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2013.03.11. 掲載
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目次
1.はじめに
2.PC用に改変した数字譜
3.合唱曲暗譜のための数字譜
4.まとめ
2007年から女声コーラスに2名の男声の一人として加わり、レッスンを受けて来た。今年、先生より与えられた曲の一つが、作曲:菅野よう子、作詞:岩井俊二の混声三部合唱「花は咲く」である。この合唱曲は、それ自体がかなり難しいのだが、先生はこの合唱曲を譜面通りではなく、さらにアレンジして歌うようにお考えのようだ。
私はこれまで「移動ド」で譜面を読んできて五線譜に慣れている。数字譜は「移動ド読み」そのものだから読みやすい。私自身、数字譜にも慣れていて、PC用に改変した数字譜も作っている。
譜面通りに歌わない変更個所を五線譜に書き込むよりも、数字譜で書く方が、私の場合は簡単で分かりやすい。歌う順番なども、自分が歌う部分を中心に、その前後にある伴奏、他の声部とのつながりを数字譜で書いておけば、曲の理解、暗譜に役立つ。
もちろん、合唱曲だから他の声部を含めた曲全体の理解には五線譜の方が有用であるが、A4 6枚の五線譜を携行するより、曲の要点が記載されたA4 1枚の数字譜の方が便利で、PC用だから変更も簡単、印刷も数秒でできる。
コーラスの曲の暗譜を始めたのは2010年からで、それまでは暗譜などほとんどして来なかった。それが、実際にやってみるとできるものだと分かって面白く、続けるようになった。視力の低下が著しいので、暗譜で歌う方が気持良く歌える。案外、このことが暗譜を続けている理由かも分からない。
PC用に改変した数字譜については、文字譜いろいろに詳述しているが、それをこちらに転載しておく。
手書きで数字譜は非常に書きやすいが、PCでは書き難い部分があり、PCで書きやすいように私が1995年ころ改変した記譜法である。
音階:
ドレミファソラシを 1 2 3 4 5 6 7 で表し
オクターブ上のドレミを^1 ^2 ^3 「手書きではそれぞれの数字の上に ・ を付ける」
オクターブ下のドレミを_1 _2 _3 「手書きではそれぞれの数字の下に ・ を付ける」
半音階高いドレミを #1 #2 #3 「手書きではそれぞれの数字の左に # を付ける」
半音階低いドレミを b1 b2 b3 「手書きではそれぞれの数字の左に ♭を付ける」
休符:
z
音の長さ:
1)1拍を4分音符、4分休符で表す
2)音階名と休符の後に以下の記号を付ける
1拍 音階名と休符1文字、後に半角スペースを置く「例:1 5 z 」
2拍 音階名と休符1文字のそれぞれに - を付け、後に半角スペースを置く「例:2- ^1- z- 」
3拍 音階名と休符1文字のそれぞれに -- を付け、後に半角スペースを置く「例:2-- ^1-- z-- 」
4拍 音階名と休符1文字のそれぞれに --- を付け、後に半角スペースを置く「例:2--- ^1--- z--- 」
1/2拍 音階名と休符1文字のそれぞれに / を付ける「例:2/ ^1/ z/ 」
1/4拍 音階名と休符1文字のそれぞれに // を付ける「例:2// ^1// z// 」
3連音 音階名を3個並べ、()で括り、後に半角スペースを置く「例:(222) 」
ただし、2拍となる3連音は、半角の[]で括り、後に半角スペースを置く「例:[222]」
3対1の割合の2つの音符は、>で表し、()で括り、後に半角スペースを置く「例:(3 > 1) 」
ただし、2拍となる場合は、半角の[]で括り、後に半角スペースを置く「例:[3 > 1] 」
1対3の割合の2つの音符は、<で表し、()で括り、後に半角スペースを置く「例:1 < 3 」
ただし、2拍となる場合は、半角の[]で括り、後に半角スペースを置く「例:[1 < 3] 」
3)1拍を基本単位とする。その後に半角スペースを置く「例:1 2 3 4 5 6 7 ^1 z 」
1/2拍や1/4拍が集まって1拍となる場合、その後に半角スペースを置く「例:2/4//6// 」
3連音が1拍の場合も、その後に半角スペースを置く「例:555 」
3対1の割合の2つの音符が合せて1拍となる場合、その後に半角スペースを置く「例:3 > 1 」
1対3の割合の2つの音符が合せて1拍となる場合、その後に半角スペースを置く「例:1 < 3 」
例外:小節の区切りを示す縦線の前には、半角スペースを置かない
4)2つ以上の音階名が集まって2拍となる場合は半角の[]で括り、その後に半角スペースを置く
3対1の割合の2つの音符が合せて2拍となる場合 「例:[3 > 1] 」
1対3の割合の2つの音符が合せて2拍となる場合 「例:[1 < 3] 」
3連音が2拍の場合 「例:[333] 」
シンコペーションで2拍となる場合 「例:[1/1 1/] 」
小節の区切り:
縦線 | で表す。
この女声二部男声一部の混声三部合唱曲は、譜面では[A]、[B]、[C]、[D]、[E]、[F]に分かれている。
私たちの先生は、[A]、[B]、[C]、[D]を1回目は合唱ではなく、主旋律を全員で斉唱し、2回目の[A']、[B']、[C']、[D']から、[E]、[F]を譜面通りに合唱するお考えのようである。
それを理解し、暗譜するために数字譜を活用することにした。ただし、主旋律は覚えているので、これには数字譜を付けず、歌詞だけとし、小節の区切りである縦線を加えた。
Pはピアノ、全は全員、女は女声、男は男声の略で、この数字譜は、私(男声)のためのものである。
[前奏]
P 5/^2/|^4 - - 5/^2/|^4 ^3 ^1|5 - - -|- -
5/^2/|^4 - - 5/^2/|^4 ^3 ^1|5 - - -|z - -
5/4/|3/5/ [^1>^2] ^4/^3/|^3 - z
^1/^2/|^3/^1/ ^1/5/ [5>4]|3 - 1
[A]
全 真っ|白な 雪み|ちに 春|風香る
わた|しーは なつか|しい あの|街を 思い出|す
[B]
全 叶|えたい 夢|もあった 変わ|りたい じぶ|んもいた
今|はただ なつか|しい あの|人を 思い出|す
[C]
全 誰かの歌|が 聞こえる|
誰かを励|ましてる|
誰かの笑が|お が見える|
悲しみの向こ|う側に
[D]
全 は|なーは 花は |花は咲く い|つかー生まれる|君に
は|なーは 花は |花は咲く わ|たーしは何をの|こしただろう
[間奏]
P 4 -|5/1/ ^1/7/ 6 -|5 - 4/3/ 2/1/|2/3/ _5/2/|1 - - _7/_6/|_5 _1 _5
[A']
男 よぞ|らーの 向 こ ー |う の |hum |hum
3/2/|1/3/ 3 z/4/ b6/b6/|5 5 z -|4 3 2 -|1 - z
男 わた|しーは な つ か |し い |hum |hum
3/2/|1/3/ 3 z/4/ b6/b6/|5 5 z -|4 3 2 -|1 - z
[B']
男 傷|ついて 傷|つけて
報|われず 泣い|たりして
いま|はた だ いとお |しい |hum |hum
5/4/|3/2/ 1 z/1/ 2/2/|1 1 z -|4 3 2 -|1 - z -|
[C']
女 誰かの想|いが見える
男 |誰か の 想 |いー 結|ばれてるー
|5 5/5/ 6 5/4/|5 - z 1/2/|3 3/5/ 5 -|
男 誰かの未来| が見える
悲しみの向こ|う側に
[E]
男 は|なーは 花 は | 花 は咲 く
z/_5/|[3>3] 4 4/4/|5/3/ 5/5/ 4
男 い|つかー 生ま れる|君に
z/4/|3 5/3/ 6/5/ 4/3/|4 4 4
男 は|なーは 花 は | 花 は咲く
z/_5/|[3>3] 4 4/4/|5/3/ 5/5/ 4
男 わ|たしは 何を の|こしただろう
z/4/|3 5/3/ 6/5/ 4/3/|4/4/ 4/4/ 3
[F]
男 は|なーは 花は |花は咲く
い|つかー生まれる|君に
は|なーは 花は |花は咲く |hum |hum
|3 - 2 3|4 - 3 z/
男 は|なーは 花は |花は咲く
い|つかー 生まれる|君 に
z/4/|3 5/3/ 6/5/ 4/3/|4 4 4
男 は |なーは花は |花 は 咲く
z/_5/|[3>3] 4 4/4/|5/3/ 5/5/ 4
男 い|つ か 恋 す る き |み の ため|
z/6/|5 3/5/ 4/3/ 2/1/|2/3/ _5/2/|
女 |uh |uh |uh |uh |
|1 - 2 -|3 - 5/4/ 3/2/|3 - 1 - |1 - 1 - |
男 |に | |uh |uh |
|1 - z -|z - - - |5 - 4/3/ 2/1/|2 _5 1 - |
歌の歌詞を暗譜するための工夫として、歌詞リズム略譜を考案したが、今回は複雑な構成からなる合唱曲を理解し、暗譜するために、数字譜を利用した。
数字譜は、和声和音の表現が困難で、合唱曲全体をこれで記譜することはできない。しかし、メロディーは簡単に表現できる。その特徴を活用し、パート譜として、メロディーの流れを示すことは可能である。
そこで、男声用のパート譜を数字譜で書き、この合唱曲の構成の理解と暗譜に役立てることにした。これにより、この曲の理解が深まり、暗譜もできそうである。この合唱曲が仕上がると、オリジナリティーのある良いコーラスになるのではないかと予想できる。
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