V. 割り出し

さて、いよいよ割り出しだが、幼虫を採集した時期や形態によって、割り出しの時期が異なるので気を付けたい。

10月初旬までに採集した太った終令幼虫は1月にはほぼ羽化している。

また、2月頃までに採集した太った終令幼虫は7月には羽化している。

なお、上記2例は何れも加温なしで飼育した場合である。

その他、太っていない終令幼虫は(夏場25度以下で保管)9月に大体羽化するようである。
Fig.7
私は今回、最後に述べた太っていない終令幼虫であったが10月初旬の割り出しでは、まだ前蛹(Fig.8)のものや、蛹(Fig.9)の個体も出てきてしまった。

前蛹で割り出してしまった個体は、残念ながら羽化させることは出来なかった。
Fig.8
蛹で割り出してしまった個体は、オアシスを利用した人工蛹室で、無事に羽化までこぎつけることができた。

いずれにせよ、割り出しはフィールドで行なうように、慎重に削り出した方が無難なようである。
Fig.9
次に、削り出した成虫の保管であるが、Fig.10のようにプリンカップなどにティッシュペーパーを敷き、霧吹きで適度に湿らせた上に成虫を乗せて、上からまたティッシュを被せて保管する。

私はプリンカップではなく、積み重ねの出来るプラスチックケースにティッシュを丸くカットして敷いて保管している。
Fig.10
これでブリードが出来ればいいのだが、まだ経験が無いため、今後チャレンジしてみようと思う。

Fig.11

最後に・・

コルリクワガタの材採集を始めて思った事は、思ったより成虫の採集は難しく、殆どの場合が幼虫での採集になってしまうと言う事だ。

採集したものが幼虫だからといって、放り投げるようなことはやめたいのもである。

最終的には標本にしてしまうにせよ、虫に対する優しさも忘れないで頂きたい。
もちろん、幼虫は全て持ち帰ろうということではない。

自然に羽化出来そうな状態のものは、そっと戻してあげることも大切なのだ。
また、そっと戻せるような採集の仕方も同時に大切なのではないだろうか。

環境にやさしく、虫にやさしく、昆虫採集をたのしんで行こうではないか。

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