学名のススメ(1)-1

ふじもり@えりー


はじめに

クワガタ愛好家に関わらず種々の動植物愛好者はいずれどこかで学名という言葉を耳にするだろう。
かつて私は学名を表現する媒体としてのラテン語の読み方(発音の仕方)について簡単な記事を書いた(クワ好きのための簡単ラテン語講座(1)(2))。
あらかじめ断っておくが、私は決して学名の専門家ではないし、ラテン語の専門家でもない。
ほんの少しだけ一般の人よりは学名に興味があり、職業柄ラテン語になじんでいたというだけである。
あの記事の中には少なからず間違いがあるし、今でも訂正しないといけないと思いつつそのままになっている。
ほったらかしにしている理由は、ラテン語なんて好きに発音すればよいのであって、コミュニケーションが成立しさえすれば何でもアリという面倒くさがりな私のスタンスによる。
分類学者はともかく、私たちアマチュアの甲虫愛好家にとって学名についても私は同様のスタンスを取っている。
とりあえず、「くわ馬鹿」はあくまでインターネット雑誌であり、ISBNもつかなければ、引用文献として認められるわけでもない。
クワガタ愛好家によるクワガタ愛好家のための全世界版ミニコミ誌なのだから、くわ馬鹿の記事のなかで学名を間違って使ったとしてもたいした問題にはならないだろう。

この記事では、学名というものに少しでも慣れ親しんでもらうために、その基礎知識について紹介したいと思う。
先に結論をいうと、学名は分類学者の道具である。
この意味がわかると学名も分かったことになると思う。
上で述べたように、基本的には我々とは縁のないものだからといって知らなくてよいということにはならない。。
この記事を読んだ読者が学名や命名、そして分類について興味を持ち、甲虫に関する興味が増して、クワガタライフなり、他の虫にも興味がひろがってくれれば幸いである。
正確さを要求すると冗長になり、分かりやすくするとウソになるというジレンマがあるが、なるべく平易に解説したいと思う。
また、全部の内容を一回ではこなしきれないと思うので、第一回は学名について簡単に紹介する。
第二回では分類学の基本となるタクソンとタイプについて紹介したいと思っている。
さあ、それでははじめよう。

(注)この記事のなかで重要な用語を強調するため水色で、私の独断と偏見による主張はで表記してある。特に大事と思われる部分は黄色で(セクションタイトルも含め)表記してあるので参考にしてもらいたい。