■家内と一緒にクラブツーリズムの「宇奈月温泉富山湾の幸会席と北陸名所の旅2日間」に出かけた。集合場所のJR大阪駅中央コンコース前に早目に着いて構内のお土産売り場でビールのロング缶とお摘みを買い込んだ。8時40分の定刻には37名のツアー仲間が集合した。
■9時12分発の特急サンダーバード9号に乗車し、早速、缶ビールを開ける。列車内で車窓を眺めながら呑む缶ビールの味こそが旅の醍醐味である。昼食は事前申し込みのツーリスト手配のお弁当だ。福井駅で積み込まれた「かにめし三種盛り弁当」が11時半頃に配られた。三種の味付けのかに身のご飯を美味しく味わった。
■金沢駅に4分遅れの12時に到着した。次の北陸新幹線の乗車時間までわずか6分しかない。添乗員の焦り気味の誘導で何とか「つるぎ708号」に乗車した。わずか23分の乗車であっという間に富山駅に到着した。徒歩2-3分の富山地方鉄道・富山駅発の宇奈月温泉行特急は13時4分発である。待ち時間を利用して再び缶ビールを買い込んだ。
 特急電車と言えローカル線である。停車駅が少ないだけでのんびりゆっくりの車窓を楽しめる。いかにも北陸地方といった伝統家屋の集落や冠雪のアルプスの風景にカメラを向ける。約70分のローカル線の旅路を終えて宇奈月温泉駅に着いた。宇奈月国際ホテルに14時半頃の早目の到着だった。
 
■夕食までたっぷり時間はある。温泉街を散策した。徒歩数分のところに宇奈月温泉駅があり駅前の温泉噴水の情緒を楽しんだ。すぐ隣には黒部峡谷鉄道の宇奈月駅がある。16年前に「アルペンルートと黒部峡谷トロッコ列車の旅」 http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/tabi-alpen.htm で乗車した駅だった。宇奈月神社に参拝してやまびこ展望台に向かった。黒部川の渓谷に架かる二つの赤い鉄橋の光景が美しい。
■ホテルに戻り、温泉に浸かった。広くてきれいな大浴場と風情のある岩風呂の露天風呂を交互に浸かった。18時からホテルの宴会場のテーブル席で夕食が始まった。今回のツアーの目玉でもある豪華な会席料理だった。お品書きにはバイガイ旨煮と蛍烏賊沖漬の先付、カジキマグロ、蛍烏賊、白海老の造り、白海老真丈の温物、白海老唐揚げの揚物、蛍烏賊しゃぶしゃぶの鍋物、蛍烏賊、白海老甘酢漬けの酢物、白海老つみれ団子の椀物、富山県産コシヒカリの白飯、桜饅頭の甘味といった具合である。さすがに美味しかった。新鮮な地場の蛍烏賊と白海老づくしの会席だった。本日三度目のビールを傾けながらの夕食を終えて19時前に部屋に戻った。
■さすがに疲れと酔いが一気に襲った。片付けと明日の支度は家内がせっせとやってくれる。夫婦旅のありがたさを噛み締めながら一気に爆睡に入った。
■宇奈月温泉のホテルで目覚めたのは早朝4時過ぎだった。昨晩8時過ぎに酔いに任せて寝入ってしまったのだから無理もない。5時過ぎに24時間利用可能な大浴場に出かけた。小雨を気にしながら露天風呂に入った。7時半の朝食を済ませ家内と一緒に散策に出かけた。ホテルの背景にみえる雪の残るアルプスの山並みが美しい。  
 
■9時には地元のアルペン交通の観光バスに乗車し二日目の観光に出発。10時過ぎに最初のスポットである高岡の瑞龍寺に到着。寺のガイドさんの説明を聴きこの仏閣の凄さをあらためて教えられた。加賀百万石前田家の財力を背景に三代藩主・利常によって江戸初期に建立された禅宗寺院である。これほど見事に七堂伽藍が完備された仏閣の現存は珍しい。伽藍のほとんどが国宝や国の重要文化財に指定されているのも頷ける。伽藍と向き合う形で約1kmもの参道がありその先に公園に囲まれた前田利長の墓所があった。
■観光バスが能登半島の東の付け根の富山湾沿いの雨晴海岸にやってきた。晴れた日には富山湾越しに立山連峰の山々を望むことができる絶好の景勝地であると添乗員のガイドがあった。ところがあいにくの小雨模様の天気である。むなしく通過する他はない。スマホで画像を確認してその素晴らしさに地団駄踏んだ。
■雨晴海岸から南に50分ほどで五箇山合掌の里集落に到着した。車窓から初めて眺めた光景は半ば雪に埋もれた集落だった。険しい山岳地帯の秘境に忽然と現れた合掌造りの古民家群の絶景に息を呑んだ。合掌造りの一軒・山下家が昼食会場だった。イワナの唐揚げや和蕎麦をメインとした郷土料理だった。身の引き締まった堅豆腐の五箇山豆腐などをご主人の合掌造りについての軽妙なトークを聴きながら味わった。昼食後、バスで隣接の世界遺産・菅沼合掌造り集落に向かった。駐車場と集落はエレベーターと地下トンネルによって結ばれている。豪雪地帯の観光地ならではの大掛かりな設備である。民俗館や塩硝の館やお土産店の並ぶ雪景色の集落を散策した。
 
■JR金沢駅近くの長町武家屋敷跡に到着したのは15時半頃だった。最初に駐車場近くの加賀藩1200石取り武家屋敷跡「野村家」の格式のある屋敷と見事な庭園を見学した。その後は薄茶色の土塀と用水路のせせらぎが巡らされた美しい町並みを各自で自由に散策した。最後の訪問スポットは金沢金箔を製造する「箔座」の本店だった。入店して度肝を抜かれたのは黄金の茶室だった。金箔4万枚を壁に張り巡らした茶室は秀吉の黄金の茶室を模したものという。正面には黄金の茶釜まで据えられている。
■17時半にバスがJR金沢駅前駐車場に到着した。出発までのたっぷりある時間を夕食用のお弁当や最後の買物で過ごした。もちろん缶ビールのロング缶も。18時42分発のサンダーバード42号が発車した。二段重ね弁当「金沢の四季」のおかずを肴にスーパードライ・プレミアムが最後の至福のひと時をもたらした。22時半頃には自宅に戻り久方ぶりの夫婦旅を終えた。