2000年3月31日(土)
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午前中エノテカによったあと、午後はアカデミー・デュ・ヴァンで行われた田中克幸氏の「ムルソー・ヴォルネイ・テイスティングセミナー」に参加。
季節外れの雪というあいにくの天気のせいもあってか、参加者は多くはなかったが、その分会場はなごやかでアットホームな雰囲気だった。
内容は「ワイナート」の今期号とリンクしていて、ヴォルネイ、ムルソー地区のテロワールをおさらいしながら、合計8種のワインをテイスティングしてゆくというもの。それも単にワインを飲んでコメントを述べるというものでなく、「二文字熟語であらわすとどんなワインか?」とか、「どのグラスが石灰質土壌で、どれが粘土質か?」「表土がもっとも厚い(薄い)のはどれか」など、氏らしいユニークな、それでいてテロワールに立脚した論理的な内容で、大変勉強になった。
そのようなセミナーだったので、コメントはとらなかったが、出されたワインは以下の通り。
ヴォルネイ4種

・97カイユレ(ドメーヌ・ド・ラ・プースドール)
・97クロ・デ・シェーヌ(フォンテーヌ・ガニャール)
・97サントノ(ジャック・プリウール)
・98ムルソー・クロ・ド・マズレ(  〃    )

 

ムルソー4種
・98シャルム(ドメーヌ・ルーロ)
・98ペリエール(   〃    )
・98ジュヌブリエール(ミクルスキ)
・98ムルソー・クロ・ド・マズレ(  〃    )

 

会のおわりには、田中さんから珍しいドメーヌ・ルーロの「フィーヌ・ド・ブルゴーニュ」の差し入れもあったりして、実に充実したセミナーでした。
これで8400円の受講料は安い。次回「サンテミリオン編」にもぜひ参加したい。


エノテカCh.マルゴー垂直テイスティング

今回のエノテカ垂直試飲は、待ちに待った「Ch.マルゴー」。実は私は5大シャトーの中では、マルゴーとはなぜか縁遠く、80年代以降のビンテージをほとんど飲んだことがない。ということで、90、82をはじめキラ星のようなビンテージを飲めるこの日の機会を心待ちにしていたのだ。詳細はコラムにも書くつもりなので、ここではコメントのみ簡潔に。

銘柄 パヴィヨン・ブラン・ド・シャトー・.マルゴー
感想 グリーンがかった中程度のイエロー。トップノーズにじゃこう、キノコのような熟成香、果実は白桃、白い花、ミネラル。味わいは甘く豊かな果実味のアタック、酸はしなやかで中盤の広がりも十分あり、みずみずしささえ感じる果実のフィニッシュ。余韻も長め。【85】
銘柄 Ch.マルゴー
96 エッジにピンクがかった濃いガーネット。濃縮したブラックベリーやブラックチェリーのリキュール。ビターチョコ、丁子、八角などのスパイス。味わいは充実した果実味のアタック。アルコール度高く、酸は堅牢でタンニンは緻密。中盤の広がりは十分にあって、スムーズな飲み口。余韻にビターチョコのフレーバと果実味が長く続く。【92】
94 やや濃いめの鮮やかなルビー。ブラックベリーのコンフィ、黒土、杉の木、それに中国のスパイス。味わいはややタニックなアタック。酸はしなやかで、口の中でスモーキーなタンニンと果実の甘みが広がるミッドパレット。。フィニッシュは立体的で余韻も長めだが、バランス的にややタンニンが目立つ。【88】
90

濃い目の鮮やかなガーネットでエッジにややオレンジ。甘い、カシスやダークベリーのリキュール状の果実、甘草丁子などのスパイス、ミネラル、干し草。味わいは濃縮した甘い果実とややユーカリっぽいフレーバーの第一印象。中盤の広がりはウルトラスムーズで、繊細な酸、なめらかなタンニンにより、甘酸っぱい調和のとれたフィニッシュ、そして長い余韻。【94】

89

濃いめののガーネット。エッジはオレンジ。カシスのリキュール。甘草、丁子、それにややワラや干し草などの香りがまざる。味わいはなめらかな果実味のアタック。酸、タンニンとのバランスが良好で、やや構成が緩い気もするが、全般に果実味中心のスムーズな飲み口。ただ、余韻に意外にタンニンが残る。【89】

88

エッジにオレンジがはっきり見える濃いめのガーネットで、熟成が進んだ色合い。香りはやや乾いた、ジャム状のカシスやダークベリー、丁子、ナツメグ、ミネラル。濃縮感のある果実味のタックはネットリとしてさえいて、酸はしっかり、タンニンはよく熟していてコーヒーっぽいフレーバーを伴う。余韻も長く、マッシブな印象。89年とは好対照。【91】

86 ややピンクがかった濃いガーネット。カシスのリキュールのような甘い果実、スパイス、杉の木、干し草。味わいは果実味の鮮やかなアタック、しかし中盤はやや乾いたタンニンが目立ち、渋み中心のバランスとなる。全般にやや木質的な印象があって、前後のビンテージに比べるとシリアスでややとっつきにくい印象。【88】
83 エッジにオレンジがかった濃いめのガーネット。オレンジの皮、赤系果実のリキュール、杉の木、ミネラル。味わいは甘くやわらかい果実のアタック、タンニンはなめらかで、凛とした酸が構成を整えている。フィニッシュには果実味とともにややタンニンが残る。【90】
82 エッジにオレンジの見える濃いめのガーネット。年のわりに色調は若め。濃縮したカシスや赤系果実のリキュールや甘草などのスパイスのアロマ。味わいは思ったほどの凝縮感はないものの、角がとれていて、やわらかく、すべての要素を目の細かいやすりで研ぎ上げたかのような丸く調和のとれた味わい。フィニッシュは非常に調和がとれていて、タンニン、酸、それに果実味が渾然一体となって染み入るような余韻を残す。ずしんとくるインパクトはないが、整然とした出っ張ったり足りないところのない味わいがすばらしい。こういうのをフィネスというのだろう。【95】
79 全体にオレンジが見えるガーネットで、エッジはややレンガの色調。カシスやブルーベリーのリキュール、コーヒー、さまざまなスパイス。味わいは甘酸っぱい果実味のアタック。口中で甘みが広がり、ミッドパレットは充実している。各要素のバランスが良好。【91】
78 エッジのオレンジが目だつガーネット。甘い、カシスやベリー系のリキュール。麦わら、乾物屋の店先、紅茶。味わいは甘い果実味のアタックのあと、酸が広がり、タンニンはよくとけこんでいるが、ややざらついた印象もある。全般にやさしく熟成していて、チャーミング。【87】