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■ 触媒付きセンターパイプに関する考察 ■
(PRS:プレジャー・レーシング・サービス製)

触媒付きセンターパイプを装着した「顛末記」です。純正パイプとの
 排気ガス濃度比較結果(低温始動時)や使用感などをレポートします。

You are the   'th person that will be interested in the facts described below.
Please read carefully, and you can understand what the author is trying to show. Thank you.
 
●2001-03-02:作成&仮公開 → 事実確認のため即削除、●2001-03-18:全面改定&公開、
●2001-03-19:完成(誤記訂正)、●2002-02-20:レイアウト変更&書式統一

【図1】 触媒付きセンターパイプを装着した状態
実車装着状態(フロント景観) 実車装着状態(リヤ景観)

このページは以下の八つの章で構成されています。 全体ではかなりのボリュームになりますが、本邦初公開事項
も含まれていますので、最後まで目を通してやって下さい。 データについてはなるべく数字で定量的な結果を出す
 よう心がけていますが、それに対する考察や結論は、筆者の個人的判断によるものであることをご承知置き下さい。

第一章 まえがき (1-1) センターパイプの購入理由
第二章 PRS製センターパイプの特徴
 
 
 
 
(2-1) 外観チェック
(2-2) 安さへの疑問
(2-3) 触媒サイズの確認・その1
(2-4) 触媒サイズの確認・その2
(2-5) 触媒サイズの確認・その3
第三章 コーヒーブレイク(豆知識) (3-1) 通称名について
第四章 センターパイプの装着作業 (4-1) 注意点と雑感
第五章 低温始動時の排気ガス濃度比較(純正vsPRS)
 
 
 
(5-1) 計測条件などについて
(5-2) CO濃度についての比較結果
(5-3) HC濃度についての比較結果
(5-4) 考察の落とし穴
第六章 中間加速タイムの比較(純正vsPRS)
 
 
(6-1) 計測手法と注意点について
(6-2) 計測時のコンディションについて
(6-3) 中間加速タイムの比較結果
第七章 排気音の変化について
 
 
(7-1) 始動時の排気音変化
(7-2) 暖機後の排気音変化
(7-3) 高回転時の排気音変化
第八章 私的なまとめ
 
 
 
 
 
 
(8-1) 静的評価
(8-2) 動的評価
    〜低温始動時の排気ガス濃度〜
    〜完全暖機後の排気ガス濃度〜
    〜中間加速タイムの比較〜
    〜排気音などの変化〜
(8-3) まとめ

 

1. ま え が き
 

■購入理由について
アフターマーケット (←変な日本語英語ですね) では、実に様々な排気系パーツが販売されています。例えば、すでに生産中止になったBGレガシィを挙げてみても、各社からエキマニ/フロントパイプ(通称名)/センターパイプ(通称名)/リヤマフラーが発売されています。ターボ車では排気系の構成すべてを社外品で固めることも出来るほどです。今回、センターパイプ(通称名)をPRS(プレジャー・レーシング・サービス)製の 「触媒付き」 に交換した理由は、ズバリ、アフターマーケット品の実力に 「興味(疑問)があったから」 に他なりません。
 

【図2】 純正パイプとPRS製パイプの比較
     (画像の上がPRS製、下が純正)

純正との比較(全景)

純正との比較(先端)

At a glance, you can find many differences between the
shop-made pipe and the pipe equipped by car-maker(FHI).
The characteristic features on the former will be revealed later.

レガシィ乗りに限らず、いわゆるクルマ好きの人々の間では、「メタル触媒」 が 「スポーツ触媒」 としてモテはやされる傾向があると思います。確かに ”抜けの良さを確保したまま触媒も付いている” となると、(買い手側だけでなく) 売り手側にとってもセールスポイントになるでしょう。ただ、これは私は以前から疑問に思っていたことなのですが、果たして 「メタル触媒」 は世間で騒がれるほどの万能選手なのか? 世の中のクルマ好きは単に 「メタル触媒」 という表面上の言葉のみに惑わされていないのか? 触媒が「メタル」に変わるだけで性能が上がるものなのか? パイプ形状の変更で性能が変わるのではないか? いや、そもそも 「性能」 って一体何のことだ・・・?

「触媒」 であるからには、排気ガス浄化能力も立派な 「性能」 の一つであるハズです。私から見ると、世間では 「触媒としての基本性能が純正触媒と較べてどうなっているのか」 についての論議が皆無であるように感じられます。もっと暴言(>失礼!)を吐くなら、売り手は 「メタル触媒」 という言葉の響きが持っている力でセールスし、買い手も排気ガス浄化能力の良し悪しなんてことまで気が回らずに、単に 「メタル触媒」 という言葉にありがたがって飛びつく (購入する) 風潮があるのでは・・・? という疑問を拭い(ぬぐい)切れずにいたのです。

こうした疑問を持っていたときに、ちょうどPRSから 「触媒付き(→注1)」 センターパイプがリリースされました。もうこれは実際に購入して自分で試してみるしかありません。PRS製を選んだ理由は、ちょうどこの時期にタイムリーに新発売されたこと、メタル触媒付きとして前評判が良かったこと(→注2)、たまたま私がPRSのある岐阜方面に足を運ぶ機会があったこと、価格が他社製パイプよりも安かったこと、などが挙げられます。・・・安いとは言っても、疑問を晴らすためにわざわざ6万円強(税込み61950円)もの自腹を切って自分で実験をしようとする者は、数あるレガシィ乗りの中でも私くらいしかいないかも知れません。

(注1)
私が当初購入したものは、触媒に 「メタル担体」 ではなく 「セラミック担体」 を採用したロットであることが判明しました。よって、このページに示された情報は 「セラミック触媒付きのロット」 に限定されたものであり、すべてのPRS製センターパイプ(現在の触媒付きのロットはメタル担体採用とのこと)にそのまま当てはまるものではないことを、ご了承願います。
(注2)
本件については、後述します(→第二章 【資料】:「ケーススタディ」 参照のこと)。
 

2.PRS製センターパイプの特徴
 

ここでは、PRS製センターパイプの特徴 (と、販売価格の安さ) について私見を述べてみます。実は製造時期の違いにより、PRS製センターパイプにはいくつかのバージョンが存在します。初期ロットにはパイプの中央部に膨張管があったようですが、私が購入したものはストレート構造で膨張管は付いておらず、第二期ロット品と思われます。また、前述のごとく、結果として触媒はメタル担体ではなくセラミック担体を採用したロットでした (現在販売中のものはメタル担体採用だそうです)。

■外観チェック
外観上の仕上がりはとてもキレイです。溶接の跡、パイプの曲げ部分、どれをとっても文句はありません(図3)。いったんクルマに装着してしまうと外からは容易に見ることのできないパーツですが、この美しさはなかなかのものです。重量については、ガスケットやボルト&ナットなどの付属品を含まない総重量で約5.2kg。純正のセンターパイプ(通称名)は約8.4kgでしたから、約3.2kg(≒38%相当)の軽量化になります。各部の概略寸法は以下の通りです
(調布市のKAZ調べ)。ここまでは問題ありません。次はいよいよ触媒部分のチェックに移ります。

【図3】 PRS製センターパイプの外観
(左:触媒部分、中央:溶接&曲げ部分、右:リヤ絞り部分)

触媒内蔵部分

中央の溶接&曲げ部分

リヤの絞り部分

The pipe, made of stainless-steel, is really good-looking.
It is announced by the shop that the pipe has φ70mm diameter in size.
The weight is about 38% less than that of the originally equipped pipe.

 

【図4】 PRS製センターパイプの実測・概略スペック
      (パイプ内径 公称値φ70mm)

●パイプ基本肉厚: t=2.0mm ●総重量: 5.2kg(純正8.4kg)
各部の寸法早見表

部位 長さ 内径φ 外形φ
A:  5.5cm  68mm  70mm
B:  4.5cm   −  76mm
C: 18.0cm   −   −
D: 15.0cm   −   −
E: 40.0cm (68mm)  70mm
F: 60.0cm (68mm)  70mm
G:  2.0cm (68mm)  70mm
H:  3.5cm   57mm  61mm

フランジ厚: 約0.8cm、
(  )内は推定値。

■安さへの疑問
私の頭の中には、「どうしてPRS製のパイプは他社製のそれと較べて安価なんだろう?」 という疑問もありました。センターパイプ(通称名)の構成は、大雑把に言うと、前後のフランジ、触媒、遮熱 (またはガード) 板、そしてステンレスパイプくらいのものです。ステンレス鋼材の卸値や板金部品の直材費、パイプの曲げ加工費や溶接費などは、ハッキリ言ってどこでやっても変わらないハズ。もし原価に違いが出るとすれば、私には 「触媒」 しか考えつきません。つまり、触媒のコストを引き下げないと販売価格を抑えられないのではないか・・・? というのが、私の購入前からの 「読み」 でした。

もちろん、PRSでは独自の企業努力によって流通コストを引き下げた結果を、販売価格に反映してくれただけなのかも知れません。後からリリース (市場へ参入) するためには、同様な先発他社商品よりも価格面での競争力が無いと、ユーザーに受け入れられないとの思惑も働いて価格設定したのでしょう。いや、きっとそうしてくれたに違いありません。・・・しかし、私のような (少々ヒネた?) 素人ユーザーには、触媒そのものの仕様がやっぱり気になったのです。

■触媒サイズの確認(その1)
まずは触媒部分の外観チェックからです。図5に示すように、担体収納部の容積が純正とは大きく異なります。次にフランジから覗き(のぞき)見える部分をチェックします。

【図5】 内蔵されている触媒について、外観からわかること
(左:純正との容積比較、中央:フランジから見える部分、右:セルの拡大図)

純正との容積比較

見える部分からチェック

触媒セルの拡大図

Here you can see some of characteristic features on the pipe, especially on
catalytic converter in it. The catalytic converter has about 64 cells per [cm2].
The shop insists that the catalytic converter, in the front part of a pipe, is now
a metal catalytic converter. (The old type that I bought has a ceramic one in it.)

実はこのセンターパイプ、当初は PRS掲示板 にて 「メタルキャタライザー付きでこの値段は安い」 という内容でにぎわっていました。私も購入に際しては、当然それらの情報を参考にしていました。実際に 「メタルCAT.付きセンターパイプ」 というタイトルで、スペックに関する事前質問をしたほどです。

しかし今、こうして実際に装着する際に、購入したパイプの触媒をフランジから注意深く観察すると、セル配列が 「格子状に上下左右に規則正しく並んでいる」 生産ロットであることが判りました(図5および下の画像01〜06)。また、触媒とパイプ内壁との間には何やらクッションのようなものも見えました(下の画像03)。通常、メタル担体では中心から外周に向かって渦巻き状にセルが並ぶこと、また 「マット」 や 「緩衝剤」 と呼ばれるクッションが不要であることが特徴であると言われています(→例:カルソニックのWEB)。

私が購入した生産ロットの触媒の特徴(現在のロットとは別仕様)
↓各画像をクリックすると拡大します↓

画像01
prs_01s.jpg
画像02
prs_02s.jpg
画像03
prs_03s.jpg
画像04
prs_04s.jpg
画像05
prs_05s.jpg
画像06
prs_06s.jpg

当初から私の頭の中には、「PRSの触媒付きセンターパイプは”メタル触媒”であることが商品上のセールスポイント」 のように思えましたから、これらの(セラミック的な)画像を前にしながらも 「これは新型?のメタル触媒なのだろうか?」 との疑問をなかなか拭えずにいたのです(痛タタタ・・・)。そこで、触媒関係の仕事に従事している知人に打診してみたところ、図5(または画像01〜06)のようなメタル触媒は過去に見たことが無いという答えが返ってきました。

結局、その疑問は 「触媒の仕様に関し、販売者側と複数の顧客側との間で誤解が生じていた」 というトラブルから起こったものでした。PRS掲示板での論議の末、『発売開始してから、何度かの仕様変更の末、セラミック触媒の物、メタル触媒の物が存在』 すること、『セラミック触媒のタイプの触媒付センターパイプをお使いで、メタル触媒である事にこだわりをお持ちのお客様に関しましては、触媒をメタル触媒に取り替える事で対応』 するとの公式アナウンス(原文のまま)が発表されて、一応の決着をみた形になりました。

本件について、その経緯がわかるページを別途用意しました。レガシィ用センターパイプが新発売された当初からのPRS掲示板でのやりとりを、可能な限り原文のまま収録しています。PRSさんの今後の発展やユーザーの意識向上、および今後のトラブル防止のためのケーススタディとしてご活用下さい。もちろんこれは、私にとっての備忘録(反省)でもあります。

【資料】 → PRS掲示板でのやりとりの記録
        (トラブル防止のためのケーススタディ)

■触媒サイズの確認(その2)
気を取り直し、今度はそのセラミック触媒のサイズについて、さらに私なりの観察を進めていくことにします。触媒に定規を当てると、長さ1.0cmあたりの隔壁数は8個であることから、触媒通路の単位面積当たりのセル数は 「約64セル/cm2」 と算出されることになります(図5および上記画像04)。ノーマルのセル数はおおよそ300〜400(/inch2または/cm2)と言われていますから(→例:ナイトスポーツのWEB)、この触媒は非常にセル数が少なく、したがって通路抵抗減少(とコスト減)を強く狙ったものであることが分かります。確かに単位面積当たりのセル数が少ないほど通路抵抗は小さくなりますが、排気ガスの浄化能力は悪化することでしょう。もちろん、仮に純正の触媒よりもサイズダウンしていながら同等の浄化能力を(メタル担体で)確保しているのであれば、何も言うことはありませんが・・・。

ただ、外見チェックからはどうしても分からないことがあります。それはズバリ、触媒の長さ (パイプ前後方向での長さ、奥行き) です。果たしてパイプの容積室 (膨らんだところ) すべてにギッチリと触媒が埋まっているのでしょうか? 製品になってしまうと、外からは触媒の実際の奥行き寸法は分からなくなります。こんなことを考えるのは私だけかも知れませんが、メタルであろうとセラミックであろうと、スポーツ志向であること (と販売価格) を考え合わせると、PRSさんには大変失礼ながら、外筒 (前述・図4の寸法D) に対して実際に内蔵されている触媒は短縮 (サイズダウン) されているかも? という懸念が頭をよぎります。もちろんそれはウラを返せば、そのぶん排気の通路抵抗減少に力を入れているとも取れます。が、本当に通路抵抗が気になるようなユーザーは、最初からPRSで併売されている触媒レスタイプのパイプを選択するハズです。わざわざ触媒付きのパイプをリリースするなら、ユーザー側としてはそれなりの触媒性能も期待したいところです。

■触媒サイズの確認(その3)
そこで私は、触媒の長さ (奥行き寸法) を簡易的に調べるためにちょっとした 「トラップ」 を作りました。「トラップ」 とは言っても、適当な太さの針金を単に折り返しただけのものです(図6)。しかしこのシンプルな「トラップ」のおかげで、目視だけでは分からなかった触媒の (パイプに沿った前後方向の) 長さが分かるようになると考えました(図7)。

【図6】トラップの作成

適当な太さで充分長い針金を用意する(太くても細くても適さない)。その先端を右図のごとく折り曲げて「返し」を作る。

トラップの作り方
 
【図7】トラップの仕組み

下図で青色の箱はセンターパイプの触媒を、黒色の線は針金(トラップ)を、赤い矢印は針金(トラップ)を動かす方向を示す。触媒はセンターパイプ通路に平行にセル(小隔壁)を持っている。今回求めたいのは、触媒の実寸法(下図で長さ L に相当する部分)である。
 

(1)触媒に挿入
トラップを触媒に挿入
(2)セル内を通過
トラップが触媒内を通過
(3)セルを貫通
トラップが触媒セルを貫通
(4)針金を引き戻す
トラップを引き戻すと長さが判明
 
(1)触媒のセル内にトラップの先端を用心深く挿入する。
(2)セル内をトラップが進んでいくところ。その際、微少な挿入抵抗感が続く。
(3)トラップが触媒を貫通した瞬間、その挿入抵抗感が無くなる。
(4)トラップをゆっくりと引き戻すと、先端の折り返し部分が触媒の終端に引っかかる。
 
 ※ 触媒の(前後方向の)長さL は、 L=L1−L2 として算出される。
 

L1:あらかじめ測定しておいた、トラップ先端からの針金の長さ。
L2:トラップ先端が「触媒の終端」に引っかかったときの、触媒始端からの針金の長さ。
 
【図8】実際の触媒の
    長サはこんな感じ?

 
驚きの事実!?
Come to the conclusion that the size of the catalytic converter in the pipe may be shown as above...?
   このようにトラップを用いた測定を、セル(場所)を変えながら複数回繰り返し行います。ところが、何度繰り返し行っても、得られたLの値はある不思議な値で毎回安定するのです。

その値はL=7.5(cm)。つまり、外見で見えるメタル触媒収納スペースのほぼ半分に相当する長さです(図8の青色部分)。え?! 実際の触媒の大きさは、見た目の半分しか無い? ・・・果たして私の計測方法は間違っているのでしょうか。

仮に間違うことがあるとすれば、それは 「長さの短い触媒」 がタンデム状に (=パイプ内に直列に2個並んで) 内蔵されている可能性が考えられますが、もしそうであると仮定したなら、図7の過程(3)にて、1個めの触媒部分を貫通した際に 「トラップ」 は2個めの触媒の入り口で突き当たってしまい、そこから先へは進まないハズです。セルの位置がズレるからであり、またそういう太さの針金を使っているからです。

ところが実際には、1個めの触媒を貫通したあとのトラップはスルスルと何の抵抗感も無く触媒収納スペース(図4のC部分)をくぐり抜け、メインパイプ(図4のE部分)にまで達してしまうのです。何度やっても、です。図6のトラップ作成上の注釈で 「充分長い針金を用意する」 と書いたのは、これを確認する狙いがあってのことです。さらに現品を注意深く観察すると、これまで遮熱板(ガード板?)のカゲに隠れて分かりにくかったのですが、触媒収納スペースのほぼ中央部には 「くびれ」 というか 「スジ」 が全周に渡って設けられており、そこだけ径が一段細くなっていることが判りました (図5の左端画像、および図8のイラスト参照)。この 「くびれ(スジ)」 は、長さの短い触媒をパイプ内で固定設置するための”ストッパー”であると解釈すると、(価格を含めて)私のすべての疑問に対し説明がつくことになります。

・・・そう、ここに至って、私は 「実際に内蔵されている触媒は、見た目の半分の大きさしか無い。」 という見解にたどり着くわけです。ただし、性能がちゃんと確保されているのであれば (あるいはオリジナル製品として狙い通りの性能のバランス点が新たに取れているのであれば)、コストメリットばかりか軽量化にもつながるわけですから、その事実が悪いとは一言も言うつもりはありません。その点をくれぐれも誤解の無きようお願いします>ALL。

もしかすると、こういったこと (=触媒の大きさが見た目の半分しか無いということ) は単に私が知らなかっただけで、実は他社製センターパイプなどでも同様に見受けられる常套手段なのでしょうか・・・? というのも、失礼ながらショップやガレージがパイプに合わせてセラミック触媒 (当然メタル触媒も) を自社生産しているとは到底思えず、したがってPRSがセンターパイプに採用している触媒も、触媒メーカーから卸された単なる汎用品である可能性が高いと考えるからです。ということで、残念ながら私が購入したロットはメタル触媒内蔵タイプではありませんでしたが、第5章では実際の排ガス浄化性能、特に、エンジンを暖機する前の、排気ガス温度が充分低い状態での触媒性能について検証します。このような小さなサイズで、果たして排ガス浄化性能は確保されているのでしょうか? 非常に興味のあるところです。
 

3.コーヒーブレイク(豆知識)
 

余談ですが、先ほどから 「(通称名)」 と並記している理由は、スバルの整備解説書に書かれているパイプの名称は、実際に私たちが使っている名称と異なるからです。例えば、アフターマーケットで市販されている 「フロントパイプ」 は、整備解説書では 「センターパイプ」 と記載されています。より正確には 「エキゾースト パイプ センター レフト/ライト」 となります。市販の 「センターパイプ」 は、「エキゾースト パイプ リヤ」 となっています。
 

BG/BDレガシィ ターボ系の場合

市場での【通称名】   【整備解説書】での呼び名
エキマニ エキマニ & フロント パイプ
フロントパイプ エキゾースト パイプ センター
センターパイプ エキゾースト パイプ リヤ
マフラー メインマフラー

そのため、私たちが会話の中で普通に ”センターパイプ” と言うと、それはディーラーのメカニックさんなどにとっては ”いわゆるフロントパイプ” と認識されてしまうかも知れません。センターパイプ(通称名)の装着にあたり、ガスケットなどの小物部品をディーラーに注文するときには、センターパイプ用を注文したつもりがフロントパイプ用が来たりする恐れもありますから、要注意です。
 

4.センターパイプの装着作業
 

前章までの考察で誌面(画面?)の多くを使ったので、装着についての説明は簡単に流します。自分でマフラー交換出来る人にとっては、センターパイプ(通称名)交換作業も難しいものではないでしょう。ただ、リフトや地下ピットが無い場合、ウマを車両の前後左右に4脚当てての作業となるでしょうから、個人で実施するには十分な安全面への配慮が必要な作業、ということは言えるでしょう。
 

【図9】 車両を地下ピットに入れて、純正パイプを取り外したところ
     (左:ピットに入ったところ、中央:フロント側、右:リヤ側)

ピットにクルマを入れたところ

パイプを外したところ(フロント側)

パイプを外したところ(リヤ側)

It may be certain that the bolts, nuts, and gaskets used onto exhaust pipes
are not easily released as you think, so you have to be careful not to injure
yourself or break other parts (ex. sensor wiring) near the exhaust pipes.

注意点としては、排気系部品の締め付けボルト&ナット類は、熱硬化していたり錆び付いていたりするため、取り外しの際には思いのほか力を込めないとゆるまないことがあります。反動でケガをしないように (あるいは車両がウマから落ちないように・・・おぉ怖ぃ・・・)、十分な注意が必要です。

実は私のクルマも、スキーに行ったり北海道に帰省したりするため (融雪剤の影響?) か、走行4万km台 (登録4年半経過) ながらサビが結構キツかったです。恥ずかしながら 「オレのクルマの排気系って、こんなに錆びていたのか?」 と自分で驚いたくらいです。クルマを長く維持させ続けるためには、よく言われる油脂類、ダンパーやブッシュなどのリフレッシュのみならず、実は使用条件として最も厳しい環境(の一つ)にさらされている排気系のボルト&ナット、ガスケット類の交換もメニューとして必要なのではないか・・・? と、改めて思い直した次第です。

【図10】 取り外したボルト類と新品ボルト類の比較
     (左:サビサビ状態、右:新品状態)

サビついていたボルト類

新品ボルト類

Compare the figures above, and you will understand
the severity of heat is beyond our consideration at all.

5.低温始動時の排ガス濃度比較(純正VS.PRS)
 

前述の第二章では、PRS製・触媒付きセンターパイプの概略スペックについて述べました。ここでは、その「触媒」としての性能を、純正触媒と比較した結果についてお伝えします。特に、触媒が活性化する前の状態、すなわち低温始動時からの排気ガス濃度の推移について、詳しく述べることにします。

通常、触媒には適正な作動温度範囲というものがあり、ある温度以下では活性化しないために浄化機能が十分に働かない・・・という性質を持っています。これは、自動車メーカーに純正採用されている触媒にとっても、避けることのできない性質のようです。例えば良く冷えた冬の日には、朝イチバンの始動直後の排気ガスが臭うのは、このためです。エンジン始動後、いかに早期に触媒を活性化させ、排気ガスをクリーンなものとさせるか。内外の主要な自動車メーカーはクリーン触媒やクリーンシステムの開発にしのぎを削っているはずです。環境にうるさい欧州や米国では、触媒の活性化を促進させるための「触媒ヒーター」なる装置まで純正採用するメーカーもあるほどだ、と聞きます。二輪の世界でも、メーカーが触媒をバイクに純正採用するケースも増えているようです。

そこで今回、純正パイプとPRS製・触媒付きセンターパイプについても、低温始動時からの排ガス濃度を時間を追って連続計測することにしました。低温から測定を開始する理由は、条件がより厳しい方が両者の差が出やすいと思ったからです(逆に言うと、完全暖機してしまった後では、両者でほとんど差が出ないかも知れない・・・という「読み」もあります)。ただし、条件が厳しいとは言っても、日常生活の中で実際に起こりうるシチュエーションから逸脱しない範囲内での計測であることには変わりない、と考えています。

●共試車両
・車両           BG型レガシィワゴンGT−B(BG5B5CD、5MT)
・計測時の走行距離   約43000km
・使用エンジンオイル  スバル純正油(5W−30)
・使用ガソリン       昭和シェル系 ハイオク
・ECU           純正(リコール対策済み)
・吸 排気系        吸気系:ノーマル(ダクトのみBHレガシィ用)
               排気系:ノーマル(エキマニのみプローバ製)

●計測条件
・計測は冬場の1月か2月中に行う。東京では、最低外気温度0〜5℃狙いとなる。
・クルマを水平な場所に一晩放置(夜間ソーク)する。その間、エンジンの始動は厳禁とする。
・翌朝、車両が冷え切った状態でエンジンを始動させると同時に、HC&CO濃度を連続計測。
・アクセル操作は加えず、アイドリング状態で40分間(ラジファンが回る目安)連続計測する。
・アイドリングでの連続計測終了後、充分に走行して車両を完全暖機させた状態で再計測。
・計測中はエアコンOFF。電気的負荷も極力OFF。

●計測機器
・横河電機製作所(株)  HC/COテスター (型式:AU7CH、製造番号:7MD5182)
・COレンジ切り替え    2.0%、10.0% (2段階)
・HCレンジ切り替え    500ppm、2000ppm、4000ppm、10000ppm (4段階)
(※ディーラーさんのご厚意により、計測器は検定済みのものをディーラー整備工場内で借用。)

●計測項目
・テスト中の外気温度(℃)          ・・・ 冷え具合の目安。
・排気ガス濃度(HC(ppm)およびCO(%)) ・・・ 今回の目的。
・エンジン回転速度(rpm)           ・・・ これが変わると排ガス濃度も変わる恐れあり。
・エンジン油温(℃)                ・・・ 本来は水温を取りたいところ。

結果をまとめると、図11のようになります。図中、赤い線 (−■−) はPRS製センターパイプ装着時のデータを、青い線 (−■−) 純正パイプ装着時のデータを示します。なお、計測には第三者としてディーラーのメカニックさんにも特別に立ち会っていただき、データに間違いの無いことを同時確認していただきました。

【図11】 純正パイプとPRSセンターパイプでの排ガス濃度比較結果
CO濃度計測結果 HC濃度計測結果

■CO濃度についての比較(図11の左側)
結論から言うと、CO濃度については両者で差が出なかったと言って良い。グラフの線が1本しか無いように見えるのは、線が互いに重なっているためである。具体的な挙動としては、始動直後のピーク値は両者ともに8.0%(!)という高い数値を示し、経過時間t=5(min)あたりから数値が0.7(%)前後に落ち着き始める。わずか5分経っただけで濃度は十分の一になった(いや、始動直後が10倍の濃度だったと言うべきか)。

その後は両者ともに0.6〜0.7(%)前後で安定する。経過時間t=14〜25(min)の区間では、純正のCO濃度の方が「やや」低いようにも感じられるが、計測誤差範囲ではないかと考える。なお、計測開始から40分経過後(ラジエーターファンの作動を確認)、車両を走らせて十分に暖機させたあとの濃度についても両者で差は無く、ともに0.05(%)であった。ちなみに、車検を受ける際は(必然的に)暖機後となるから、この値で全然問題は無いでしょう。

■HC濃度についての比較(図11の右側)
HC濃度については、両者で差が認められた。PRS製・触媒付きセンターパイプの方が、純正パイプに較べて1〜5割も高い数値を記録したのだ。ピーク時も過渡時も定常時も、そして完全暖機後も、ほぼ全域にわたってPRS製の方がHC濃度は高めである。ただし、完全暖機後は、純正触媒を持つノーマルパイプ:5(ppm)に対しPRSパイプ:10(ppm)となり、割合はともかく絶対値としては充分低い数値には収まることが確認できた。当然、触媒付きセンターパイプへの交換だけなら車検にも問題は無いレベルだろう。

■考察の落とし穴
排気ガス濃度の測定結果について第一印象を正直に述べさせていただくと、PRS製パイプは純正パイプに較べて、「思ったよりも排気ガス濃度の差が少ないというか、意外とマトモだな(>失礼、PRS)。」というものです。純正のセンターパイプ(通称名)をアフターマーケット品(PRS製・触媒付きセンターパイプ)に交換した程度では、”車検に引っかかるほど排ガス濃度が悪化することは、まぁ無いだろう”との知見を得ることができました。

しかしながら、それはあくまで前提条件付きでの結果であり、上記の結果のみをもってすべての場合において 「ノーマルパイプとPRS製パイプとでは、排気ガス濃度に大差は無い」 とは断言できないことが解ります。その理由は、私の購入ロットがセラミック触媒で現在販売中のロットがメタル触媒だから・・・だけではありません。今回の供試車両(つまり私のクルマ)は、フロントパイプ(通称名)がノーマルのまま、つまり第一触媒が純正触媒のまま・・・であるからです。ここに考察の落とし穴があります。

要するに、今回注目している第二触媒よりも上流に位置する純正第一触媒 (=フロントパイプに内蔵) の浄化性能が良ければ、たとえ下流の社外品第二触媒 (=センターパイプに内蔵) の機能が大したことはなくても、実は全体としては良い結果になってしまうのではないか? ということです(※)。極論すると、「アイドリング時はたとえ下流側が触媒レスであっても同じような結果になったのでは?」 という説も否定できません。それはさすがに言い過ぎかもしれませんが、今回のようにアイドリング放置状態での計測では第二触媒があまり温まっていないと考えられることから、ECUで ち密に電子制御された現代のインジェクション車では、あながち当たらずとも遠からじ・・・のような気もします。

(※)シーケンシャルツインターボシステムである(=パラツインではない)
   限りは、たとえセンターパイプ(通称名)を社外品に交換しても、アイ
   ドリング状態では必ずすべての排気ガスはフロントパイプ(通称名)
に内蔵された純正第一触媒を最初に通ることになります。   

確かにフロントパイプ(通称名)=触媒レス、センターパイプ(通称名)=PRS製・触媒付きパイプ、という組合せなら、結果はどうなっていたかちょっと解りません。あるいは、PRS製のセンターパイプには触媒無し仕様もラインナップされていますから、フロントパイプ(通称名)が純正のままでそれを装着し、今回と同様な計測を再度行えば、純粋に第二触媒有無でのデータは取れることになるでしょう。・・・でも私は、自腹を切って触媒無しセンターパイプ(通称名)を購入するつもりはサラサラありませんし、正直なところ、もうこりごりです。
 

6.中間加速タイムの比較(純正VS.PRS)
 

たいていのHP読者の興味はこのへんにあるかと思いますが、センターパイプ(通称名)を交換したからといっていつもいつもサーキットばかりを走るわけではないので、一般的な市街地での加速モードも重視しながら私なりに定量化を試みました。つまり、一定速度で走行中にスロットルペダルを全開とし、ある目標速度に到達するまでの所要時間を計測したわけです(→プローバのエキマニを付けたとき と同様の計測手法です)。
 
●計測手法と注意点について
(注1):ストップウォッチによる手動計測ですので、誤差を含む恐れのあることをご承知
     置き下さい。また、計測タイムの小数点以下第2位は目安程度にお考え下さい。
(注2):なるべく平坦な路面を狙って(登坂路・降板路を避けて)計測しています。
(注3):同じモードを最低n=7回繰り返し、最短時間と最長時間を除外。
     残った5つ以上の有効データから、平均値として算出しています。
(注4):5回繰り返した計測値がすべて0.6sec以内のバラツキに収まっている場合は、
     データすべてを有効と見なし、n=5個のデータにより平均値を算出しています。
(注5):計測タイムが安定するよう、加速前の一定速走行時の排気温度をなるべく安定
     させるよう配慮し(一定速状態を継続させてから、加速体勢に移行させ)ました。

●計測時のコンディション
・車両           BG型レガシィワゴンGT−B(BG5B5CD、5MT)
・計測時の走行距離   約43000km
・使用エンジンオイル  スバル純正油(5W−30)
・使用ガソリン       昭和シェル系 ハイオク
・タイヤ空気圧      純正指定の通り
・ECU           純正(リコール対策済み)
・吸 排気系        吸気系:ノーマル(ダクトのみBHレガシィ用)
               排気系:ノーマル(エキマニのみプローバ製)
・エンジンオイル     純正   5W−30、計測時油温≒84〜90℃
・T/Mオイル       純正 75W−90、計測時油温≒75〜86℃
・外気温度         約1〜3℃

 
●「40→ 60 km/h」 一定速からの全開追い越し加速タイム
ノーマルパイプ装着時 PRSセンターパイプ装着時 変化量      
3速 3.84(秒) 3.85(秒) +0.01(秒)/ +0.3%      
4速 5.90(秒) 6.25(秒) +0.35(秒)/ +5.9%      
5速 9.17(秒) 10.19(秒)  +1.02(秒)/+11.1%      
 
●「60→ 80 km/h」 一定速からの全開追い越し加速タイム
ノーマルパイプ装着時 PRSセンターパイプ装着時 変化量      
3速 3.02(秒) 3.04(秒) +0.02(秒)/ +0.7%      
4速 4.51(秒) 4.50(秒) ▲0.01(秒)/ −0.2%      
5速 8.38(秒) 8.34(秒) ▲0.04(秒)/ −0.5%      
 
●「80→ 100 km/h」 一定速からの全開追い越し加速タイム
ノーマルパイプ装着時 PRSセンターパイプ装着時 変化量      
3速 2.97(秒) 2.98(秒) +0.01(秒)/ +0.3%      
4速 3.70(秒) 3.59(秒) ▲0.11(秒)/ −3.0%      
5速 6.46(秒) 6.06(秒) ▲0.40(秒)/ −6.2%      
 
●「40→ 80 km/h」 一定速からの全開追い越し加速タイム
ノーマルパイプ装着時 PRSセンターパイプ装着時 変化量      
3速 6.00(秒) 6.02(秒) +0.02(秒)/ +0.3%      
4速 9.53(秒) 9.65(秒) +0.12(秒)/ +1.3%      
5速 16.48(秒)  17.42(秒)  +0.94(秒)/ +5.7%      
 
●「60→ α km/h」 一定速からの全開追い越し加速タイム(αは ある定数です)
ノーマルパイプ装着時 PRSセンターパイプ装着時 変化量      
3速 6.80(秒) 6.41(秒) ▲0.39(秒)/ −5.7%      
4速 10.34(秒)  9.35(秒) ▲0.99(秒)/ −9.6%      
5速 15.70(秒)  14.72(秒)  ▲0.98(秒)/ −6.2%      

街中で多用すると思われる速度域(60km/h以下)では、装着後の方が加速タイムがやや悪化してしまうという結果に終わりました。低いギヤ段(3速)では悪化量はほどんどありませんが、高いギヤ段(4速、5速)をホールドさせたままの加速では、加速時間は純正パイプ装着時よりも悪化してしまいました。したがって、車速が低い領域でクルマを加速させる場合は、センターパイプ変更による変化をカバーするために積極的にシフトダウンさせた方が良いかも知れません。ただし、たとえ高いギヤ段(4速、5速)をホールドさせたまま加速しても、(数字ではなく)体感上はノーマルプパイプ装着時とほぼ同様なフィーリングであり、違和感(加速の間延びなど)は特に感じられなかったことを付け加えておきます。

次に中速域(60〜80km/h前後)では悪化量が縮小し、各ギヤ段とも純正パイプ装着時とほぼ同等の加速タイムにまで持ち直しました(仮に差があっても、測定誤差のバラツキ範囲内と考えます)。そしていよいよ高速域(ここでは便宜上、80km/h以上を指す)になると、ようやく「純正と差がある」と言えるような改善効果が現れ始めました。特に高めのギヤ段で負荷(ブースト)が大きな運転モードで、その効果が現れやすいようです。・・・その後、このPRS製・触媒付きセンターパイプを装着した状態で筑波サーキットを走る機会に恵まれました。筑波サーキットとは言っても、ショートコースで平均車速の低い「筑波1000」の方でしたが、エンジン高回転時でのアクセルレスポンスは若干アップしているような印象を持ちました。

以上をひとことでまとめると、ごく当たり前の結論ですが、PRS製のセンターパイプは「排気ガスの流量・流速が大きい運転領域でこそ、初めて持ち前のポテンシャルを発揮できる」ようなセンターパイプである、と言えるでしょう。それは換言すると、街中を流れに沿ってごく普通に走るだけの用途では「宝の持ち腐れ(orマッチング不適)になる」と考えます。
 

7.排気音の変化について
 

アイドリング時や高回転時の排気音の変化について、感想を述べます。ただし「音」については計測器を用いた定量的な測定を行っていませんので、今回はあくまでも主観的な要素(フィーリング)が入っていることをお含み置き下さい。・・・変化の有無で言うと、「変わりました」となります。具体的なフィーリングを述べると、以下の通りです。

■始動時の排気音変化
初爆(エンジン始動後、第1発目の爆発)直後の排気音(音圧)が大きくなったと思う。始動してしまえば、排気ガスが連続して流れるので、あまり気にはならない。つまり、エンジン停止状態から初めて排気ガスが流れる瞬間の音圧が大きいように思う。なお、低温時(暖機中)はエンジンのアイドル回転変動が純正パイプ比でやや大きくなったように感じる。これは、通路抵抗の減少により背圧が減ったためかも知れない。

■暖機後の排気音変化
いったん暖機すれば、音量(音質ではない)はノーマルと同等に感じる。ただし、これはメインマフラーがノーマルであるため、そのように(カバーされて)感じるだけかも知れない。マフラーを交換している場合には、印象もまた異なったものになる可能性が十分にあります。音質は、低音域がやや増した感じです。ノーマルが「カドの取れた音」とすれば、センターパイプ(通称名)の交換により「一つ一つの爆発音がくっきりしてきた」というイメージ。

■高回転時の排気音変化
力強さが増したような排気音。別の表現をすると、ダイレクト感が出てきたような印象。メリハリのある音・・・とでも言いましょうか。でもマフラーがノーマルのため、音量自体は「ノーマル+α」程度で爆音にはなっていません。また、材質変更による高音域の変化は、私には感じられません。
 

8.私 的 な 「ま と め」
 

私が購入したPRS製・触媒付きセンターパイプについて、これまでの理論的考察および定量的実験データなどから得られた結果を列挙すると、次のようになります。

■静的評価
・外観上の仕上げ(溶接跡、パイプの曲げ具合など)は非常に美しい。
・重量については、純正よりも約3.2kg軽くなる(8.4kg→5.2kg)。
・触媒(セラミック担体)は、1平方cmあたり約64セルの通路を持つ。
・触媒は、実はパイプの見た目から予想される大きさの半分しか無いと考えられる。

■動的評価/低温始動時の排気ガス濃度
<CO濃度>
・始動直後に、純正と同様、ピーク値8.0(%)を記録した。
・たとえ水温が上昇・安定しても、アイドリング状態のままでクルマを走り
 出さないでいると、濃度は0.7%前後から下降せずに留まってしまう。
<HC濃度>
・始動直後にピーク値400(ppm)を記録した(純正触媒では330(ppm))。
・たとえ水温が上昇・安定しても、アイドリング状態のままでクルマを走り
 出さないでいると、濃度は180〜150(ppm)から下降せずに留まって
 しまう(純正触媒では、同条件で160〜100(ppm)である)。

■動的評価/完全暖機後の排気ガス濃度
<CO濃度>
・完全暖機後は、純正と同様0.05%であった(ただしフロントパイプが純正時)。
<HC濃度>
・完全暖機後は、純正センターパイプの5(ppm)に対して10(ppm)を記録した
 (ともにフロントパイプが純正時)。

■動的評価/中間加速タイムの比較
・車速が60km/h以下の領域では、ギヤ段により加速時間が純正よりも悪化する。
・車速60〜80km/h前後の領域では、加速時間は純正パイプ装着時とほぼ同等。
・車速80km/h以上の領域になって、高いギヤ段で加速時間が短縮(改善)した。

■動的評価/排気音などの変化
・始動時の(特に初爆の)排気音が大きくなったように感じられる。
 特にエンジンが冷えた状態で顕著であるが、暖機後はあまり気にならなくなる。
・ノーマルマフラー装着状態でも、排気音にダイレクト感が増したように感じられる。
・暖機中は、エンジンのアイドル回転変動がやや大きくなったように感じられる。

■ま と め
以上より、私が購入したPRS製・セラミック触媒付きセンターパイプについて「私的なまとめ」を書くと、次のようになります。私的な意見ですから、もしかすると私とは反対の立場を取る者もいるかも知れません。あくまでも”参考程度”にお願いいたします>ALL。

・・・「スポーツ志向のオリジナル製品として、その仕上がり具合や品質は充分納得できるものである。しかしながら全域で性能アップするわけではなく、スポーツと引き替えに失われる部分が存在するのは残念である。この製品は、バランス点をスポーツに振った(用途を割り切った)ことを十分に納得できる者には「真価を発揮する福音」となり得るが、単にタウンユースに用いるだけでは「宝の持ち腐れ」あるいは「デチューン」にもなり兼ねないと考える。」・・・

やっぱり排気系のチューニングは難しいですね。皆さんはどうお考えですか?
 

 
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