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野村医院二十年史


1996.08.30. 掲載
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  書名   :野村医院二十年史

  著者   :野村 望
  出版元  :医療法人野村医院
  出版年月 :1993年11月      
  書籍体裁 :B5版横書き210ページ  
  印刷部数 :500部          
  頒価   :無料

野村医院二十年史

内容紹介 :「私の書いた本」(大阪保険医雑誌95年10月号)

大阪の北東部にある人口6万人の小都市、交野市で開業し、1993年8月末で20年を終えました。この節目に当り、20年間の診療のまとめを記録しておきたい、と強く思いました。37歳から57歳までの期間は、私のような普通の人間にとって、一番活動的な時期であるはずです。それをまとめてから次のステップに進みたいと思いました。

構想は前からありましたが、実際に制作にとりかかったのは1993年の夏からです。職員などに回想文を書いてもらい、それが終わると同時に突貫作業がはじまり、10月末までこれに没頭しました。20年史の最初の部分から少しづつデータを整理してまとめ、少しまとまるとパソコンで印刷し、それを校正しては印刷をするという作業の連続でした。

20年史の資料となるべきものは開業当初から残してきました。カルテはもちろん紹介状の写し、紹介状の返信までも診療室に保存してあり、自分が大切に思う資料はほとんど手許にありました。この資料をパソコンを使って、表計算ソフト1−2−3に入力し、整理していくのですが、かなりしんどい作業で、例えば、1年間の紹介患者の整理をするだけでも、早朝から深夜までパソコンに向かいっぱなしのこともありました。

資料を整理し、分析、作表、グラフ化が終われば、それに基づいて文章を書いて行きます。これをパソコンで印刷し、そのまま版下にして印刷所で製本してもらう方法を採りました。そのためには上質のプリンターとワープロソフトが必要です。これはレーザー・プリンターと米国製ワープロソフトで解決できました。

このような出版方法はアメリカではDTP(desk top publishing )と呼ばれ、10年近く前から簡単な書物の出版に繁用されていますが、日本ではあまり普及していません。「野村医院二十年史」は私の最初のDTPとなりました。

DTPのメリットは書物の体裁やレイアウトを自分で決めることができる、自分の気に入る形になるまで印刷を繰り返して確かめることができる、校正を含めて所要時間が少ないことだと思います。もちろん、その分だけ独善的になりやすいとも言えますが、それを個性的だと考えることにしています。

印刷は開業以来当院のすべての印刷をお願いしている個人の印刷所にしてもらおう、と決めていました。しかし、実際にお願いしたのは9月24日です。しかも、この時点ではまだ1枚の版下もできていなかったのです。10月末までの1ケ月余りで何とか版下制作を完了できたのは、全くパソコンのおかげです。パソコンそのものより、高性能のレーザー・プリンターと優れたソフトの方がより有用でした。

内容の概略は、1.開院までのあらまし、2.診療データ(患者数、レセプト件数、疾病の種類、紹介患者、死亡診断書、診療圏)、3.方針と工夫 4.対外活動(医院外で行ってきた対外的活動)、5.回想(全従事者の回想)、付録.(年表、備品、薬品問屋など一覧、カルテ略語集)から成っています。

この中で、疾病の種類と紹介患者についての統計は、これまで余り報告されていません。そこで、このデータをもう一度整理分析して、94年10月の日本プライマリ・ケア学会第8回近畿地方会と、94年11月の第18回大阪府医師会医学会総会において演題発表を行いました。

この「二十年史」は500部作り、380部を贈呈しました。内訳は医療関係者が88%で、医療関係者以外は12%でした。そのうち医師は全体で204名(54%)で、母校医局関係70名、母校関係33名、返信を下さった紹介医30名、地区医師会関係25名、パソコン通信等で親交のある医師22名、その他13名、歯科医師11名です。贈呈は殆ど郵送しましたが、これもかなり手間のかかる仕事でした。ここでも封筒の表書きなどをパソコンで行い、極力省力化に努めました。

贈呈に対して手紙、葉書、FAX、電子メールなどで有形の返信を下さった方は162名で、贈呈した380名の43%に当ります。そのうちで医師は204名中109名(53%)の方が返信を下さいました。恩師、先輩から評価を頂いた時には心から有難く思いました。

私にはしておきたいことが沢山ありますがこの「二十年史」もそのうちの一つでした。これを書き上げた時に思ったことは「開業医20年間の診療について、書きたいことは全て書いた。しんどかったが楽しかった」でした。製本されたのを手にして感激し、それから贈呈に追われ、漸く一段落したところで今度はしなければならないノルマ(交野市医師会の独立)を課せられて、それに没頭している間にすっかりこの「二十年史」のことを忘れていましたが、大阪保険医雑誌5月号を読んでいて、「私の書いた本」の原稿募集を知り、応募を思い立ちました。

出版の動機はあくまで自己満足のためでしたが、これを読んで下さった方にとって少しでもお役に立つことがあればと願い、できる限り分かりやすく、正直に書いた積りです。これから開業医の道を進もうとしておられる先生、あるいは開業を始められたばかりの先生が、開業医の一先輩の診療記録として、この書をお読み下さり、僅かでも診療に役立つ部分を見つけて下されば嬉しく思います。 少しは差し上げる余裕が残っていますので、読んでやろうとお思いの方はご連絡下さい。

私がしたいことは現在のところ約30件ありますが、その半数以上が何かを書き残すことで、そのうちの数件は自費出版したいと思っています。来年は還暦なので、それに間に合わせたいと思っていますが、無理かも知れません。しかし、したいことが沢山あるということは、生きる張り合いを与えてくれるものだとつくづく思います。


<1996.8.30.>

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