LA名画上映スポット

このコーナーでは、ロサンゼルスにおけるロードショー公開館以外の、旧作リバイバルや名画上映を行うスポットについて紹介する。

 ロサンゼルスは映画の都と呼ばれるだけあって、新作を公開する映画館は山のようにあるのだが、一方で旧作のリバイバル館や名画座は、なかなかないように思える。日本の「ぴあ」のような便利な情報誌がなく、人に聞こうにも、誰に聞いていいのか分からない。(ちなみに映画の上映スケジュールはLA最大の日刊紙LAタイムズのカレンダー欄に毎日載っている。ただし上映時間は興行成績などによって毎日のように変わるので、当日の確認は必須。)

 しかしよく探せば、知る人ぞ知るで、昔の映画やヨーロッパ、アジア等の作品を上映する名画座や上映イベントは案外多い。こうしたイベントに出演者やスタッフがゲストとして参加することが多いのもロスならではだろう。私が見たものだけでも『時計仕掛けのオレンジ』にマルカム・マクダウェルが来たり、『黒い罠』にチャールトン・ヘストンとジャネット・リーが来たり、ヒッチコックの『逃走迷路』にノーマン・ロイドが来たり、『奇蹟』にジャキー・チェン(『ラッシュアワー2』の撮影でLAに来ていた)が来たり、『アニー・ホール』にドリュー・バリモアが来たりしている。ゲストが観客と一緒に映画を見る時もあれば、上映後に観客とQ&Aを行ったりすることも多い。

 このように俳優や監督と会う機会は多いから、運が良ければ、写真を撮ったり、サインをもらうことも可能である。ただ実際には、写真やサインは禁止されていることが多いので、開始前の司会の説明や壁などに貼られた注意書に気をつけること。また禁止されていない場合でも、マナー違反とならないように気をつけるのがLA流である。ともあれ、ガイドブックには載っていないこれらロサンゼルスの名画上映スポットを、このページでは紹介する。どれも私が実際に出かけて集めた情報ばかりである。ホームページでスケジュールや場所を確認できるところがほとんどなので、参照してほしい。

 

American Cinematheque(アメリカン・シネマテーク)

名画の保存や上映を目的に81年に設立された団体。 復元されたハリウッドのエジプシャン・シアターで映画の企画上映を行っている。毎月いくつかの特集テーマを決め、米映画のみならず、ヨーロッパや中南米、アジア等の作品も網羅し、インディペンデント、短編、アニメ等、あらゆる映画を上映するなどテーマの多彩さや上映作品の幅の広さはLA随一といえる。上映後に俳優やスタッフ等をゲストに迎えたQ&Aを行うことも多く、ファンから研究者、映画学生まで見逃せない。

場所はハリウッド通り沿いで、チャイニーズ・シアターから東へ歩いて5分くらい。ただしハリウッドは夜になると変な人が多いので、歩く場合は注意する。またハリウッド通り沿いなど大きな道沿いは人通りも多いが、裏の人通りの少ないところは歩かない方がよい。

01年1月には深作欣司特集を行い、最新作の『バトルロワイヤル』をはじめ 『仁義なき戦い』『軍旗はためく下に』『柳生一族の陰謀』等を上映している。 また01年8月のSF映画特集では『ガメラ2 レギオン襲来』を上映し、 怪獣映画ファンのアメリカ人で大盛況だった。

American Cinematheque
6712 Hollywood Blvd.
Hollywood, CA 90028
Tel (323)461-2020
http://www.americancinematheque.com/

 

UCLA Film and Television Archive(UCLA映画テレビ・アーカイブ)

数多くの俳優やスタッフを養成してきたUCLAの有する22万本もの映画・テレビ作品のアーカイブによる名画の上映会。現役の俳優やスタッフがゲストとして参加し、Q&Aを行うこともある。学生が多いが一般も入場可。通常はUCLA内のJames Bridges Theaterが会場となっている。

01年7月に映画人のお気に入り映画を上映する「The Movie which Inspirede Me」を実施。『LAコンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンの司会で、ゲストと会話した。ドリュー・バリモアが『アニーホール』を、ショーン・ペンが『ミニー&モスコウィッツ』を推薦して上映した。会場で自作シナリオを渡した学生もいた。02年7月にはジョン・カサヴェテスの『アメリカの影』上映に、ジーナ・ローランズやシーモア・カッセル、アル・ルーベンがゲスト出演したほか、ピーター・フォークも客席に来ていた。なお、この上映会ではゲストの写真撮影は禁止されている。

 

Archive Main Offices
UCLA Film and Television Archive
302 E. Melnitz
Box 951323
Los Angeles, CA 90095-1323
Tel (310)206-8013
http://www.cinema.ucla.edu/

 

LACMA(Los Angeles County Museum of Art)(ロサンゼルス郡美術館)

ロサンゼルス郡立美術館による名画の上映会。金土の夜7時半から2〜3本立ての上映を行っている。ビデオ化されていない古い欧米映画が多いのがポイント。クラシック映画ファンは要チェック。

ゲスト参加のイベントはほとんどないが、それでも『アメリカの夜』にジャクリーヌ・ヴィセット(女優)が来たり、『The Kid Stays in the Movie』のプレミア上映に原作&出演のロバート・エヴァンズ(プロデューサー)が来るなど、意外に見逃せない。 01年はフリッツ・ラング、イングマール・ベルイマン、ジャック・タチ、 ケーリー・グラント等の特集を実施している。

場所はWilshire BlvdとFaifax Aveの交差するあたり。

LACMA
5905 Wilshire Blvd.
Los Angeles, CA 90036
Tel (323)857-6010 / 1-877-522-6225
http://www.lacma.org/art/film/film.htm

 

New Beverly Cinema(ニュー・ビバリー・シネマ)

欧米や日本、アジアなど世界各国の名画を上映する名画座。 クラシック作品が中心の二本立てで、作品は2〜3日で入れ替わる。 上映設備が古く、画面のクリアさが今いちなのが玉に瑕。 一般は6ドルだが、8枚30ドルというすごいディスカウントもある。

New Beverly Cinema
7165 West Beverly Blvd.
Los Angeles, CA 90036
Tel (323)938-4038
http://www.michaelwilliams.com/beverlycinema/

 

Los Angeles Conservancy(ロサンゼルス歴史保存協会)

ロサンゼルスの歴史的、文化的な建築物の保存や復元を行う団体。 現在は閉鎖されているダウンタウンの歴史的な映画館で 往年の俳優や監督をゲストに迎えて、当時の名画を 上映する会を毎年5〜6月頃に行っている。 ロスのダウンタウンでは夜歩きはお薦めできないが、 この上映の時には駐車場から劇場まで協会の係員が何人も立つので コースをはずれなければ安心。

Los Angeles Conservancy
523 W. Six St., Suite 1216
Los Angeles, CA 90014
Tel (213)623-2489
http://www.laconservancy.org/

 

NuartTheatre(ヌーアート劇場)

海外やインディペンデント系の映画など、通常の封切館には かかりにくい作品を上映するランドマークシアター系列の映画館。 現代の作品が中心で、邦画も上映することがある。 なぜか『ロッキーホラーショー』を毎週土曜日の深夜から上映している。 チケットは1枚9ドルだが、5枚30ドルの回数券もある。 場所は Santa Monica Blvd. とフリーウェイ405の交差するあたり。

なお西隣りのビデオ屋"CineFile Video"は、普通のビデオ屋ではお目にかかればい名画ビデオが数多くそろえられており、映画ファンは必見。ビデオが監督別に並べられているのも分かりやすくて非常にうれしい。アルトマン、ベルイマン、ブニュエル、ルビッチ、フェリーニ、アルドリッチ、ペキンパー、ヴィスコンティ、大島渚などなど、ビデオが出ている名作はほとんどそろっている。日本のちゃんばらや日本アニメ、ビンテージ物ポルノのコーナーもある。どこから手に入れたのか、キューブリック幻の処女作「恐怖と欲望」のビデオまである(海賊版のようだが。)最近はDVDも入荷している。

NuartTheatre
11272 Santa Monica Blvd.
Los Angeles, CA 90025
Tel (310) 478-6379
http://www.landmarktheatres.com/Market/LosAngeles/NuartTheatre.htm

CineFile Video
11280 Santa Monica Blvd.
Los Angeles, CA 90025
Tel (310) 312-8836
http://www.cinefilevideo.com


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2001年8月20日作成