2007年10月例会

10月20日 九条下町おもしろウォーク
 さくら会10月例会の案内が来た。ワクワクするような軽いノリの下記の案内状が添付されていた。
 『−昭和のレトロなムードが残る下町−九条下町おもしろウォーク ボランティアのおばさんたちがご案内!懐かしい紙芝居も登場! 九条は下町人情が厚くておいしいものと歴史のある町です。下町のシンボル、懐かしい対面販売の市場をのぞいたり、テレビ等で紹介された九条の”うまいもん”を「ツマミ食い」しながら歩きます。(デパートの食品売り場のノリです!)。何故かツアーの途中で「阪神球団応援歌・六甲おろし」を唄います。』
 久々の屋外の散策コースの例会である。メンバーたちの年齢に相応しいそそられる企画である。これはもう見逃す手はない!
■15時少し前のJR環状線・西九条駅の改札出口には既に10数名のメンバーたちが顔を揃えていた。今日の講師でありツアーガイドでもある谷口靖弘さんと名刺を交換する。大阪・九条下町ツアー主宰が正式な肩書きのようだが、本業はナント大阪芸術大学短期大学部経営デザイン学科教授という大学の先生なのだ。傍らにはボランティアガイドのおばさん・高居千登勢さんがかいがいしく参加者の保険加入用の受付をしてもらっている。15時過ぎにお二人を含め総勢21名のツアーが出発した。
■西九条駅改札前の南北道路を南に行くと安治川の土手に突き当たる。手前で谷口先生から周辺の解説を受けた後、少し西側に折れて堤の上で集合。ここからすぐ南に安治川に架かる巨大な鉄橋が見える。ここで先生は持参の紙バッグからタイガースの帽子やハッピや旗といった応援グッズを取り出す。参加者にひとわたり配られたところでクイズである。「今から皆さんにこの場所で六甲おろしを唄ってもらいますが、何故この場所なのでしょう?」。当然ながら誰も答えられない。「あの鉄橋がテーマです。あの鉄橋は阪神電車なんば線の近鉄難波駅までの延伸工事の一部なのです。私たち九条の住民は一日も早く延伸が実現するよう阪神電車を応援してします。」ナルホド納得!というわけで阪神ファンは高らかに、そうでない人もそれなりに参加者による「六甲おろし」が安治川堤にこだました。
■大合唱の後、すぐそばの安治川川底トンネルにもぐる。エレベーター横のジグザク階段を下りると細長いトンネルが続いている。照明の行き届いた白いタイル壁の明るいトンネルの上は安治川で我々は川底を歩いている。住民たちの往来も結構頻繁だ。トンネルを出る時は登り階段をさけエレベーターに乗る。先生の参加者の年齢を配慮した気配りか。住民の足の一部でもあるエレベーターは自転車の乗車も可能な巨大なものだ。
エレベーターを降りると正面に大通りがあり、「源兵衛渡」と標記された交差点の標識が目に付く。昔は此処が渡し場だったことを教えてくれる。この辺りは江戸時代に河村瑞賢によって治水工事が行なわれたと先生の解説がある。
■すぐ先にある「粟おこし・とらや」を訪ねる。創業80年の大阪名物粟おこしの老舗である。缶に入った試食用の粟おこしを配るガイドの高居さんが手際が良い。参加者の多くが昔の懐かしさに思わずお土産用の粟おこしを求めている。大通りを更に南に進むとかって造船用のボルトやナットの製造で栄えた工場街が広がる。かっての繁栄は今は昔となりつつある。工場の一角を転用した貸し教室で和太鼓の練習に励むグル−プを見学した。休日で閉まっていたが町の鍛冶屋さんが今も操業している。
■九条商店街に入り「お好み焼・焼そば・たこ焼 かんえい堂」と看板にあるいかにも大阪の粉もん屋さんといったお店に入る。20人も入れば立ち席の犠牲者もでる小さな店内になんとか収容される。再びガイドさんの出番である。皿にのせられた三角のお好み焼に描かれた顔はどこかで見たような・・・。この顔の名前当てクイズである。誰も答えられない。「ここはUSJが直ぐ近くにあるんです。USJの人気者ジョーズにちなんだ上手お好み焼です。」が回答。
■商店街を更に南下し、途中で右に折れると昔ながらの風情のある酒屋さんがあった。日本酒の銘柄を大書した年代物の木製看板が歴史を刻んでいた。阪神電車西大阪線の延伸工事の横を南下する。阪神西九条駅と近鉄なんば駅が繋がれば、姫路から奈良までが直通になるという。確かにこれは便利になる。更に西に向う途中に戦災をまぬがれたのだろうか大阪には珍しいうだつのある古い民家が残っていた。
■次に案内されたのは民間払い下げ第一号のSLが展示されたSL館(共永興業本社ビル)だった。残念ながら休館日で巨大なショーウィンドーからの見学となったが、「貴婦人C−57」の雄姿に見とれてしまう。窓越しの貴婦人とガラスに投影された我々の姿の不思議な画像がデジカメに残されていた。
■SL館近くの九条東公園には自転車に紙芝居をセットして待っている先生の姿があった。高居さんによる紙芝居「わが町九条と大阪自慢!」が上演された。
■再び九条商店街に戻り商店街の南端近くから東に伸びた下町市場の通りに入る。すぐのところの卵屋さん「岡本鶏卵店」では、我々が到着するなり大将がガラス小鉢に卵を割って見せてくれる。黄身が二つある縁起ものでカップルにも喜ばれるらしい。名づけて「君(黄身)といつまでも」とのこと。タイガースマークを彩色したタイガース玉子も店先に並んでいる。下町市場を東に進むと、手づくり豚まんの「邵記」に辿り着く。あつあつの豚まんを頬張りながら小休止。
■九条商店街の南端を地下鉄中央線高架が横切っている。高架下の先にナインモール商店街(バッファロード)が伸びている。その南の端に最後のスポット「ケーキの店・ブルンネン」があった。高居さんから配布されたシュークリームを一同店先で頬張った。小刻みにおやつ感覚で口にする九条名物はどんどん吸収されていく。
■下町ツアーは以上で無事完走した。行く先々で九条で生まれ育った谷口先生の知人友人にツアーをサポートしてもらっていることを実感させられる。訪問したいくつかのお店のご主人は先生の同級生が多い。まぎれもなく九条は先生の故郷だ。故郷だからこそ先生のツアーを通した街おこしに熱がこもる。幼なじみたちの先生への支援に心がこもる。ふるさとを離れて新興住宅街に暮らす私にとってほのぼのとしたうらやましい光景が展開していた。
■例会本番とも二次会とも判別しがたい会食が「カジュアルふれんちれすとらん・おおの」で始まった。
 谷口先生から本業でもある観光分野の「国際マナーと国際事情」をテーマとしたスピーチを伺った。日本人が海外で犯しやすい間違いマナーや慣習の違いの紹介があった。牛を神聖視するヒンズー教徒の国・インドのマクドナルドのハンバーガーはマトンやチキンや魚肉を使用している。欧米でのホームステイ中に家族から自分の宗教を尋ねられたら、日本の若者は胸をはって無宗教と答える場合が多い。熱心な信者でなくとも何かの宗教を答えた方が人格的な信頼を得ることが多い等々。示唆に富んだ話しを聞くことができた。このほか世界一周の航空運賃を33万円で実現する方法や、九条下町ツアーに参加した中学校の修学旅行生アンケートの「おばちゃんが怖い」等の紹介など楽しくて興味深い話題も尽きない。
■会食はさすが「ふれんちれすとらん」と思わせる料理の数々だった。飲み物もフランス料理といえばワインがメインである。様々なワインで盛り上がったもののやっぱりビール党の私は途中で切替えた。
■今回の素晴らしい例会は地元の川村さんと隣接住民の竹内(佳)さんに企画・担当をしてもらった。所用のため二次会不参加となった川村に代わって竹内さんから締めの挨拶があり、無事閉会となった。
■ちなみに今回の参加者は、川島、岡とご家族(奥様と小学生の娘さんお二人)、日高、竹内(佳)、森、府録、池田、川村、盛田、福井、上林、三浦、筧田、岡山、奥野、吉井の19名の皆さんでした。