2010年2月例会

2月9日 ドイツ・ロマンチック街道サイクリング二人旅
講師は異色のおじさんコンビ
■2月例会は会員講師の奥野さんの冒険物語だった。講師は会員の奥野守さんと、その中学時代の友人池内一男さんである。お二人で昨年9月にドイツのロマンチック街道をレンタサイクルで走破した、その16日間の体験ツアーの報告会だった。講師の奥野さんは、長谷工コーポレーションを2年前に60歳で退職し、ツアーコンダクター資格を取ってバスツアーの添乗員を始めたものの、乞われて不動産会社に二年間勤務後、昨年8月に退職したとのこと。一級建築士の資格を持つ技術屋さんである。一方、池内さんは大学卒業後、大手食品メーカーに入社するが、教員志望忘れ難く神戸大学に再入学し教員資格を取得。西宮市の小学校で教員や校長を歴任後昨年3月に定年退職し、現在、西宮市教育委員会勤務の傍ら某女子短大講師も勤めているとのこと。この間、文科省から派遣されてインドで3年間の教員をされたという貴重な経歴の持ち主でもある。
五年がかりの夢の実現
■最初に奥野さんからツアー報告をまとめた資料をもとに20分ほどのスピーチがある。テーブルには奥野さんがわざわざ取り寄せたドイツ政府観光局発行のロマンチック街道ルートマップや沿道各町村の観光マップも準備されている。
 「定年退職を目前にして老後の趣味を模索していた時、『ドイツロマンチック街道サイクリング一人旅』」という本に出会った。これだ!と思った。それ以後、ロマンチック街道サイクリングツアーの挑戦を夢見て準備を始めた。自転車を購入し、琵琶湖一周などのサイクリングツアーで訓練を積む。ロマンチック街道自転車道の地図や資料を入手する。準備は整ったものの一人旅の不安がつのる。友人・池内君の『一緒に行こう』の言葉に背中を押され、5年がかりの夢実現に踏み出した。」
 コースはフュッセンからヴュルツブルグに至るアルプス山麓からマイン河畔までのコースである。通常の観光ルートとは逆のコースのようだが、サイクリング走破のため高低差600mの下りコースを選択したとのこと。なるほど、逆ならばエライ目にあってた筈。続いて旅の印象や感想が述べられる。
 「利用航空機がエアー・チャイナだったため、ドイツでは中国人と思われ厳しい対応を受けた。パスポートの赤い色で日本人と分かり急に親切になった。ドイツ人の日本人への親近感を感じた。宿泊は主にGh(ガストホーフ)という小規模で比較的安価な宿を利用した。家族経営が多く、宿の年配の女主人との楽しい交流があったり、夕食で隣り合わせた7人連れのファミリーと意気投合して盛り上がったりした。ローデンブルグで知り合ったご夫婦のお宅に泊めて頂いたりもした。個人旅行ならではの愉しくて貴重な体験だった。」
 そのほか奥野さんが感じたドイツやドイツ人の印象などが披露された。自己責任意識の強さ、環境対策の熱心さ、平坦な国土でのアウトバーンの普及、物づくりでの頑丈さへのこだわりなどである。日本にあってドイツにないものを挙げながら日独の文化の違いなども語られた。
DVD動画の現地レポート
■続いて、現地で池内さんが撮影したビデオの30分ほどのDVD編集版がプロジェクターで流された。BGMも流れる本格的な編集だった。奥野さんが操作するパソコン画面を見ながら随所で池内さんの解説が入る。
 「480Kmを10日で走破しなければならなかった。完走第一で観光するゆとりはない。スケジュールをめぐって二人で口論する場面もあった。」
 ツアーコンダクターの資格を持ち観光への関心の強い奥野さんに対し、小学校教諭の現役生活の長かった池内さんは修学旅行での生徒たちの無事第一の引率体験が重い。二人の想いの違いが口論につながったという。道に迷ったこともしばしばあったようだ。愉しいだけでない体験も多々あったと思う。それでも一人では乗り切れない困難も、二人だからこそ乗り越えられたという実感が解説の端々に窺える。自転車に乗りながらの風景撮影や現地の人たちとの交流場面などDVDから流れる動画が生々しくツアーの模様を伝えてくれる。
おじさん二人が荒野をめざす
■思えば幼い頃、男の子たちはまだ豊かな自然の残る故郷で、ガキ大将たちと山野を駆けめぐる冒険に出かけたものである。今再び団塊世代のお二人は、還暦を過ぎての無謀とも思える冒険旅行に出かけた。長かったビジネスライフを終えた時、荒野をめざした青年の心に戻ってリタイヤ生活のスタートを切った。言葉の通じない異国での480kmにわたる街道を、二人きりで走破する。男のロマンを感じさせる魅力的で羨ましい体験というほかはない。「自分の健康や家族との関係など、周囲の状況を考えれば今しかないと思った」。奥野さんの、冒険旅行を決断させた重い言葉だった。
■スピーチ後、料理が運ばれ懇親会が始まった。定番会場となった「日月亭」での上品なミニ懐石料理に舌鼓を打ちながら飲み放題の宴席での懇親が続く。最後に川島代表幹事で締めてもらい10時前に例会を終了した。
■ちなみに今回の参加者は、講師の奥野さん、池内さんに、川島、井上、森、盛田、岡、日高、生原、中井、福井、 桑田の12名の皆さんだった。