朝市と山里の朝食
 朝6時、モーニングコールに起こされた。同室者たちと昨夜寝る際に、近くで開かれている朝市に出かけることに話がまとまっていた。なにはともあれ大浴場の朝風呂に浸からないことには温泉旅行の一日は始まらない。皆で目覚めのひと風呂を浴びた後ホテルを出た。
 10分ばかり歩いたところに朝市広場があった。オープンな長屋式の施設に地元の産品を扱う多くの出店者たちが棚を並べている。予想以上の規模の朝市だった。早朝にもかかわらず朝市広場を、大勢の観光客たちが押しかけている。既に買物を済ませビニールを下げたツアー仲間の女性陣たちの姿も見える。8時前に朝食会場に向う。山里の食材をふんだんに使った美味しい朝食を済ませ、ロビーで9時の出発を待った。  
元善光寺の戒壇巡り
 ホテルを出たバスは東の飯田市に向かう。飯田城を模したと言う「お菓子の城」に立ち寄り、しばしのお買物タイムである。観光客慣れした販売員の説明を聞きながら製造直販のお饅頭作りの現場を見学。巧みな口上と試食に乗せられて早速名物「赤飯饅頭」を購入。ついでに信州に来たからには買わずに済まされない野沢菜漬けも調達。
 バスは更に東に向かい、今日のメイン観光の元善光寺に到着。長野善光寺のご本尊は元々この飯田の善光寺にあったそうな。勅命で長野に遷座されて以降、元善光寺と呼ばれるようになったとか。遷座後は木彫りの同じ尊像が残され、7年に一度、ご開帳されている。
 本堂で寺の延喜や有難いお念珠やお守りなどの販売品の講釈を聞いた後、本堂下の戒壇巡りに向う。内陣横の入口の先は真っ暗な暗闇が待ち受けている。右側手すりを頼りに階段をおり、手探りで進む。突き当りを手すりにいざなわれて直角に左折した先にぼんやり灯りに照らされた仏像が見える。お参りをして先に進み地上に出る。  
飯田・水引の郷の昼食
  昼食は、飯田市内のドライブイン「水引の郷・山都飯田」で用意されていた。その名も示すようにこのドライブインには水引博物館が併設されていた。昼食後の自由時間に博物館を見学する。見事な芸術品ともいえる伝統工芸の技を極めた大型作品が展示されている。映像シアターで水引ができるまでの工程映像を鑑賞した。昼食会場の見晴らしの良い窓から、これから行く山腹に広がるリンゴ農園が見晴らせる。   
食べ放題のリンゴ狩り
 最後の観光「りんご狩り」の農園に着いた。農園周辺はリンゴだけでなく柿農園も広がっている。入口で渡された果物ナイフを持って、たわわに実ったリンゴの樹の林に分け入る。今日の品種は「陽光」とのこと。食べ放題のリンゴ狩りとはいえ一個食べるのが精一杯である。大小のプラスチックのバスケットに詰めたお土産用リンゴがツアー仲間のオバサンたちを中心に飛ぶように売れている。どんなシーンでも主婦たちはお買物の王様である。
 飯田を2時過ぎに発ったバスが帰路に着く。復路はもっぱらビデオ放映タイムである。バス備付けのCDが「綾小路きみまろライブ」「やすきよ漫才決定版」「がばいばあちゃん」が半分は眠りこけている車内に流される。中央、名神、中国の各自動車道を乗り継いで出発地点に着いたのは6時だった。

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