Let's note comm/C33J8Cを購入したのは1998年の年末。それもBeOS R4の
国内発売日でもある12月19日でした。(半分衝動買いです。BeOSを買いに行ってノートPCまで買ってしまうとは思ってなかった。)
両方とも同じ日に購入はしたものの、BeOSはデスクトップPCで使い、Let's noteはWindowsを使うつもりでいました。(実際、そう使っていたんですけど。)
しばらくはそれで満足していたんですけど、Let's noteを毎日持ち歩いていると、やはり自宅以外の環境でも、ちょっとBeOSのプログラムを勉強したいなと思い、だんだんモバイル環境でBeをやりたくなってきていました。
しかし、CD-ROMを内蔵していないノートPCへのBeのインストールは、HDDを外してデスクトップを使ってインストールするという非常に面倒な方法しか知らなかったので、インストールは躊躇していました。
そんな時に出会ったのが、伊藤隆幸さんのページです。
そのページの、BeOS on Notebook PCで、CD-ROMを内蔵していないノートPCでもHDDを外さないでBeOSをインストールする方法を解説しているじゃないですか。(有用な情報を公開して下さる伊藤さんに感謝いたします。)
これで念願のLet's noteでBeOSを使うことができると、インストールを行ってみました。
BeOSだけでは不自由なので、
Windows98をメインにしてBeも
動作するようにしようと挑戦してみました。
ところが、いざやってみると、Let's note commであるための問題点が出てきました。
ですから、Let's note commでインストールする上での注意点を中心に記したいと思います。
(実はLet's note commのリカバリCDの不具合が一番大きいんですが・・・。)
はじめてこの方法を試したのはR4ですが、R4.5、R5とそれ以降のバージョンでも全て成功しています。さすがにR5のPersonel Editionでは無理ですが。
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※Linuxを利用しますので、LinuxやFreeBSDについて少しは理解している(インストールぐらいはやったことがある)事を前提に説明しています。やった事が無くても、わかるとは思いますが・・・
今回の計画
今回はWindows98(Let's note commのリカバリCD)と、BeOSを次のようなパーティション分けで入れるようにします。(あくまで私がこうしたってだけで、こう分けろって事ではないですからね。)
- BeOSに915MByte。
- ハイバネーション用に98MByte。(実際は100MByteも使用しません。)
- 残りをWindows98用に。(機種によって違うので、サイズは逆算して下さい。)
私がやったやり方は
- Linuxのブートディスクとルートディスクを準備
- デスクトップPCに予めBeOSをインストールしておいて、Linuxでそのパーティションのディスクイメージを作成
- Let's noteにBeOSをインストールするパーティションを作成
- Windowsのファイル共有でもftpでも良いので、インストール先のパーティション以外の空き領域に、デスクトップPCからディスクイメージをコピー
- Let's noteでLinuxを起動(フロッピーからでOK)
- コピーしたディスクイメージをインストール先のパーティションに書きこむ
ディスクイメージの作成等はLinux(SlackWare)を使用しました。
前もって準備すべき物
次の物が必要になります。
- Let's note comm(あたりまえだって)
- BeOS R4以降(これもあたりまえだって)
- Linuxのブートディスクとルートディスク(私はSlackWareを使用しました。)
- BeOSをインストール可能なデスクトップPC
- Let's note commに接続するCD-ROM装置
- Let's note commのリカバリCD
- ファーストエイドFD(無い人はLet's noteのHDDから作っておきましょう)
- デスクトップPCとLet's note間のLAN環境
準備ができたら、作業にかかるわけですが、ファーストエイドFDで作成したリカバリCDの起動ディスクは、
リカバリCDにアクセスできるようになっていることを必ず確認しておきましょう。
確認しとかなくてリカバリできなくなっても知りませんよ。
デスクトップPCにBeOSをインストール
デスクトップPCにBeOS
を予めインストールしておきます。
念のため、インストールするBeOSのパーティションはLet's noteに入れる大きさよりも若干小さめにしておきます。
(私はLet's noteに915MByteの領域を確保する予定だったので、910MByteにしておきました。)
BeOSのディスクイメージを作成
まず、Linuxでアクセスできるディスク領域に、910MB以上の空き領域を準備しておきます。マウントすれば良いので、これはWindowsのパーティションでもかまいません。
デスクトップPCにLinuxがインストールされていればそれを、インストールされていないならば作成しておいたブートディスクとルートディスクでLinuxを起動します。
準備しておいた空き領域のあるパーティションをマウントします。
ddコマンドでBeOSがインストールされているパーティションのディスクイメージを空き領域に作成します。
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dd if=BeOSがインストールされているパーティション of=作成するディスクイメージの名前
-
例)
dd if=/dev/hda1/ of=/mnt/hd/beos.img
ここで、BeOSのインストールしているパーティションがわからないという場合は、fdiskを起動して、lコマンドでパーティションのリストを表示してください。idにebと書いてあるパーティションがあるはずです、そこがBeOSのパーティションです。(まず間違い無く)
Let's noteにBeOSをインストール領域を作成
ほとんどの人はLet's noteにプリインストールされたWindows98を使用している事でしょう。ただ、プリインストールの状態ではBeOSをインストールするための空きパーティションがありません。そこで、BeOSをインストールするための空きパーティションを用意する必要があります。
既にWindowsを入れているパーティションのサイズを変更して空きパーティションを作成するツールもあるのですが、ここでは、Windows98の入っているパーティションを削除して、完全にクリアな状態からパーティションの切り分けを行ない、Windows98の再インストールを行なってみます。
まずWindows98の領域に入っているもので、必要なもののバックアップをとります。
それが終わったら、Linuxのブートディスクとルートディスクで起動し、rootでログインします。
fdiskで全パーティションを削除します。(dコマンドで消します。)
次にnコマンドで、第一パーティション(/dev/hda1)にWindows98用のパーティション、第二パーティション(/dev/hda2)にBeOS用のパーティション、第三パーティション(/dev/hda3)として、ハイバネーション用のパーティションを作成します。
tコマンドで、第一パーティションのIDをcに、第二パーティションのIDをebに変更します。
wコマンドでfdiskを終了したら一旦電源を切り、リカバリCDを使うためにCD-ROMを接続します。
Let's note commのWindows98はリカバリCDとして同封されています。(普通にWindowsのCD-ROMを付けてくれたほうが何かと便利なんですが、国内メーカーはサポートセンターの手間は考えても、ユーザーの使い勝手については、あまり考えていないようですね。)
他に方法がないので、素直にリカバリCDを使いましょう。(無駄で何の役にも立たないソフトがそりゃもう大量に入りますけど。)
ファーストエイドFDで起動して、マニュアル通りにリカバリして下さい。その際に、ハードディスクのパーティションはいじらず、フォーマットだけ行なってからインストールするようにしてください。
リカバリが終了したら、CD-ROMは外しておいてください。
- ※リカバリCDは、パーティションがCドライブとなっていても、
最初のパーティションになっていないと動作しません。
- 「フォーマットが違います」とエラーが出ます。
- これを知らなかったために、最初はBeOSを第一パーティションに入れようとしていたので、リカバリがうまくいきませんでした。
- 松下さん、製品には、普通のOEM版Windows98のCDーROMを付けてください。余計な事し過ぎです。
BeOSのディスクイメージを展開
次にやることはBeOSのディスクイメージをLet's noteのハードディスクに展開することです。
まず、Windowsのネットワーク共有でもftpでも良いので、Let's noteのWindows領域に、デスクトップPCで作成したディスクイメージをコピーします。
コピーが終わったら、もう一度Linuxのフロッピーで起動します。
rootでログインしたら、Windows領域をマウントします。
ddコマンドで第二パーティションにディスクイメージを書き込みます。
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dd if=作成するディスクイメージの名前 of=/dev/hda2/
-
例)
dd if=/mnt/hd/beos.img of=/dev/hda2/
この作業が終われば、もうBeOSは
起動できるようになっています。
(ただし、この状態では
BeOSの起動ディスクを
使用しないと起動できません。)
それと、PCMCIAカードの設定を行なうまでは、LANカード等を付けたままだと起動中にデバッグ画面になってしまう事が多い(R5では必ずなってしまいました)ので、LANカードは外した状態で起動してください。
ハイバネーション領域の確保
ここまでの作業で、Windows98もBeOSも起動できるようになっているはずです。
ただ、このままだと、ハイバネーション機能が使用できません。
そこでハイバネーションを使えるように、領域を確保しておきましょう。ハイバネーション用のパーティションとして確保しておいた第三パーティションを使用します。
方法はマニュアルに書いてあるからいいですよね。
マニュアル通りに作業すると、ハイバネーション用のパーティションが作成されます。
各OSの起動を確認
電源を入れればWindowsが起動するので、名前等の情報を入力して、Windowsを起動してみましょう。
この状態まで来れたら、Fnキー+F10キーでサスペンド、Fnキー+F7キーでハイバネーションできることも
確認しておきましょう。
次に、BeOSの起動ディスクを
FDDに入れて再起動して、BeOSが
起動することを確認してみましょう。
起動したらスマートポインターを使って少し操作してみて下さい。正常に動いていますか?
私の環境では起動しきるまでにスマートポインターを動かすと、かなりの高確率でOSが固まってしまいました。
色々と調べていると、R4では、ポートリプリケーターに外部マウスを繋いで操作しているか、CCDカメラを外した状態で使用していれば、固まらないようです。(他の原因かも知れませんが。)
逆にR5ではカメラを付けたままのほうが安定します。(謎ですね。)
あとは、BeLauncherをWindowsに入れるなどして、使いやすい環境にしてモバイルで
BeOSを楽しんで下さい。
makebootable(BeOSのCDに
入っているツール)を使用した後、bootmanをインストールすれば、
BeOSを
直接起動できるようになりますが、私の環境では、直接起動は不安定になりやすいようです。
それと、R5の場合は、bootmanを使って起動すると、なぜかデバッグ画面になってしまいます。WindowsからBeLauncherでは安定して起動するのですが。
最後に
今回行った作業では、BeOSを入れることよりも、
リカバリCDを使用できる条件を調べるのに時間がかかりました。
(BeOSのR4では、カメラが付いていると不安定になる程度でしたから。)
実際、リカバリCDの不具合等の情報は、Let's noteのホームページを調べても出てきませんでした。
付属のCDがリカバリCDではなく、普通のWindows98(OEM版)のCDだったなら、
リカバリCDの動作条件を調べるなどという無駄な作業に時間を使わなくてすんだのですが。
ほんと、日本て過保護ですね。(OSのインストールすらできないユーザーが増えるわけだ。)
R4、R4.5、R5と3バージョンをLet's note commにインストールして使ってきたわけですが、ちょっと残念なのがサウンド機能が使えない事です。R4.5、R5では認識はするのですが、実際に使ってみると酷いノイズで使い物になりませんでした。まだまだ、Let's note comm上のBeOSでMP3を聞きながらの作業への道は険しいようです。
デスクトップPCに比べ容量の少ないノートPCで使う分には、Personal Editionでも十分とは思うのですが、やはりPro Editionを使いたいじゃないですか。(小型で軽くてマルチCPUのノートなんてけったいなものがあると、最高なんですけどね。) ということで、ぜひぜひノートPCにBeOSを入れて楽しんでください。