2007年 みちのくヒメオオ採集記
- その1 シーズン開幕編 -

ishi



6月17日(晴れ:22℃)
毎年恒例となった採集シーズン開幕を告げる「父の日採集」
家族からのプレゼントとして、“採集でもどこでも行ってらっしゃい〜♪”と、いつもは家族の女性3人に囲まれ、ちょっと片身を狭くしての採集行きですが、この日ばかりは堂々と出発です(^^)
天気はまさに日本晴れ、気温もこの時期としては20度を超え絶好の条件!
6月のヒメオオ採集は、まだまだ実績も少なく個人的にチャレンジ段階ですが、今季初ヒメオオとの出会いに空想をふくらませ、フォレスターは一路目指すポイントへ。

あくまでターゲットはヒメオオですが、昨年に続き”木登りミヤマ”の発見にもチャレンジです。
さらに、正月にデジタル一眼(PENTAX K100D)を購入し、さらに5月には追加で超望遠ズームレンズ
(35mm換算18-250mm)を 採集用 家族撮影用に追加したので、写真の試し撮りにも期待が高まります(^^)

現地へ到着し、ミヤマでもいないかと通常よりも低地からルッキングしていると、おおなんと絶景かな。
カメラを買ってからヤナギだけでなく風景にも目が行くようになりました。
林の谷間から覗く青空と雲と緑のコントラストが鮮やかさに、ついにわかカメラマンの血が騒ぎました。
「軽く1枚撮ってみようかな〜♪」
と、車を軽く路肩にバックで寄せた瞬間ーーーーー“ガガガガッゴゴゴゴッッ“
「!!っ」
ものすごい音と衝撃に、瞬時に左後輪が側溝に脱輪したことを察し、速攻でシフトを戻しアクセルアクセル!(汗)
何とかタイヤが引っかかったか!?という手(足)ごたえがあったと思うまもなく、一気に這い上がったぁあ(ほっ)
「さすがフォレスターAWDの威力だぜ!」
と思うまもなく、“ブシュシュシュゥゥゥーーー”と派手に空気の抜ける音・・・魂まで抜けそう・・・
恐る恐るチェックすると、一目で修繕不能とわかるほど見事にタイヤバーストしてます(T_T)
あの衝撃にもかかわらず、アルミが見た目に無事だったのがせめてもの救いでしょうか。
改めて現場に目をやると、山道脇の側溝に草が完全に覆いかぶさって全くわからない状況、これはちょっと気づかないな・・・

見事なバースト(T_T)

「どうしよう・・・」
思考が停止した状態でも、はっきり理解できるのは「今日の採集は、終わった(T_T)」
というかまだ始まってもいないっつーのに・・・
しかもよりによってこんな誰も通らないような山中でパンクとは・・・
「スペアタイヤと交換しなきゃ」ようやく現実的な思考が戻ってきたものの、坂が結構急なのと、ちょっと自力で交換するには難しそう、というか危なそう、というか精神的ダメージが大き過ぎて気力なし(-_-)

「JAF呼ぼう・・・」
朦朧とした頭を働かせ、呼ぶにも携帯圏外だよな・・・なんとか時々周期的にアンテナ少し立つことが判明。
少しでも電波の良さそうな所まで歩いて、なんとか通話できそうなタイミングをみてJAFへ連絡を試みるものの、
1分もせずにすぐ圏外・・・
状況説明の途中でまた圏外・・・
場所を説明している途中でまた圏外・・・
すでに最初の電話から1時間近く経過し、さすがに電話の向こうの声が焦ってきた(^^;
こっちはとっくに焦ってるけど(^^;;
しばらくアンテナが立たない時間帯もあり、結局状況と場所を説明だけで1時間半もかかった。
さらに最寄のJAF車が到着するまでに2時間位かかるらしい(-_-;)
でも助けに来てもらえるだけで、ありがたいと思わなきゃ・・・
(ここまで待たされても全く自力で交換する気のない自分(^^;;)

JAFに連絡がついたことで、気が抜けたというか、すっかり現実に戻り落ち込んだ気持ちがで道路を見るともなしに
ぼぉーーーーーっと眺めていると、・・・眺めて・・・いると・・・
「ん?」
道の向う側から何かがトコトコ近づいて来る・・・ツヤ消しな黒い物体が・・・
近寄って確認するまでもなく、わかりました(@_@)
「まさか、マジ!?・・・」
ありえない、信じられない、ヒメオオ♀が道の向こう側から自ら歩いて来てくれるとは!
まるで作り話みたいだ(^^;

道の向こうからやって来たのは せめてもの記念写真 カミキリさんまでやって来た(^^;

いやぁ、うれしいというか、ちょっと感動・・・(一瞬背中がゾクゾクって来ました)
山の神様が、あまりにドジなクワ馬鹿を哀れに思って遣わしてくれたんじゃないかと、本気で思ってしまうような予想もしないサプライズでした♪
ちなみに高度計でチェックすると、実際にいつも採集している標高よりもかなり低い。
周辺の環境も道を挟んで片側は見た目ぱっとしない雑木林で、もう片側は完全に杉の植林地帯。
およそヒメオオな環境からかけ離れた感じで、もしパンクしてなかったら、スルーしてしまうような場所でした。
少し間をおいて、今度はコブヤハズカミキリが同じように歩いてきました(^^)
このカミキリは時々ヤナギについているのを見かけますが、改めて付近を見回してもヤナギは見当たら無いのに、先ほどのヒメオオといいどこから来たのか不思議です???
それと、JAF待ちをしている間に気づいたのが、この場所って小さなネズミが通ったり、動物の糞が落ちていたり、どうやらけもの道というか通り道になっている感じです。
しかし怪我の功名というか、これまでの先入観を改める良い勉強になりました。
頼りになりますJAF

その後、JAFの救援も来て(こんな山中までありがとうございます)無事タイヤ交換も出来ました(ほっ)
きっとその気になれば自力でタイヤ交換出来ない事もなかったとかな思いますが、精神的に無理でした(^^;
作業終了後、JAFの方が日陰に置いてた虫かごを見て「クワガタですか?」
中身がほとんど見えないにもかかわらずなんでわかったんだろ?(^^;
色々と話をしてみると隊員の方の息子さんがクワガタに興味があるそうで、書類を記入がてらちょっとしたクワ談義で「何が採れるんですか?」「○○で採集するならどこがいいですか?」等々の質問に、先ほど採ったばかりのヒメオオ♀をお見せしながら(きっと♀だと特長がわからなかったかも)、伺った地域の予想灯下採集ポイントと探し方などをせめてものお礼方々伝授をさせていただきました(^^)
あと折角なので戻りがけにどこかヤナギにヒメオオでも見つかればルッキング採集を見せられるのにと思ったのですが、さすがに移動ついで見つかるほど甘くありませんでした(^^;

思えばいい天気だった・・・ 慰めのミッキー スペアタイヤが悲しい

今でこそ笑い話ですが(というか書いててちと恥ずかしい)、実際にその場ではなんともいえない心境でした。
たまたま携帯が通じましたが、もし通じなくて更に側溝から脱出できなかったらと思うと・・・
一人で山へ入るという事のリスクを改めて感じました。
そういえば、肝心の見とれた絶景写真、結局撮ってなかった(^^;;

本日の成果:ヒメオオ1♀