あなたはこれでもAZ−1が欲しいか
このHPに書かれているAZ−1の紹介記事は、お約束の提灯記事ばかりである。それを真に受けてAZ−1が欲しくなり「中古の買い方」をクリックしてしまったあなた。それは大きな過ちを犯す第一歩である。ここではAZ−1を取り巻く現実を直視することで、あなたの犯そうとしている過ちを正していきたい。ここを読んでなおもAZ−1が欲しいという強い意志、これからあなたが巡り会うであろう様々なトラブルに対して途中で放棄する(車を売り飛ばす)ことなく果敢に挑戦しようという人、たくさんの選択肢の中でなぜAZ−1でなければならないのかが明確になっている人こそ、次のページに進むことが出来る。
AZ−1は狭い
AZ−1は二人しか乗れない、荷物もつめないどーしようもない車である。小さいから他の車にぶつけられたらダメージは大きい。トラックに追突したら、トラックの下に潜り込んで首がなくなる。そして死ぬ。確実に死ぬ。
中古車の状態
現在(2003年)、まともなAZ−1の中古車はほとんど存在しない。あるのは修復歴ありの事故車、走行距離の非常に長い車もしくはメーターを巻き戻した車、錆びだらけでどうしようもないボロボロな車である。買ったら絶対にトラブルが起こってまともに動かない。悪いことを言わないから、やめた方がいい。
こういう人はAZ−1以外の車を買うのが正しい
1.楽しい車に乗りたい人
こういう人にはマツダ・ロードスターがいい。オープンで走ると気持ちがいいし、ドライブしたり食事をしたり酒を飲んだりする楽しいOFF会が盛んに行われている。エンジンレイアウトはFRで整備がしやすいし、アフターパーツもたくさんあってチューンナップやドレスアップが簡単だ。シフトは心地よく入ってくれるし、低回転域での加速感はどっかんターボであるAZ−1よりもいい。AT車もある。トランクもついている。作りの安い軽自動車と違って故障知らず。これだけいいところがあるのなら、マツダ・ロードスター以外に選択の余地はないだろう。
2.やっぱり軽のオープンカーがいい
ロードスターは普通車。セカンドカーで持つには維持費がかかりすぎるから軽がいい、という人にはビートがおすすめ。なんといっても安い。AZ−1を1台買うのに必要な金額で2〜3台買える。そうすると1台は走り用、もう1台は部品取り用、最後の1台は保存用という使い方ができ、車遊びの選択の幅が広がる。AZ−1の10倍ほど生産されたため、アフターパーツも多い。
3.軽はターボがないと・・・
軽はターボがないと走らない、という人にはカプチーノがおすすめ。AZ−1と同じDOHCターボのF6A(後期型はK6A)を搭載している。また車重もAZ−1より少し軽いためか、アクセルを踏んだらすっと発進する。ロングノーズ2シーターのFRだから室内、特に縦方向が長い。足が楽々伸ばせるため、ロングドライブも快適だ。センタートンネルも太く・高く、FRスポーツの熱い雰囲気を誰でも感じ取れるだろう。デタッチャブルハードトップのためビートの用に幌に気を使う必要が無く、オープンも楽しめる。
4.でもやっぱりガルウイングがいい
そういう人にはトヨタのSERAがおすすめ。発売当初はなぜかロードスターと比較されることの多かった遊び心の大きい車である。AZ−1より遙かに大きいガルウイングで、ドアを跳ね上げる構造はAZ−1より出来がいい。なんといっても天下のトヨタの車である。これを選んでおけば間違いない。当然中古でないと入手出来ないが、AZ−1と比べると圧倒的に安いのも魅力の1つだ。
5.AZ−1のようなキワモノ車がいい
そういう人にはスーパー7がおすすめ。走るためにこの車は存在する・走るため以外のパーツは必要ない、という点でAZ−1とほぼ一致する。そのため走り系のイベントも多いしドライブしたり食事をしたり酒を飲んだりする楽しいOFF会が盛んに行われている。キワモノも度が過ぎると「持っている人は誰もいない」という状況になりかねないが、スーパー7なら大丈夫。なぜならばたくさんのレプリカが存在するからだ。その中でもバーキンは安い。どノーマルのAZ−1+αの金を出せば中古なら買える。キワモノゆえに維持し続けることが出来ず自己都合で売り飛ばす人も多いため走行距離の短いものが比較的手に入りやすいし、まだ生産され続けている車なので欠品の心配もない。簡単な構造をしているから、いざとなったら現物あわせでパーツの自作も可能だ。
さてどうだろうか。これでもまだあなたはAZ−1が欲しいだろうか。「もういいや」という人は賢明な判断を下したと思う。しかし、それでもAZ−1が欲しいという人には、私から独断と偏見のアドバイスを・・・AZ−1は上述のような普通の車とは違う。稀少絶版車という特別の存在なのだ。この手の車を乗りこなすには、なぜAZ−1でなければならないのか、明確な根拠を持つ人でないとつらい。「AZ−1が好きだから欲しい」という漠然とした理由だけでは今ひとつ弱い。ならばなぜ好きなのか、具体的にどう好きなのか、自分はAZ−1で何ができるのか、AZ−1をどうしたいのかを考えて欲しい。それがなければそこら辺を走り回るだけで飽きてしまうか実用性のなさに嫌気がさしてすぐに売り飛ばすことだろう。これは昔から多くの旧車の間で繰り返されてきたことでAZ−1にも当てはまるし、オーナーとしては悲しい出来事である。
では何をすればいいのか。この答えは1つではなく人それぞれだと思う。それを掘り下げ、自分なりの答えを見つけたならば、今度はひたすら現実のものにしようと努力してほしい。例えば、現状のAZ−1のスタイリングが気に入らないから自分の理想のスタイリングを思い描き、オールプラスチックボディーというAZ−1の特性を生かして外装を自作することで、思い描いたスタイルを現実のものとする、というのが一番分かりやすい例だろうか。他にも、コントロールしにくいMR車をあやつって、自分のイメージしたとおりのライン取りを行いタイムを上げるというのもあるだろう。AZ−1は遅いやつが乗ると全然遅いが、速いやつがのるとめっぽう速いという極端な車である。自己のタイムが飛躍的に伸びる瞬間は何事にも代え難い至福の時ではあるまいか。
以上挙げてきたように、人によって様々な答え・様々な方向性があるが、それを一言で表すならば、AZ−1とは自己研鑽と自己実現ができる車なのである。なぜなら情報の少ない稀少絶版車だからこそ、上述のとおり欠点の多い車であるからこそ改善の余地が生まれ、そこに人それぞれの目標ができるためだ。自分にとって新しい領域を切り開いていくには抵抗がある。我慢がいる。厳しさもある。でもこれをやりきったらきっととてつもないパワーが出てくる。目標達成のために努力し目標を現実のものとしたときに得られる大きな達成感、さらにこれらの情報をインターネットを通じて全国のオーナーに還元する際に得られる自己実現の瞬間。これこそが他の車では味わえないAZ−1ならではの醍醐味であると確信する(注:AZ−1でもドライブしたり食事をしたりすることは行われています)。
中古の買い方へ入る