■6時45分発のバスに乗車してJR西宮名塩駅に着いた。ここからは事前に送付されていたフルムーンパスが通用する。新大阪駅1階のツアー集合地には旅行社の旗を掲げた女性添乗員が待ち受けている。今回は15組30人の夫婦がツアー仲間のようだ。全員が揃ったところで黒いスーツ姿の添乗員を先頭にホームに向かう。さすがに鉄ちゃん(鉄道ファン)御用達ツアーである。早速、。「撮り鉄」仲間たちのカメラが最初の搭乗列車の8時40分発「ひかり460号」を待ちうける。このツアーを申し込んだ私自身も立派な鉄ちゃんの一人としてカメラの列に加わった。
■フルムーンパスはグリーン車も利用可能である。東京までの3時間をグリーン車で快適に過ごした。「のぞみ」なら2時間半で行けるのにと思ったが、残念ながらフルムーンパスは「のぞみ」は利用対象外だった。東京駅で東北新幹線「はやて・こまち25号」に乗り換える。東京駅を出て間もなく昼食のお弁当が配られた。最初の駅弁「浅草名物・鶏めし」である。ツアー中の昼食は各地の名物駅弁一筋で、これもまた鉄ちゃん向け「食べ鉄」メニューである。鶏そぼろや錦糸卵の上に4枚の鶏肉が乗っかったお弁当は個人的にはイマイチだったと白状しておこう。
■車窓の田植を終えたばかりの東北の水田風景を愉しんでいる内に盛岡駅に着いた。ここで連結された「こまち」が秋田に向かうため切り離される。これはもう先頭車両の顔をゲットせねばとホームを走った。向い合った長い鼻先の二つの車両を子供たちが興味深げに眺めていた。
■3時間24分をかけて乗り換え駅の新青森駅に着いた。在来線ホームに移動すると既に乗車車両「スーパー白鳥25号」が始発駅に待機していた。16分の乗換え時間を活用し「スーパー白鳥」の鮮やかなライト・グリーンの鼻先で記念写真を撮ったりした。シートの背もたれには「青函トンネル通過予定時刻表」がトンネルの断面図を添えて貼り付けられている。この青函トンネルこそが新青森−函館間直通列車の最大のウリなのだ。乗車して1時間ほどすると海底トンネルに入る。車内のデジタル・ディスプレイで通過状況が刻々と知らされる。竜飛海底駅はあるものの駅見学者用の専用駅でそれ以外の乗客は下車できませんとアナウンスされる。約30分の暗闇世界の果てにようやく北海道側出口に抜けた。5時54分、今日の最後の目的地「函館駅」に到着した。新大阪駅を出発して9時間15分の初日の列車旅を終えた。
■函館駅前から送迎バスで湯の川温泉に向かう。到着したのは4月に「旧・湯の川グランドホテル」をリニューアルして「イマジンホテル&リゾート函館」となったという巨大ホテルだった。指定の部屋は津軽海峡を望める広々とした真新しい内装の快適な空間だった。夕食はテーブル席がいっぱい並ぶ広いレストランでの郷土料理バイキングだった。さすがに北海道である。近海ものの新鮮な魚介類や山の幸が入口付近に所狭しと並んでいる。和洋中華の別なく好きなものを目いっぱいお皿に盛って生ビール片手に味わった。夕食後には最上階8階の露天風呂付き大浴場に浸かった。広大な海を眺めながら心地良い温泉の湯に長旅の疲れを癒された。10時過ぎにはゆったりしたベッドで眠りについた。
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