by リュージョン

3月21日鳥取県中部
春の彼岸の墓参りの帰りに、鳥取市のちゃんさんと採集に出掛けた。初対面であったが、まちかねBBSでのやりとりがあったため、すぐに打ち解けて話が弾んだ。ちゃんさんは、くわ馬鹿2002年春号の拙稿「早春のヒラタクワガタ採集」をご覧になり、地元として同様の採集を試みたが結果を出せずにいるとのことだ。
ヒラタ幼虫♂ 現地に着くと「ええっ?こんなに町中?ココいつも仕事で来てますよ」とびっくりしたちゃんさん。山陰はこの時期まだ朝方氷点下になるらしく、大山はじめ遠くを取り巻く山々は真っ白に雪で輝いていた。雉や鴨が飛び立つ河川敷に降り立ち、手っ取り早く去年削った材をまた攻めてみることにした。

河川敷に埋まっている材を堀り出して地中にあった部分を削っていく。ところが出てくるのは幼虫また幼虫。ヒラタクワガタには違いないが、ちゃんさんに成虫を見せてあげたい私としては焦る。

左はヒラタクワガタ♂幼虫。大小あわせて数10頭出てきたが、その中で大きいほうがこの程度。このまま持ち帰って飼育すると、7月頃に48mm〜55mm程度で羽化することが経験上わかっている。


 
蛹室真っ二つ 成虫を探して別の材を豪快にGERBER斧で割っていくと、真っ二つになった蛹室から桃太郎のようにパカっと♂成虫が現れた。艶の消えたサイズはこの日これ1頭だけだったので冷や汗ものである。

ヒラタクワガタ♂成虫53mm。ココでは大きいサイズ。蛹室の両端には灰褐色の鳥の巣状詰め物を丁寧に作っていた。


倉吉産ヒラタ ちゃんさんは材の端の方に成虫の居場所を見つけ、「♀ばかり。でも居るんですね〜」と満足そうに取り出している。続ければ成虫がもっと採れただろうが、出てくる幼虫が多すぎるし、日も傾いたので片付けに入った。帰路、天神川沿いを走ると、見事な柳だらけの河川敷が海まで延々と続いていた。ここには無数のクワガタが居るんだろうな、でもみんなピカピカで小さいんだろうなと考えた。ちゃんさんは、要領がわかったので同様の採集を鳥取県東部の千代川でも試してくれるとのこと、成果を期待しよう。この日に果たせなかったテーマ、つまり周囲の里山のヒラタとのサイズ比較も任せよう。昨年、得意の灯下巡回で68mmヒラタを貰って(爆)いるちゃんさんからは、樹液採集も合わせて今後色々と面白い話を聞かせてもらえそうだ。採れた成虫は少なかったが、実りの多い楽しい採集だった。

この日採れたヒラタクワガタ成虫2♂4♀。夕日に当たって奇麗だ。

さて、くわ馬鹿2002年春号の拙稿で、鳥取のヒラタは瀬戸内(兵庫南部)のヒラタより大アゴが長いのかどうか知りたいと書いた。結論から言うと、やや長いような気がする。多くの個体をきちんと計測して数値化すれば有意な差が出るかなという程度だ。この日と同じ採集地のペアから採卵飼育して得られた個体を見ての感想に過ぎないが、参考までにその画像を載せておく。
飼育個体62mm飼育個体65mm
飼育したもの。左が62mm、右が65mmの鳥取系ヒラタクワガタ。大アゴがスリムな気がする。どうだろうか?


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