11月6日

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サッカー

日本代表、イタリア戦前日会見
(埼玉)

 明日7日、今年最後の日本代表Aマッチとして行なわれるイタリア戦を前に、トルシエ監督、選手が会見を行った。5日、埼玉県内に集合した代表は、イタリアのW杯予選をはじめとするダイジェスト版のビデオを食事中にも流すなど臨戦体勢を敷いており、選手は「勝って今年を締めくくる」と意欲を見せている。
 早めに帰国して調整してきた稲本潤一(アーセナル)、高原直泰(ボカ・ジュニアーズ)、5日に帰国した西澤明訓(ボルトン)、負傷で出場は「5分5分」(トルシエ監督)とされるGK川口能活(ポーツマス)らに、中田英寿(パルマ)も6日午前、帰国して前日夜の練習が非公開で行われた。
 また、イタリア代表も午後成田空港に到着。そのまま千葉での練習に向かい、「これが最初で最後の本番へのテストになる。我々の力を最大限に発揮するために集中していきたい」と、トラパットーニ監督はこの試合をシュミレーションと位置付けていた。なおイタリア代表は滞在わずかに40時間程度での試合となる。

トルシエ監督の会見から(抜粋)

(冒頭の話)
 まずはJリーグ10周年の誕生日おめでとうございます。日本のサッカーがこの10年で大きな進歩を遂げたことは間違いがなく、川淵氏(チェアマン)を始め、ほかのみなさんのすばらしい仕事に感謝したい。しかし、なぜだか、私も、日本代表のこの重要なパーティーに招待をされてませんでした。きっと単なる物忘れなのでしょう。今後を注意深く見守って行きたいと思ってます。

(W杯初戦という意味)
 もし明日がW杯の初戦なら準備はできていますか、と聞かれたが、私はイエスと答えた。それほど明日の試合は重要で、失うものは何もないという強いスピリットで臨める。明日はみなさん(メディアに対して)重要な使命を与えたいと思う。それはもし、選手がいい試合をしなかった場合、遠慮なく選手を強く批判して欲しいということだ。イタリアのように激しいものではなくて、日本式に「ゆっくり」(ここだけ日本語)、日本式プレスのやり方でどうか叩いて欲しいと思う。イタリアならば批判が8から10割、1、2褒めるだけだが、日本はそこまで批判的ではないだろう。とにかく選手を強く批判して欲しい。

(中田の合流について)
 チームを作るときには、私のチームであることと同時に、ファンのチーム(ファンが好むもの)があってそのバランスを取ることは重要だ。もうひとつ、メディアのチームもあることを忘れないで欲しい。私はいつも3つのチームのバランスを上手くとることを心がけているし、いずれにしても明日は「私のチーム」でイタリア戦に結果を求めている。ちなみに中田は合流したそうだが、今もコンタクトがまったく取れない。彼はJフォン、携帯電話会社と契約しているのに、電話が全然通じないといのはどういうことだ。契約上マズイんじゃないか。誰か消息を知っていたら教えてください。中田がイタリアへ行って3年、成功したことは事実だが、私は彼が日本代表にそういう欧州のスピリットを持ち込むよりも前から、代表にその精神を浸透させて来た。彼は今年、コンフェデの決勝以降、6試合、私たちと試合をしていない。これは非常に大きなハンディになる。


「考えるスピード、動くスピード」

 明日のイタリア戦の重要なポイントは、「守備を変えるということは、監督を変えるということだ」と監督が言うほど、代表の強い基盤となっているフラット3の出来にある。
 松田が負傷で離脱。5日の午後に招集された磐田の大岩をどう起用するか、あるいは、ボランチの戸田を下げるか、守備のオプションに監督の思惑は集中しているようだ。
「オプションは3つある。ひとつは普通に松田のところの大岩を入れる形だ。2つめは森岡を右に、真ん中を宮本にする選択肢がある。3つめは戸田を右のCBに入れる手段がある。彼はコンフェデレーション杯でこのポジションをやった実績もあるし、今クラブでもここをこなしている。いずれにしてもイタリアのメディアも非常に頭がいいので(原稿での駆け引きが上手いとのこと)今はまだ決めていない」

 イタリアのビデオはすでに合宿中にいたるところで流れているようだ。選手は様々なシーンをインプットしているようだが、守備の選手たちから漏れてくるのはその圧倒的な「スピード感」についてである。
 今年、スペイン、フランス、アフリカ勢とプレーをした日本ではフィジカルの強さを誇る波戸(横浜FM)は、体のスピード、頭のスピード、その両方の集大成だという。1歩の出遅れが1点を失うと、戒める。
「とにかく体で激しく当たるということ以上に、あの速さに目を見張る。トッティにボールが入ってからの速さですね、パス1本で攻撃が終わるなど、監督からはトッティのところで必ずひとつプレスをかけて行くように練習でも徹底されています。インザーギは裏を取る動き、デルピエロは足元でのさばき方、どれもとにかく速いですね」
 大岩も、日ごろのセリエAを見ている感想でも、どのリーグよりもスピード感を感じると話した上で、準備する。
「コンマ何秒の判断のミスが試合を分けてしまうでしょうね。遅らせるのか、わざと出ないのか、そういう細かな動きも含めて全体のコミニケーションが本当に大事になる」
 セネガル戦では、裏を取られ、サイドからの攻撃でフラット(面)は大きく揺さぶられた。相手の攻撃で、大きなチャンスとリスクと表裏一体という守備だけに、中田が見せるような速い、中盤でのプレス、チェック、サイドとの連携、DF3人の判断、すべてがスピード感の中での戦いになる。
 フランス戦での(0-5)失策以来、代表のゲームには出場していていないGK楢崎は、「名誉挽回、などということよりも、あれから一度も出ていないので、早くチャンスをつかみたい、切り替えたいという思いは強いです。いいことがなかったので、個人として自信とかまたやれるとか、それを示したい。油断してる暇もないほど速い、イタリアはそういうチーム」と、シュートに持ち込むまでの平均的なパスの数、時間についてまで分析していた。
 0-5で始まった今年の代表の日程は、このイタリア戦で終了する(予定)。アウェーでは無勝、ホームでは6勝1敗1分と、ホームでは安定した力を見せており、イタリア戦は、205日後を占うこれ以上ない材料になる。

2001年 日本代表戦績
月日 スコア 対戦相手 場所
03.24 0−5 フランス サンドニ(フランス)
04.25 0−1 スペイン コルドバ(スペイン)
05.31 3−0 カナダ 新潟スタジアム
06.02 2−0 カメルーン 新潟スタジアム
06.04 0−0 ブラジル カシマスタジアム
06.07 1−0 オーストラリア 横浜国際
06.10 0−1 フランス 横浜国際
07.01 2−0 パラグアイ 札幌ドーム
07.04 1−0 ユーゴスラビア 大分スタジアム
08.15 3−0 オーストラリア 静岡スタジアム
10.04 0−2 セネガル ランス(フランス)
10.07 2−2 ナイジェリア サザンプトン(イギリス)



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