「怪説・世界のクワガタ」 第15回 オ−ストラリアのクワガタ (1)

A.CHIBA
今回はオ-ストラリア大陸のクワガタを“怪説”してみる。この大陸は早い時期に他の地域と 離れたそうで動植物は独自の進化をとげ他の地域ではあまり見られない種が多く、 クワガタ虫の仲間でも日本と比べるとだいぶ異質な感じのものもいる。その中でも世界最高の 美麗種と言われるニジイロクワガタは大型種で飼育も容易らしく人気になっているようで、日本 の空をキラキラと輝きながら飛ぶ日も近い!(冗談)
ニジイロ・キンイロ他、美麗種は又の機会に譲るとして、今回はもっと地味な小型種で少し変なヤツで ある。大きい種でも40mm程度なのだが形態はなかなか迫力の有るものもいる。これらの種ももう少し 大型になるなら更に人気が出るのかもしれない、、

- Lissapterus属 -



@ Lissapterus howittanus (Westwood,1863)
【分布】NEW SOUTHWALES, QUEENSLAND
  ニュウサウスウエ-ルズ、クィンズランド
【体長】♂20-35mm ♀20mm〜

この Lissapterus属は触覚(アンテナ)の先端がカットされた様な形状をして おり、Lissotes属など似た属との区別はここを見る事で容易に出来る。 オ-ストラリア本土のみ(ニュ−サウスウエ−ルズ州・クィンズランド州) に分布し、10種程度が知られているだけの小属だがどれも多くは採集され ないらしい。今回は5種のみの紹介。
その中でこの howittanus が一番多く採集されるらしく、他の種よりは良く 見かける。この属の基準種で体型は他の種と比べると筒型に近く、体にいく ぶん艶が有る。
それと種名だが、他の種も含めてやはり和名が付いていた方が覚えやすい事は 確かである。だが紹介されている書物により色々な名前が付けられているよう で、かえって混乱するとも思えるのだが、少しおもしろいので今回は資料の有 るものを書いてみる。

「世界のクワガタムシ科チェツクリスト 永井信二著 1985 」ではこの属の和名 をミナミオオクワガタとしている。昔アンタエウスオオクワガタをこの名を 付けて紹介している書物(図鑑)もあった。

「INSECTAトップ NO.5 水沼生物研究所 1991」では、このクワガタの和名をホウイ タヌスハネナシフトクワガタとしている。

「世界のクワガタムシ大図鑑 1994」では、この属をオオコツノクワガタ属と して、このクワガタの和名はオオコツノクワガタ(基準種)としている。

「世界の珍奇クワガタムシ 池田晴夫著 1998」では、この属をタンククワガタ とし、この種の和名はゴウシュウタンククワガタ。



A Lissapterus tetrops Lea,1916
【分布】NEW SOUTH WALES,
ニュ−サウスウエイルズ
【体長】♂ 25-37mm

前種よりは体が扁平で幅広くこの種の方がいくらか大きくなるようである。 (但し大きさに関して今まで見た個体での話しなので正確ではないかも) 大腮は強く湾曲して最大型の内歯は殆ど消失する。

「世界の珍奇クワガタ 池田晴夫著 1998」において、この種の和名はテト ロプスタンククワガタ。



B Lissapterus obesus Bomans 1986
【分布】NEW SOUTH WALES,
ニュ−サウスウエイルズ
【体長】♂ 25-40mm

写真の個体は体長35mm有るが中歯型。大歯型は内歯が一対だけ下向き加減に出 ている。この属の中では大型に成る種。

「世界の珍奇クワガタ 池田晴夫著 1998」において、この種の和名は オベススタンククワガタ。