都築は、好調のレッズを支えている中心選手としての動きを高く評価している。GKとして非常にいい動きをしているだけではなく、そのことでチーム全体に良い流れをもたらしているとも思う。期待している。

──左サイドの候補2人は
ジーコ 今の状況なら三都主ということになるが、三浦が(チュニジア戦で)見せてくれた非常にいい守備、相手の左サイドをがっちりと封じてくれた力についてはもちろん高い評価をしている。サイドでのプレーは彼の持ち味でもある。三都主も、できるだけこのポジションで長くやる必要がある。
(先発は? の問いに)ルーマニア戦の川口のところに楢崎、中村のところに藤田、それで考えている。ただ大きな問題として、先発をみなさんに聞かれるたびに(正直に)話してきたのだが、当日、必ずケガで誰かが欠けての試合になっている。ここは縁起をかついで、試合まで黙っているほうがいいのだろうかと悩んでいる(笑)。

──昨日、選挙が終わりました。ジーコ監督の、カメルーン戦におけるマニフェスト(政策公約)は?
ジーコ カメルーンはアフリカNo.1の国で、コンフェデ決勝でも非常に素晴らしい試合をした。強化全体からいって大きな意味を持ったゲームで、当然どのゲームも全力で勝利を目指しているが、大事な一瞬、一瞬を無駄にせずに、勝ちたい。ただ、今は強化の最中でもある、本当の意味でもマニフェスト、あるいはスローガンは、やはり2006年の段階で発表できるだろう。

──今回、レッズの田中達也が入るかと思われたが
ジーコ 五輪代表は、できるだけA代表にはひっぱりたくない。もちろん田中の活躍は自分もよく承知しているし注目している。彼がこのまま活躍していれば、当然A代表で活躍する逸材でもある。ただ(同じ五輪代表でも)大久保は、長い経験があるうえ、Jリーグ得点ランキングでも上位にいる。彼を選ぶのは妥当だと思う。FW4人については、彼らなりの連携の中で(組み合わせを)試してみたい。

──小野はクラブでトップ下をやっている。今後トップ下で起用することはないのか
ジーコ 彼をトップ下で使ったことはない。なぜかというと、通常彼のプレーするポジションであるボランチは、彼の適正をもっとも生かすことができるからだ。彼がもし相手の守備に近いところ(トップ下)でプレーをしようと思うと、マークは非常に厳しく、体を寄せられ、背中にかなりのDFを背負ってプレーせざる終えない状況になる。しかし、一列下がったところ、つまりボランチの位置なら、彼の視野でピッチ全体を把握した上で、前線への効果的なパスが出せる。ここが、彼の特色を生かす最大のポジションだと私は考えている。
 ケガの状態は90%問題なく、試合をやれると思う、と本人が言っている。その言葉を信じているし、活躍してくれると思う。

──中田がルーマニア戦後、チームのコミュニケーションが足りない、と言った。監督の立場からどう思うか
ジーコ 中田が言うように、確かに、自分もピッチ内でのコミュニケーションは大変不足していると思っている。ただ、これは国民性というか、私も12年日本を見ているのだが、(視野の中で)自分が見えているものを、他のチームメイトに率直に与える、という作業が、日本人はどうしても不得意だ。日本人は、何かを口に出して言うことが非常に苦手で、教育なのか、長年の習慣なのか、例えばフリーでボールを受けられるのか、寄せられているのか、ボールをどう出すのか、自分が突破していくうえでどうしてほしいのか、こうした自分の要望、相手への助言を口に出していくのがうまくない。あくまでピッチ内でのこうしたコミュニケーションは基本的な話で、これは当然、中田のように海外でのプレー経験が豊富で修羅場をくぐってきた選手から見れば、きっと(もの足りなく)見えてしまうものだ。彼が言うように、自分が見えてえいるものをきちんと伝えること、これができなければならない。特に昨今のサッカーは、ミスの少ない方が勝つことが前提で、これは一人の力でどうなるものではない。

 そういえば、最近、バレーのW杯(監督がブラジルのスポーツ大臣時代の友人がバレーの強化担当で来日中)を見ていて非常強くに感じたことがある。それは、監督を含めて、選手がとてもよく声を出すことだ。もちろんバレーコートはサッカーとは違って狭いが、自分が大声で叫んでも、ピッチでは向こうのサイドになんて声が通じない。バレーは羨ましいと思ったが、とにかくあれくらいの大きな声が出ていないとダメだということだ。

──2トップ、高原、柳沢が出場機会に恵まれていない。不安はないか。
ジーコ 本当に心配している。以前、稲本にも同じことがあったが、あれだけの経験を持っている選手でも、かなりの長い時間のブランクがあると、試合勘が鈍ってプレーができなくなる。頭にはいいイメージがあってもそのためのアクションが起きないという状態だ。(ブラジル代表の)パレイラ監督も、やはりリバウドに対して同じ悩みを抱えているが、あのクラスの選手でもブランクをリカバリーをするためには、かなりの犠牲を強いられるということだ。ただし、試合に出てないから、試合勘がないからといって、召集しないかといえばそうではない。ただゲーム勘については、いつでも本当に心配している。

──永田は、ユースの直前合宿を控えている。あえて選んだ理由とは
ジーコ これからもそれぞれの代表の活動が重なってしまうことはあると思う。本人に対して悪い影響を与えない限りで選びたい。ユースの合宿をやり、3日間ほどこちらに来てもらってまた遠征に行く。チームの動きを見ると、右だけではなくいろいろな可能性を秘めている。A代表での3日ほどで、彼自身、彼がチームに持ち帰るもの、両方ともに大きなものを吸収して、チームのためになるはずだ。A代表のユニホームを着る誇りも、もちろん味わうことで大きくなる。

──柳沢に期待するものは
ジーコ すべてのFWに期待するのは、相手のゴールに近いところで仕事をし、ゴールを奪うこと。柳沢については、これまで代表の試合で悩んだことも、前回の欧州遠征2試合で少しはふっきることもできたかと思う。今後も彼の持ち味である2列目のためにスペースをあけたり、縦に突破したりといった、彼の動きにも期待している。

──コミュニケーション不足について、監督は何か手を打つのか
ジーコ 日本人は声をかけるかということをどう思っているかわからないが、相手に声をかけるとは、何も批判ではなく、あくまでも自分が見えているものを相手に伝達することでさらにいい仕事ができるということに過ぎないし、声を出したから偉そうだということでも、その選手を批判しているわけでもない。現役時代、自分も経験したが、ジーコがボールを持てば、もう大丈夫という雰囲気で何も言われないことが多かった。ただ、フリーだと言ってくれないために、ワントラップしてシュートをしようとして相手に詰められてしまっていたり、チャンスを逃がすことがあったと思う。フリーなのか、どうなのか、一声のコーチングによってチームの勝利に近ずくなることを、何度も経験している。怒鳴ればいいのではなくて、コーチングがあればチーム全体が助かるのだ。それを忘れずにプレーをしてほしい。

 そういえば、これまでの話とは違いピッチ内の問題じゃないが、面白い例もある。
 私は試合前のミーティングで相手の分析をしている。今では、対戦相手の外国の選手と同じクラブでプレーしている選手も多く出るようになったきた。そこで、そいつはどんな選手なのか、とある選手に聞くと、同じチームでプレーしているにも関わらず、彼らは何のインフォメーションも出さないし、長所も短所も声に出していってくれないことが多い。それは、自分がもし口に出したインフォメーションが間違ったら、違う展開になったら、それによって負けてしまったら、という恐怖心なのかもしれないが、とにかく口に出すのは苦手である。

 こちらはミスを追及するのではないし、プレーでも積極的な前向きなミスであれば、問題ないのと同じで、助言でも、建設的なチームのためのものなら間違っていてもいいのだが。歴代、偉業を成し遂げたチームには、監督の意思を忠実に表現できるキャプテン、あるいは選手が必ずいる。クライフ、ベッケンバウアー、ドゥンガといった、監督の意思を確実にチーム全体に対して伝達できた選手がいる。われわれにも中田がいる。しかしあらゆる試合で彼がプレーできるわけではない。彼だけに頼ってしまったときに、彼がいない試合はどう戦うのだろう。彼に頼らず、声を出す、そういう訓練ができないといけない

──藤田選手に10番を渡すようだが、現代サッカーにおける10番の意味を
ジーコ 自分は現役時代、特別に10番を意識したことはなかった。たまたま中盤にいたからで10番だから偉いか、とかそういうものは存在しない。重みがあるとすれば、藤田が磐田でつけていた番号だからこそ、彼が何かを思うかもしれない。守備では早く戻り、攻撃ではパスだけではなくて自分も出ていってフィニッシュまでやってくれればいい。番号はあくまでも協会がやってくれているし、彼らがどうしてもこの番号が好きだからということなのか、そんな話は聞かないし、私はノータッチだ。何番でもやってもらうことはあまり関係ない。かつてのサッカーのように、1から11をつけていた時代には、そういう役割と意味があったが、今では22、34とか55だとか、ナンバーの意味するものはないのではないか。



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