昨年暮に発症した大病もようやく山を越え、なんとか日常生活に復帰した。そんな気持ちのゆとりのなかで、ここのところ恒例となった秋のツアーを敢行することにした。さしずめ大病復帰祝いと妻の看護慰労ツアーとでもいったところか。とはいえさすがに病後の今回は海外ツアーは控えることにした。過去の海外個人ツアーでANAのマイレージが夫婦とも国内線を利用できる程度に貯まっている。
 国内ツアーといえば何といっても北海道だろう。10数年前に職場の長期勤続慰労制度を利用して夫婦で札幌、函館、小樽を中心としたツアーに参加した。今回はマイレージ利用が前提であり、個人ツアーを計画する他はない。北海道の大自然を満喫できる道東の旅を考えた。マイレージ利用にはいくつかの制約もある。ネット検索の結果、往路は9月9日の関西航空発の女満別空港行が、帰路は9月12日の千歳空港発の伊丹空港行きが確保できた。
 出発便と到着便が確定したところで、3泊4日の道東の旅の中味を計画することになる。早速、書店でガイドブック(マップル知床・阿寒湖・釧路湿・網走2007)を調達し、週休三日のゆとりある休日ライフを活用して計画作りに夢中になった。網走監獄見学、知床半島クルーズ、阿寒湖・摩周湖周遊、釧路湿原散策とノロッコ号乗車の現地ツアー、富良野・美瑛列車往復と富良野レンタサイクル周遊・・・・・。出来上がったツアープランは、JR、レンタカー、レンタサイクルと移動手段も多彩に駆使した盛沢山の見どころ満載のものになった。食事もホテル食を避け地元の味処を訪ねることにした。知床の海鮮丼、阿寒湖のアイヌ料理、釧路の炉端焼き、釧路ラーメン、車中の有名駅弁等が楽しみだ。知床ウトロ温泉、釧路、富良野の各ホテルの予約、現地ツアー、レンタカー手配もネット予約で完璧だ。
 三泊四日のパックツアーでは到底叶わない充実した内容に違いない。とはいえ各項目の見積りを集計すると往復の航空運賃なしでも通常のツアー料金を上回る額になった。
 今日から北海道の道東の旅に出る。昨年9月の「ドイツ&スイスの旅」以来の1年ぶりの旅である。国内旅行であり、Zaurusによるブログ更新の環境はある。今回は旅先からのリアルタイムなブログ更新を試みようと思う。盛りだくさんの欲張りスケジュールの合間を縫っての更新が果たして可能か甚だ心もとない。
 旅の初日の知床のホテルで何度もZaurusにアクセスしたが叶わなかった。もしやと思ってフロントに尋ねたら、案の定PHSの環境はないとのこと。携帯も繋がらないこともあるという。考えて見れが知床は日本の北東の先端に位置している。NET環境が遅れていてもても不思議はない。その後、電車での移動中など何度かアクセスしたが思うに任せない。JR摩周駅待合室や釧路のホテル、JR滝川から札幌に向う車中等、北海道は点から点のアクセス環境だった。ブログの後半は、自宅に帰ってからの更新の事態とあいなった。
 自宅を出て関空に向かった。国内旅行での関空利用は初めてだった。何しろ到着空港の女満別はこの時期は関空しか出ていないにだからやむを得ない。ちなみに女満別をメマンベツと読むことを今回初めて知った。
 定刻前の15時に着陸した女満別空港は、見渡す限りの田園に囲まれた北の大地のど真ん中の空港だった。空港のターミナルビルはローカル空港の貧弱な施設を想像していたが、予想以上に立派なものだった。
 空港からは丸1日レンタカーで移動する。同じ便で到着した乗客の多くがレンタカーを予約しているようだ。NET予約していた日本レンタカーの送迎車が私たちを空港営業所まで運んでくれる。借り受けた乗用車は真新しい最新ナビ搭載の快適な車種だった。レンタカーとともに提供された北海道ドライブガイドはありがたいナビ情報だった。ほとんどの観光スポットや主要施設が地区別に9桁の数字コードがついている。このマップコードをナビに入力するだけで次々にナビ設定ができる。 
 空港から北に車で20分程の所に最初のスポット「博物館・網走監獄」がある。NETでクーポンを入手し一人110円の割引きで入場する。内容は1050円の価格に恥じない見応えのあるものだった。旧網走刑務所の建物を移築し、開拓期の監獄を再現した博物館である。高倉健が演じた舞台・網走番外地の様が、当時の構造物と等身大のリアルな人形で見事に復元されている。収容者の雑居房らしき部屋に足を入れた時、突然右側の立膝をしていた人物が顔をこする動作をし、妻が思わず悲鳴をあげた。人形の一部は可動式という手の込んだ演出だった。  
 「監獄」から網走市街を抜け、オホーツク海を左に見ながら一路東に向かう。
 途中、JR釧網本線の原生花園駅に隣接する小清水原生花園の展望台に立ち寄る。私たちが到着した時、折りよくJRの電車が駅から発車しようとしていた。風情のあるログハウス風の小さな駅舎と電車を画像に納めた。オホーツク海と濤沸湖(とうふつこ)に挟まれたの細長い砂丘には6〜8月のシーズンには色とりどりの自然の花畑が観光客をひきつけるようだが、シーズンオフの今は、ただの広大な草原が広がっているばかりだった。
 更に知床半島に向かって東に進む。さすがに北の大地の自動車道である。どこまでも真っすぐな舗装路が一直線に伸びる快適なドライブウェイだ。
第2部へ続く