2012年1月例会

1月26日 考えてみよう!原発と暮らし
■今年初めての「大阪さくら会」の例会があった。会場はJR環状線福島駅最寄りの「賀茂姫」という路地裏の長屋を改装した料理屋だった。路地裏だけに参加者は辿り着くのにかなりてこずったようだ。午後6時半頃に庶民的な風情のあるお店の格子戸を開けて会場の二階に上がった。10畳ばかりの細長い部屋にはプロジェクターとスクリーンがセットされ、既に講師をはじめ数人の参加者の姿があった。
■今回の講師はさくら会のメンバーの竹内賢樹さんである。京都府庁をリタイヤ後、郷里で農業に携わる傍ら、現役の頃からの関心事だった環境問題に取組み、福島原発事故以降はその延長で原発問題への関心と研究に深く関わっているとのことだ。そんな経歴もあって今回の「今一度考えてみよう原子力発電と我々の暮らし」と題したスピーチとなった。以下は、講師のスピーチに当たってのメッセージである。
 『チェルノブイリ原発事故以来、漠然と原発は危険なものではないかと言う認識は持っていましたが、それでもソ連の原発と違い日本の優秀な技術で作られた原発は絶対安全であると言う政府や学者、電力会社の言葉をこれまで信じてきました。また、地球温暖化を防止するためにはCO2を出さない原発は必要だと思ってきました。
 しかし、福島第一原発の事故があってはじめて原発は絶対安全とは言えないし、一旦事故が発生すればその被害は計り知れないことに驚かされました。そして、日本が世界第3の原発大国になっていて、関西電力が日本で一番原発の依存度が高く5割も占めていることも分かりました。
 我々の快適な暮らしを維持するためには電気は欠かせないものですが、これを機会に原発に支えられた我々の暮らしそのものを見つめ直す必要があるのではと思い始めました』。我々の原発についての素直な気持ちと認識を端的に表現されていた。
■定刻の7時には、予定の参加者もほぼ揃ってプレゼンが始まった。プロジェクターで豊富なデータを示しながら原発を巡る問題点が丁寧に解説された。あらためて認識させられたのは次の点だった。原発の問題点を「原発コストは安くない」「核廃棄物は処分自体が困難だ」「再処理(核燃料サイクル)の危険性」「一旦事故が発生した際のその被害の甚大性」「地震国日本での原発の危険性」など説得力のある内容で整理してもらった。「脱原発は可能なのか」との懸念についても「現状でも原発なしでも電力不足はおきない」ことをデータを添えて指摘し、「脱原発の世界の動き」を紹介しながら省エネ・節電と自然エネルギーの普及が訴えられる。最後に我々自身の暮らしの見直しが言及された。「地球環境の危機的現状」が触れられ、「壊滅的なリスクを抱えながら尚、経済を優先すべきか」を問いかけ、「エネルギー消費社会からの転換」が必要であり、そのためのライフスタイルそのものの見直しが訴えられた。『「足るを知る生き方」、もったいない精神でできるだけエネルギーを使わない社会システムをつくりあげることや、効率的な自然エネルギーの開発にこれまで原発につぎ込んできた開発費を振り向ければ、原発なしでも安心して暮らせる社会が作れるのではないかと思っている』と結ばれた。
■原発に対する疑問点と漠然とした不安が見事に整理できたスピーチだった。プレゼンの後は論客ぞろいの出席者たちの多面的な質問が相次いだ。
■スピーチの後は、恒例の会食懇親会である。お刺身の盛り合わせや鴨鍋料理に舌ずつみしながら大いに歓談した。岡山さんウィスキーや森さんの焼酎差し入れがテーブルを賑わす。初参加の竹内さんの大学同窓の福田さんの自己紹介を皮切りに参加者全員の近況報告も行われた。
 ちなみに今回の参加者は、講師の竹内さんに、川島、盛田、日高、福井、岡山、北村、筧田、浦濱、桑田、藤、森、福田の13名の皆さんだった。