まいまいかぶり!

by A.CHIBA

唐突であるが・・・(汗)
我らが子供の頃から夢中になった「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」等々・・・ 多くのヒーロー達、これらを世に出した漫画の神様、手塚治虫をご存じない方はまずいないだろう。
この天才が虫好きだったことも多くの人が知るところだが、中学生の頃 から虫に関するエッセイを書いたり、 更に昆虫図鑑を手書きの精密画で作っている。(未完) それらはやはり非凡で中学生とは思えない 素晴らしい出来映えで感心してしまう。
蝶や各種甲虫、珍奇な虫と興味の範囲は広かった様子だが、甲虫ではオサムシ がお気に入りだったらしい。ペンネームである手塚治虫の「治虫」はオサムシ (マイマイカブリが一番 好きだったとか) からというのも、良く聞く話しである。
甲虫の仲間には宝石の様な輝きで美しいモノも多いが、 中でもオサムシの綺麗な色や変異に魅せられた虫屋は昔から多かった。
で、、その中のマイマイカブリを少しだけ!


北海道産のエゾマイマイカブリ
左、網走湖畔産、右、南富良野産。 産地(北海道内)でそれほど大きい差は無いようだ。
この他、北海道には同じマイマイカブリ属のオオルリオサムシ、 オシマルリオサムシがいる。どちらも金属光沢を持った 日本で一番美しい種。


オサムシの中でも、マイマイカブリの仲間は全国 (北海道から屋久島) に広く分布し各地で 変異が多い。
このマイマイカブリは、その名の由来のとおりカタツムリ(蝸牛)を主に食して いるのだが、大概の虫関係の本や図鑑などには、 殻の中に頭をつっこんで食いやすくする為に、首が長くなっている と書いてある。だが幼虫の首はさほど長くない。
首が長くて眼が飛び出し、立派なひげ (触覚) もある。それに、なんとも言え ない臭いも出す。(笑) オオ顎は鋭く咬まれる と痛そうだが、カタツムリの殻を食い破って食う事も有るのか? マイマイは他のオサムシと比べ大きく成るものもいてそれなりの迫力も ある。


左右とも岩手県産、キタマイマイカブリ。
本州北部に産するモノは、前胸には金属光沢があり上翅は緑色を 帯びた美しい個体が多い。

左は新潟県佐渡島産、サドマイマイカブリ。他の産地と比べ 首が太くて短い。
右は新潟県粟島産、アオマイマイカブリ。

昼間に落ち葉の間をガサゴソと走っていることもあるが、夜間に クワガタ虫などを樹液採集していると、このマイマイカブリが樹液 (舐めていた・そう見える) に来ていることがあり、時には一ヶ所の樹液ポイントで複数を発見したこともあった。そこまで運が 良いのは希だが、真っ暗な雑木林 の中を懐中電灯片手にさまよい歩いた事のある人なら、その様な状況を経験した事があるのでは!と思う。
フィ-ルドに出る時は大抵カメラを持って行くのだが、運良く昼間に遭遇したとしても、例のごとく素早 く走るし、活動中の生態を写真撮影するのは結構難しくてなかなか成功しない。カタツムリを狩っている 処も観てみたいのだが・・・

オサムシの採集方法で良く知られているのはオサムシトラップや冬に雑木林の中の切り 通し (低い崖の様に成っている場所) などを掘る方法だが、集団で越冬している沢山の個体がみられる こともある。また朽ち木の中にもぐっている場合もあり、冬にクワガタ幼虫を割りだしているとオサムシ やマイマイカブリの越冬成虫に出くわす事もある。
結構長生きし成虫で2年以上生きる個体もいるようだ。



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