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ビデオカメラの規格

2012.09.17. 掲載
2016.11.08. 追加
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目次
1.はじめに
2.DV
3.HDV
4.AVCHD
5.まとめ
6.追加 MP4


1.はじめに

デジタルビデオカメラの規格は、いずれもビデオカメラメーカーによって策定された規格である。コンテナ、コーデックの組み合わせ以外に、フォルダ構成や解像度、ビットレートなどの決まりを作って、その条件に合うものだけをHDVやAVCHDと呼んでいる。

例えば、最近のカメラには、60pの撮影モードが付いているが、これはAVCHDの規格に入っていないので、今の段階ではAVCHDではないとされる。

デジタルビデオカメラの規格は、時代順に、DV、HDV、AVCHDがあり、現在はAVCHDが全盛であるが、複雑になりすぎたように思える。


2.DV

DVとは

DV(Digital Video)は、1994年に決められた、ディジタル画像・音声記録の民生用(家庭用)規格である。DVだけではDVDなどと勘違いされる危険もあるため、この映像を記録するテープ媒体名を使って、DVC(Digital Video Casette)と呼ばれることもある。

DV 第1号ビデオカメラ

DV規格を採用した最初の民生用ビデオカメラは、1995年7月発売の SONY DCR-VX1000で、DV規格を日本国内向けとして初めて採用した家庭用ビデオデッキは、1997年9月 18日発売の SONY DHR-1000である。私は、1997年に SONY DCR-PC10と SONY DHR-1000を購入した。


図1.DVカメラ SONY DCR-PC10 1997年発売

メリット

このDVビデオカメラは、従来のビデオカメラとは違い、テープに映像をデジタルデータとして記録するするため、編集や複製に伴う画質の劣化がないという画期的なメリットがあった。

規格

画面サイズは720×480ピクセル、フレームレートは30fps、圧縮率は約1/5である。映像の圧縮は、DVコーデック(DV codec)で行われる。これはMotion-JPEGに近いフレーム内圧縮で、編集しやすいが、ファイルサイズは他の動画圧縮形式と比べて大きくなる。DVコーデックはメーカーごとに開発が行われているため、実際は数種類のDVコーデックがある。音声はサンプリング周波数48kHzのリニアPCM2chか、32kHz、12bitのノンリニアPCM4ch。

録画時間は標準カセットで270分、ミニカセット(Mini DV)で60分である。


3.HDV

HDVとは

HDV(HDV: High Definition Digital Video)は、2003年9月30日に発表されたハイビジョン映像を記録する機器の規格名。日本ビクター、ソニー、キヤノン、シャープの4社により策定され、ソニーとキヤノンは有効走査線数1080本、インターレース走査の1080i方式を、日本ビクターは有効走査線数720本、プログレッシブ走査の720p方式を採用した。

HDVは、民生用ディジタルVCR規格として普及しているDVC(DV規格カセットテープ)に、HDTV(高品位テレビ)映像を記録するための規格である。

1080i HDV 第1号ビデオカメラ

1080i HDV ビデオカメラ1号機は、2004年10月発売の SONY HDR-FX1である。私は、2006年に SONY HDR-HC3を購入した。


図2.HDVハイビジョンビデオカメラ SONY HDR-HC3 2006年3月発売

メリット

DV ビデオカメラでは、640×480 の標準画質の動画しか撮影できなかったが、HDV ビデオカメラでは、走査線1080本インターレースのハイビジョン動画や、走査線720本プログレッシブのハイビジョン動画を撮影できる。 また、従来のDVテープをそのまま流用できるので、費用も安く済ませることができる。 動画を圧縮するコーデックがMPEG-2であり、新しいタイプのPCであれば、編集用ソフトで無理なく編集できる、などのメリットがある。

規格

映像フォーマットは、1080iと720pに対応し、D端子でいえばD4端子までのグレードに対応できる。音声はDVと同様に48kHz/16ビット直線×2チャンネルで、ビットレート384kbpsのMPEG-1 Layer 2で圧縮される。

映像の圧縮方式は、DV規格では映像フレームを1枚ずつ個別に圧縮するDVコーデックを用いるが、HDV規格ではMPEG-2 Videoコーデックを用い、15フレームを1単位(Groupe of Pibture、略称:GOP)で圧縮する。これによって、DV規格と同等のデータ量でHDTV規格の記録を実現している。

映像と音声(MPEG-2 TS)を、テープのDV記録時の映像セクターに記録するため、DV記録の音声セクターが余分として残り、ここに非圧縮の音声データ(48kHz/16bit)を記録するオプション規格もあり、4chオーディオに対応することも可能となっている。

<豆知識>
ハイビジョンというのは、NHKが世界に先駆けて放送衛星によりMUSE方式で放送してきたアナログ高精細度テレビジョン放送(High Definition TeleVision 略称HDTV)の愛称だった。しかし、衛星デジタル放送や地上デジタル放送でのデジタル方式のHDTV放送についても、日本ではハイビジョンと略称されている。

高精細度テレビジョン放送「HDTV」は、2000年の国際標準規格で、 走査線1125本(有効走査線1080本)、画面の縦横比(アスペクト比)16:9のシステムと定義されている。


4.AVCHD

AVCHDとは

AVCHD(Advanced Video Codec High Definition)は、Blu-ray Discの技術を応用し、ソニーとパナソニックがハイビジョン映像を記録するために策定した規格。ビットレートは最大で24Mbps、DVDに記録する場合は18Mbpsまでになっている。コーデックはH.264。音声はドルビーデジタル (AC-3) 方式(オプションでLPCM)を採用、多重化にMPEG2-TSを採用している。

最初は記録媒体として8cmの小型DVDが使われたが、現在ではカメラ本体の内蔵メモリーや外部メモリーカードへの記録が主流となっている。

この規格が作られたわけは、DVDの映像はDVD-Video規格で規定されているが、HD映像の規定がない。そこで、Blu-ray Discが普及する前に、DVDにHD映像を保存するフォーマットとして生まれた。

AVCHDは、その後、民生用ビデオカメラでは共通フォーマットとも言えるほど広く普及したが、記録媒体は光ディスクからHDD、そして現在はメモリーに変わっている。


AVCHDビデオカメラ第1号機

AVCHDビデオカメラ第1号機は、2006年10月発売された SONY HDR-SR1 である。HDD容量は30GBであった。私は、2009年2月発売の SONY XR520Vを購入した。


図3.SONY HDR-XR520V

規格

AVCHDフォルダ構成は、基本的には、BDMV(Blu-ray Disc Movie)というアプリケーションフォーマットに準拠している。SONYのAVCHDカメラ DSC-TX300Vのフォルダ構成を図1に示した。


図4.AVCHDフォルダ構成(SONY DSC-TX300V) ●はフォルダ、・はファイル

性能の向上

AVCHDビデオカメラは年々性能が向上している。2006年10月発売の第1号機SONY HDR-SR1の平均ビットレートは 15 Mbpsであったが、2009年発売のHDR-XR520Vでは平均ビットレートは 16 Mbps、2010年発売のコンパクトデジタルカメラDSC-TX7では 17 Mbps、2012年発売のコンパクトデジタルカメラDSC-TX300では28 Mbpsと著しく向上している。

問題点

AVCHDは、動画コーデックと音声コーデックを決めていて、その意味ではコンテナであるが、それ以上に、BDMVフォルダを中心とした多くのフォルダが規定されている。

この多くのフォルダーに多数のファイルが存在するが、下手に書き換えると他のファイルとの整合性が取れなくなり読み込めなくなる可能性があり、PCで扱いにくい。また、STREAMフォルダ内の動画ファイルだけをPCにコピーすると、他の例えばGSP情報などが失われてしまうので、BDMVフォルダごとコピーするのが望ましいとされている。

しかし、そのようなことをすれば、ファイルの整理が極めて困難となり、収拾がつかなくなるであろう。


5.まとめ

デジタルビデオカメラを時の流れに従って、DV、HDV、AVCHDの順に概観してきた。その違いを要約すると以下のようにまとめられる。


規格 走査線数/フレームレート 画素数 アスペクト比 コーデック 拡張子
DV
480/60i
720×480
4:3
DV
.AVI
HDV
1080/60i
1440×1080
16:9
MPEG-2 Video
.M2T
AVCHD
1080/60i
1920×1080
16:9
H.264
.MTS

ファイルベース時代となり、動画の視聴は、SDなどのフラッシュメモリーや大容量のHDDに保存したものを、TVのモニターやPCのモニター、スマートフォンなどの携行端末で行うとか、YouTubeなどに投稿し、Webの世界で他人と共有するなど多種多様となってきている。DVDやBDに保存して視聴するというスタイルは、これからますます少なくなるであろう。

その場合、動画ファイルはできるだけ単純化されている方が使いやすいし、ファイルの整理や保管もしやすい。動画ファイルの数は、今後増え続けることが容易に予想できるだけに、それを求める声は大きくなるであろう。

これからの動画ファイルは、BDMVフォルダのような複雑なシステムを作らず、動画に必要な部分に的を絞り、動画ファイルを、例えば単純なMP4コンテナにして、ファイル単位で保存できるようにする方が、一般人にはよほど有用ではなかろうか?


6.追加 MP4

5.まとめで書いたことが、ビデオカメラで実現されるようになってきた。私は孫が生まれてから、ビデオカメラにデジカメを使っているが、これまでのMP4規格はビットレートが12Mbps程度の低画質だった。

しかし、昨年から、MP4規格もAVCHD規格と対等に扱われるようになってきた。例えば、昨春発売のSONYのWX500は、これまでのAVCHD規格での最高画質である1920×1080 ビットレート28 Mbpsが、MP4規格でも可能となった。

BD(ブルーレイディスク)に記録するためのAVCHD規格で撮影するよりも、MP4規格の動画ファイルとして撮影する方が、ファイルのサイズは小さく、HDDやSD、USBメモリーなどに記録して簡単に視聴できる。

MP4ビデオカメラを使って、MP4規格で撮影することが、これからのビデオ撮影の大きな流れとなるのではなかろうか?

これまでのデジタル・ビデオカメラの進化の要点を以下にまとめた。


規格 画素数 アスペクト比 平均ビットレート コーデック 拡張子
DV
720×480
4:3
3Mbps
DV
.AVI
HDV
1440×1080
16:9
12Mbps
MPEG-2 Video
.M2T
AVCHD
1920×1080
16:9
28Mbps
H.264
.MTS
MP4
1920×1080
16:9
28Mbps
H.264
.MP4


<2012.9.17.>
<2016.11.8.>追加

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