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※無断転載を一切禁じます サッカー J1 1stステージ第7節
W杯前最後のリーグ戦となった、全勝の磐田と1分けながら負けなしの横浜FMとの首位攻防戦は、横浜FMが前半開始2分、中村俊輔のフリーキックからウィルが決めて先制し主導権を握った。 ウィル「2得点はもちろんうれしいが、もっと大事なのは勝ったこと。今週は風邪からの病み上がりで息をするのもちょっと苦しい状態だっただけに、心配もあった。中村が最後の試合だということは聞いていたし、知っていた。チームとしても個人的にも、彼が離れるのは寂しいが、いいプレーを目指し、成功してほしい」 服部年宏「お互い、いい形で、いい試合ができたと思う。負けたといっても、これで優勝が消えたとかそういう話ではない。ちゃんとサッカーはできていたと思うし、セットプレーで2失点したのは、反省材料としては非常によかったと思う。こういう日もあるでしょう」 中山雅史「(GKと接触した際、ポストに激突ししばらく治療を受けた場面について)バランスが崩れてポストに当たってしまった。何でもない。中断前の状態としてはまずまずで、悪いわけではないでしょう。自分の出来は最悪だった。チームの一員として仕事をしていなかったし、もっと積極的にやらなくてはいけなかった。(代表について)別に。組織的な攻撃ができるように、ここでもう一度、自分たちのサッカーを見つめ直していけばいいと思っている」 ◆短信:試合後、今月上旬からチームを離脱し肺炎のため入院治療を行っていた高原直泰についての発表が行われ、「肺動脈血栓塞栓症(はいどうみゃくけっせんそくせんしょう)」との新たな診断結果が発表された。22日に退院することが決まったが、症状が安定するのには時間がかかるために、治療を続けながら練習の再開、代表復帰を目指す。→ 関連コラム
「解放感」
中村はこの2、3年、トルシエ監督の代表下で、左サイドをこなし、トップ下をこなし、自らのプレーのアイデンティティを築くことが非常に困難だったはずだ。さらにチームに戻れば求められる役割は決まっている。両方の川岸を行き来するたびに、体力を消耗し、時間を消耗し、精神力をすり減らしていただろう。 自分の居場所への自信と技術、それを支えるフィジカルの充実ぶりによって、がんじがらめだった自分とプレーを解き放った感じがする。後半の得点になったコーナーキックは、実際2分で蹴った「3部作」ともいえるものだった。うち左からの2本はほぼ同じ地点にあげている。3本も、正確に、しかも厳しいところを突かれれば、DFはどんなに辛抱しても嫌なものだ。同じところには来ないだろう、と読んでいた左からの2本目、福西が前に出られ、鈴木は別のマーク、田中は前に、と3人のちょうど等距離に、中澤が飛び込んでいる。 これが最後のリーグ戦になる。従来、それがホームでもアウェーでも、選手は必ずお別れセレモニー的なことを行なってきたが、この日中村は一切そうした「行事」はしなかった。まだ詳細が決定していないからでもあるが、むしろ新鮮だった。 「1点目はいつも練習通りのパス。2点目は、佑二(中澤)がデカイんで(よく飛び込んで決めた)。あのファールは、僕は(服部を)抜けきれずに、引っ張ってしまった形。名波につけ、と言われたんですが、中盤の前同士の選手なのに……。大ちゃん(奥)と、良治さん(上野)と3人でマークした。個人的には、去年の2ndステージの磐田戦のほうがもっとよかったと思う。この流れのまま代表に行きたい。公約(全勝する)果したか? いや全勝じゃないからね。これがJリーグ最後の試合って? 全然、意識してなかった」 ◆短信:左ひざ打撲について、横浜F・マリノスの平沼ドクターは、「試合後ちょっと痛みが出ている。ひざのお皿のちょっと上くらいを打撲していて、今日は様子を見て、明日もう一度連絡を取って相談する。精密検査などは、靭帯がどうかなっているわけではないのでしないでいいと思う」
「エコノミークラス症候群」 9日に緊急入院し肺炎とされていた高原直泰の病状が、この日改めて発表された。「肺動脈血栓塞栓症」とは、わかりやすく言えば、ここ2、3年、飛行機で注目されている「エコノミー症候群」に端を発したものだという。 「一般的には中年の方に多く、高原選手のような若い選手がなるのは極めて稀なケース。急性の疾患で、最初は、下肢深部静脈血栓があった(足に血栓ができていた)が、これが肺まで飛んでいった結果、肺の抹消に血栓を作り、これがかさぶたのような状態となって、肺炎の症状を出していた。肺に影があるため検査を再度行った結果、第一要因は判明した。血栓が解けるような薬を投入して、今は肺周辺の血栓を溶かして消す治療を続け、これが回復しているので一応は退院できるが、どれくらいで治る、とか、どれくらいなら支障がない、と、血栓が消えない限りはいえない状態で、欧州遠征に間に合うとかW杯はOKとは、今言う段階ではない」 もっとも、熱もなく、本人は非常に元気で、見た目もまったく普段と変わりがないという。自転車をこいだり、軽いトレーニングは可能で、「自覚症状が全然ないので、早く動き回りたい」と話しているそうだ。食事も普通にとれるが、血栓を溶かすための薬物投与のために、出血した際には止血しにくい。これだけには注意するように言われている。
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