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職員に求めてきたこと−医院勤務の基本−

<野村医院勤務マニュアル(83年3月)から>


1998.01.06. 掲載
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当院が、医院勤務者に望む基本的なことがらを、以下に述べる。

1.患者の身になる

病人は身体が病んでいるばかりではなく、程度の差はあっても、多かれ少なかれ心も病んでいる。だから、自分が、あるいは、自分の家族が患者である場合を考えて、患者に接していくのが医院勤務の基本であり、出発点である。

自分が患者なら、自分の家族が患者なら、こんなにして欲しい、こんな事はして欲しくないと考えてみることである。このことから(1)患者に優しく親切にする (2)患者に分かりやすく説明する (3)患者が待っている間の精神的肉体的苦痛をできるだけ少なくする ということの大切さが分かる筈だ。

例えば、体の不自由な人、高熱とかむかつき腹痛等で苦しんでいる人には、積極的に援助をしていくとか、待ち時間をできるだけ短くするように努めるとか、順番を間違えないとかもその一つである。

特に、患者が受付に来られた時とか、待合室に患者が居られる時に、受付の中で私語を交わし、結果的に患者を放っておくことは、絶対にしてはならない。待合室の側に背を向けておしゃべりをするなどは、もっての他である。

患者は一般には医院勤務者よりも弱い立場にある。弱い立場の人に長く接していると、自然と自分に力があったり、偉いのだと錯覚してしまい易い。このことを絶えず反省して欲しい。医療というものは施しではなく、サービスであることを、心に刻んでおいて欲しい。 

しかし、だからと云って患者に媚びたり、卑屈になる必要は全く無いし、患者の身勝手とか無理難題に応じる必要もない。

また、患者を職業とか、貧富、政治、宗教、生活環境 など病気以外の事柄で区別してはならない。

2.正確に

ほとんどの患者に対して薬を使うが、薬は毒にもなり、種類、量、服用方法が正確で無ければ事故につながり、最悪の場合には死亡さえも有り得るのである。

正確さを保ち得るように、めいめいが注意するだけでなく、ダブルチェックなどで誤りを最小限にする必要がある。また、もし誤りが発見されたなら、うやむやにせず、すぐに対応策を講じ無ければならない。

薬の量とか、種類が違っていたと患者に指摘されたなら、よほどハッキリした確証がないかぎり、患者の言われることを正しいと判断し、ていねいに謝り、訂正すること。

3.臨機応変に、要領良く

病気の種類も程度もいろいろで、一刻を争うほどの救急患者も居れば、少々遅れても結果として変わりのない人もいる。

また、非常に患者の多い時と少ない時とでは、窓口業務の手順が違うことも有り得る。診察中の患者と待合室の患者とでも、緊急度が違う。

この他にも医院の業務というものは、臨機応変に、要領良く、手順を変えてでも、処理していかなければならない場合が多い。

4.患者の秘密を守る

医療従事者は、仕事を通して知った患者やその家族の病気とか、職業その他個人のプライバシーに関する情報を、第三者に漏らしてはいけない。これを守秘義務と言い、法律で決められている。

たとえ、患者の家族に対してでも、時には患者の病気について告げることができない場合もあり得る。だから、患者の秘密を第三者にしゃべることは、絶対にしてはいけない。

当院の診察室は、受付とかレントゲン室、処置室などと隣接している。そのため診察を受けている患者のプライバシーが侵され易い。患者の中には、診察中他人に見られたり聞かれたりする事を非常に嫌がる人がいる。そのため、幼児で泣いて口を開けない子とか、体の不自由な人の他は、受付事務の者が診察の介助をすることは、原則として行なわないことにしている。

しかし、尿検査とか、心電図やレントゲンの介助、現像等は受付事務員の仕事なので、診察室の様子に絶えず注意し、用事があればブザーを鳴らすので、その時には、誰かが速やかに診察室に来て指示に従うこと。

5.医療従事者間の協調

医療行為というものは、中心は医師であるとしても、他の医療従事者の緊密な協力、助力があってはじめて望ましい形で成立する。良いチームプレー無くして、良い医療は行い得ないのである。
(1983年3月、記)


<1998.1.6.>

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