4月28日
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サッカー
キリンカップ2002
スロバキア戦前日
(東京・国立競技場)
キリンカップサッカー2002前日となった28日、日本代表は国立競技場で、練習を冒頭15分のみ公開した。これに先立ってトルシエ監督が会見を行い「明日は、みなさんをびっくりさせるような考えがある。しかし何も言えない」と意味深なコメントをした。
冒頭15分の公開練習では、右サイドの選手がいない配置で、曽ケ端 準(鹿島)、左から、中田浩二(鹿島)、松田直樹(横浜FM)、右には今季好調の中澤佑二(横浜FM)が入り、これは森岡隆三(清水)が間に合わない状況を想定してのシフトと考えられそうだ。またボランチは、福西崇史(磐田)、稲本潤一(アーセナル)、サイドに三都主アレサンドロ(清水)、中村俊輔(横浜FM)、森島寛晃(C大阪)、トップが西澤明訓(C大阪)と柳沢 敦(鹿島)、がビブスをつけた組に入った。
かつて監督は「中村と三都主は一緒には使わない」と会見でも話しており、「みなさんが驚く」とは、このビブスからトップで誰か抜けて右に、いつも通り市川大祐(清水)か波戸康広(横浜FM)が入って、中村がトップ下に入るのか、練習通り、柳沢の右サイドをオプションにして、中村にトップ下をさせるのか、どちらにしても、柳沢、中村に絡む「びっくり」になるようだ。
トルシエ監督 明日は、典型的な親善試合で典型的な監督としていろいろなチューニングをし、ゲームをコントロールしなくてはなりません。
――相手の戦術、力関係について明日はどう臨むのか
監督 おそらく60%の時間で私たちがボールを支配することになるだろう。残りの40%の時間でボールをキープし、相手はカウンターで攻めて来ることになるはずだ。
――コスタリカ戦のときとの違いは
監督 みなさんをびっくりさせるような考えはある。しかし今は言えない。
――選手はリラックスした状態か
監督 私の仕事は、選手をプレスから守ることにある。そしてあらゆる政治的なセレモニーや行事といったお祝いに行かないように、サッカーだけに集中することを考えていかなくてはならない。わずか1点差でグループリーグを突破することもある。我々だけで集中して、我々だけで生きることが重要だ。私は責任を持ってこの環境を守る。まあすべての決まりごとはチームに浸透しているので、イタリア戦の後に「すでにW杯の準備ができている」といったような状態だ。
――監督は落ち着いているのか
監督 もちろん、W杯が終わった後に日本を去ることは寂しく思う。日本で4年も仕事をしているのだかから、今日の朝はこれが最後のJビレッジと思うと涙が出そう煮なった(笑いながら)。私はもちろん落ち着いている。このチームに監督は必要ない。誰かが試合に連れていくというくらいで、特に指導をする必要はない。
――何か心配はあるか
監督 何も。99.9%はすでにわかっているし、半年前から繰り返して来たことだ。
――ファンが大勢いる。ファンサービスについてどう思うか
監督 大切な問題だ。おっしゃる通リ、W杯に全員が行けるわけではない。まずはテレビを買って、というしかない。まあ、テレビでは代表について毎晩4秒流れるだけだが、それにラモスの頭が出てくると、あんまり見たくないし、何を怒っているのかよくわからない。テレビはもっといいサッカー番組を作らなくてはならないし、もっとサッカーの真髄を突いたものを作らないといけないのではないか。また、私は、今スポーツ新聞の一面が皆同じだということにも驚いている。斬新なものは一切ないし、テレビも同じ映像を、同じ解説の仕方で流す。理解できません。もっと他の新聞と違う、自分たちのアイディアというのを出すべきではないか。
――いろいろなチューニングをしてきたが、いつ、この11人というのが決まるのか
監督 チームは競争であり、この11人が私のチームだ、という考え方はして来なかった。もし、私は控えの選手だから、という選手がいれば、それは私のやり方が失敗だったということになる。しかし6月4日に誰が出るのか、それがわからないで、全員が競争している所に、私のチームの強さ、美しさがある。スタメンの11人が誰なんだ、という概念が存在しない。睡眠不足や、頭の20分でイエローをもらってしまう、などこうしたことに対応するのは、ナマでのコーチングであって、もしかしたら、1992年の日本代表は11人だったために、こういう質問が出るのかもしれない。
――明日のことは教えていただけないですか
監督 びっくりするようなこと、というだけであとは言えない。前半5分でもし機能しなかったら交代する。
――この合宿について
監督 川口はずっとセパレートで練習をしていた。あのひざの捻挫については、少しずつ上がってきているが、依然、一緒に練習はできない状態にある。稲本もセパレートだが、彼にとって重要なのは試合に出て、その中でリズムを取り戻すことにあると思う。
――森岡について
監督 今もセパレートしているが、あとはドクターの問題だ。筋肉的な感覚を取り戻せるように今は努力をしている。しかし、彼はまだ代表に入った選手ではないし、ほかの600人のJリーガーと同じだ。
――スロバキアは、ベルギーと引き分けている。監督に何か聞くことはあるか。
監督 いいね、そう聞いてみよう。ただし、ベルギーの監督も明日試合が終わったら、スロバキアの監督に電話をするだろうが。
西澤明訓(C大阪)「FWのライバル意識がどうのこうのということはない。W杯に向けてチームとしていい結果が出せるようにするだけです。コスタリカ戦でも(いい動きはできても)結局ゴールは決めることができなかった。やはりもっとボールをしっかりさばいて、ためを作っていきたい。イングランドでは非常にいい経験ができたので、それを結果につなげたいと思う。監督の期待には応えたいと思う。スロバキアはバスの中でビデオを見ているけれど、2年前はかなり大きいと思ったけれど、今回は来日するメンバーがわからないものの、もっとショートパスでつないでいる感じがする。合宿では、疲れが取れるようなスケジュールだったが、J2は本当に大変な戦いだから、そう簡単には疲労は抜けない。みなセレッソと思ってかかってくるし、チームにも大変な思いをさせてしまう。泥臭くてもなんでも、1点を取って勝っていかなくてはならない」
三都主アレサンドロ(清水)「体調、コンディションなどいつも通りです。前に顔を出して、いいプレーをしていきたいと思う。(監督が99%は決まっていると言うが、その中に自分が入っていると思うか)その中に入っているのかわからないけれど、次の試合も、いいセンタリングをあげていきたい。ゴールのチャンスがあれば、決めたいね。明日は俊輔と一緒にプレーをすることになる。楽しみだね。いいパスがどんどん出てくるし、スペースに飛び込んで行きたいと思う。フリーキックは、俊輔のほうがいいんじゃないかって思うし、相談して蹴るかどうか決めたいです。守備の心配はあるけれど、お互い前でプレッシャーを与えればいいし、怖くはない」
中澤佑二(横浜FM)「10分でもハーフでも、出たら代表の責任を果たしたい。今回の合宿は、戦術的なことよりも、ファミリーという意識を強く植え付けるようなものだった。みんな団結していくためにどうするかということで、ふてくされるような選手は、代表じゃないということ。明日はチャンスがあったら、がんばります」
練習では右サイドをこなしていた柳沢 敦(鹿島)「右サイドは、ポーランドの遠征からやってはいました。監督からは、こういうオプションもある、と言われている。試合でもやったことがなくもないけれど、いつやったのかは忘れてしまった。まあやってみないと言えないけれど、新たな発見ができるかもしれないしね。やれないってことじゃあないですよ。間違いなく、FWよりプレッシャーが少ない中でプレーができますし、すべての部分に自信を持ってやっている。センタリングとか、前からのプレッシャーとか、同じ戦術の中でやっているのですから、おもしろいんじゃないですか」

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