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ブルゴーニュ購入の悩み

このところさんざんワインを買い漁って金欠が深刻なのに、性懲りもなく今度は メオ・カミュゼの96クロ・ヴージョを買おうかどうしようか迷っている。
18500円。
たかが1本の酒になんで2万円も払うんだ?という一般社会の至極まっとうな声はあえて無視して(笑)、マニアの視点で見れば、絶対額としては高いが、名門造り手のグランクリュで、パーカーポイント92-94点とくれば、納得できる範囲というところだろう。


ただ、やっぱりちょっと高い気もする。96ビンテージが大々的に売り出された当初の小田急ハルクのチラシをひっぱりだしてみると、当時の価格は12000円だった。ほんの2年弱昔のことだ。
まあ、小田急ハルクのセールなぞは、電話がつながるまで小一時間もかかって、 つながったときには目玉商品はほとんど売り切れというのが通例であるからして、 当時参戦しても手に入れられなかったんだろうけど。

それでも、セールによってはあっという間に売り切れしまうメオ・カミュゼが入荷から1週間以上たってもまだ在庫があるところを見ると、みんなも同じような気持ちなのかもしれない。


もうひとつ、ボルドーのように思い切りよく買えないのは、私の好みの問題もあって、それというのも、最近如実になってきたのだけど、私って、ボルドーについては、まだ若さを残しているぐらいのものが好きなくせして、ブルゴーニュに関 してはもう圧倒的に、熟成したものが好みのようなのだ。

それを決定的に感じたのは、以前信濃屋で行われたシャトー・コルトン・グランセの 96と69という2ビンテージの試飲のとき。
最初に飲んだ96はイチゴやラズベリーなどの果実のフレーバーを中心にバランスのとれた、それはそれで美味しいワインだったんだけど、あとで飲んだ69にはまさしくノックアウトされてしまった。状態がとてもよかったせいもあるのだろうけど、やっぱり熟成したブルゴーニュってすばらしいなあ〜とヘナヘナとなってしまい、同時に96のボトルを今飲み干してしまうことが犯罪行為のように思えてきたのだ。(笑)

そんな私が、96クロヴージョを買ったとしても、実際に飲むのは何年後になることやら。 以下は、私の中の天使の声と悪魔の声の葛藤。

 

悪魔の声*****************************

ここでひとつのシミュレーションをしてみよう。
寺田倉庫の保管料は、1ケース(12本)で月600円。
ということは、一本当たり50円の計算。
一見安くみえるが、一年だと、
50×12→600円。
10年預けると、600×10→6000円。
これが保管にかかる費用だ。

ということは、10年後に96クロヴージョが、18500プラス6000→24500円 以下で市場で入手できるのなら、今あえて買う必要はない、ということだ。

ちなみに、10年前にリリースされた良年のボトル(88、89ビンテージあたり)が今いくらするのかと思って探し回ってみたが、メオカミュゼに限らず、 アルマン・ルソーだの、デュジャックだのといったスタードメーヌのオールド ビンテージは、値段以前に、まず見つけることが困難だ。
まあ、みつけたとしてもこの位の値段は楽にするだろう。

やっぱりボルドーと違って、買えるときにかっておかないと後年の入手は困難を極めるのがブルゴーニュ。ここで買わなきゃ、後々後悔すること必定だ!


天使の声*******************************

96ビンテージを購入したとして、飲み頃になるのはいつ頃だろうか。
良年のグランクリュであれば、90ビンテージでもまだ早いぐらいだろうから、早くて5年後、じっくり待って10年から15年後。
まあ、仮に10年後としよう。

寺田倉庫に預けているから安心といっても、寺田倉庫自体が10年の間に経営危機に陥らない保証はない(失礼!)し、保険がかかっているとはいえ、巨大地震が起こったり、なんらかのトラブルで預けたワインがオシャカにならないという保証もない。

自分自身の問題もある。

10年後の私は47才。
前のコラムでも書いたように、不健康体の私が満足にワインを飲める体であるかどうか。
それに、凝り性の私が、ワインに対して今のテンションを保っているかは正直疑わしい。(^^; たとえば10年後の私がこのHPを続けているかどうかって、今は想像すらできないしね。

ということで、翻って10年前の私はどうだったか。当時27才の私が夢中になってたのはスキー と覚えたてのマッキントッシュだ。スキーは今やすっかりご無沙汰。用具一式 は実家で埃をかぶっている。マックは一応今使っているけど、今はVAIOのノートに主役の座を譲ってしまった。(ちなみにマッキントッシュといえば、この10年間で何台機種を買い換えたこと か…。)ワインはこの頃から結構飲んでいたが、当時はもっぱらカジュアルなイタリアワインばかりだった。 そもそも10年前に頃購入したもので、未だに現役を続けているものってほとんどない。 あえて挙げるとすればなけなしの貯金をはたいて買ったポルシェデザインの腕時計ぐらいのものかな。

なんだか話がそれてきたけど、まあ10年というのはそれだけ長い歳月だということだ。

そんなこんなで、目下悩んでいるわけです。
でも、きっと悩んだすえ、買うのだろうなあ。商品の在庫が「あと一個です。」なんて表示になったら、黙ってられなそうだし‥。

でもって、このコラムを読んでくれた人と10年後に一緒に開けるってのもロマンがあると思いませんか?