■福島アンソロジー収録作リストについて

 福島正実が編んだSFアンソロジーは、日本SFの傑作選や児童向けの本を含めたくさんあるが、ふつう「福島アンソロジー」と言えば、芳賀書店から出た全10巻と、それを全8巻に再編集した講談社文庫版《海外SF傑作選》を指す。
 芳賀書店版は1972年9月から1973年6月にかけて、講談社文庫版は1975年5月から1977年2月にかけて刊行され、日本で編まれたSFアンソロジーのスタンダードになった。
 芳賀書店版全10巻のうち、『宇宙のエロス』をのぞく9巻を中心に全8巻に再編集したのが講談社文庫版で、テーマ別編集は基本的に踏襲されているが、講談社文庫版のほうの収録枚数が少ないため、相当数がカットされた。芳賀書店版の『ロボット文明』『ミュウタントの行進』を一巻にまとめ、ロボット物/超能力物の両方を含む『人間を超えるもの』にドッキングさせたのが最大の変更点。
 ここでは、芳賀書店版に収録されていたが講談社文庫版では割愛された作品に●マークを、講談社文庫版で新たに収録された作品に○マークを、他の巻へ移動した作品に◎マークをつけた。→マークは、他の巻から講談社文庫版に移動してきた作品を示す。



1 芳賀書店『宇宙のエロス』 (エロチックSF)

●「上か下か」Worman's World ロバート・シルヴァーバーグ
●「抱擁」Hilda H・B・ヒッキー
◎「ショク…」F… リチャード・マシスン→『未来ショック』
●「ミスター・ウーリイ」Mr. Woolly ポール・ウィギン
◎「旅路の果て」Journey's End ポール・アンダースン→『人間を超えるもの』
●「蠱惑の珠」The Hypnoglyph ジョン・アンソニイ(
●「ルシア遊学」Trip to the Other World ジョージ・ブラウン
●「スペース・ワイフ」Space Wife ロバート・シェクリイ
●「異次元の肌」Crossover ロス・G・スミス
●「ワープする欲情」Love in Warp ジョー・フライデイ
●「悪魔の火」Devil's Fire ジョージ・トーマス
●「裸女が戦う」The Fight Game リチャード・レン
●「夢遊ドライブ」The Drive in Dreams ダン・モーガン
●「砂漠の女」The Desert Lady デーン・カーネル
●「宇宙人性教育講座」The Zo-A Reports フレデリック・マラリイ
●「コールガールは花ざかり」Call Girl Agent リチャード・マシスン



2 芳賀書店『千億の世界』(宇宙SF)→海外SF傑作選4『千億の世界』

「宇宙翔けるもの」イワン・エフレーモフ
●「おお地球よ…」アーサー・C・クラーク
「最初の接触」マレイ・ラインスター
「宇宙の漂泊者」アレキサンドル・コルパコフ
「創世紀」H・ビーム・パイパー
●「大隕石」ワレンチーナ・N・ジュラブリョーワ
●「コロンブスは馬鹿だ」ロバート・A・ハインライン
●「真夜中の祭壇」C・M・コーンブルース
●「われは虚空の王たらん」レイ・ブラッドベリ
「黒い破壊者」A・E・ヴァン・ヴォクト
「逃亡者」クリフォード・D・シマック



3 芳賀書店『別世界ラプソデー』(時間・次元SF)→海外SF傑作選1『時と次元の彼方から』

「歪んだ家」And He Build the Crooked House ロバート・A・ハインライン
「漂流者」Castaway A・バートラム・チャンドラー
「時間がいっぱい」All the Time in the World アーサー・C・クラーク
「タイム・パトロール」Time Patrol ポール・アンダースン
●「失われた種族」The Lost Rage マレイ・ラインスター
「追放者」Exile エドモンド・ハミルトン
「虎の尾をつかんだら」Tiger by the Tail アラン・E・ナース
●「ブルックリン計画」Brooklin Project ウィリアム・テン
「もし万一…」What If... アイザック・アシモフ
「時の砂」The Sands of Time P・スカイラー・ミラー
「もうひとつの今」The Other Now マレイ・ラインスター
「プレイ・バック」Play Back J・T・マッキントッシュ

→「クリスマス・プレゼント」Child's Play ウィリアム・テン
→「観光案内」The Tourist Trade ウィルソン・タッカー



4 芳賀書店『おかしな世界』(異色SF)→海外SF傑作選 6 『不思議な国のラプソディ』

●「思考の香り」The Odor of Thought ロバート・シェクリイ
「壁の中」The Wall Around the World シオドア・R・コグスウェル
◎「もののかたち」The Shape of Things レイ・ブラッドベリ→『クレージー・ユーモア』
「暴風雨警報」Storm ドナルド・A・ウォルハイム
「反対進化」Devolution エドモンド・ハミルトン
「死都」Dead City マレイ・ラインスター
●「むらさきの女」Purpurnaja Mumia アナトリイ・ドニェプロフ
●「六本のマッチ」Shest Spichek アリカジイ&ボリス・ストルガツキー
●「電獣ヴァヴェリ」The Waveries フレドリック・ブラウン
「手品」That Hat Trick フレドリック・ブラウン
「ここは地球だ」This Is Earth ウィルスン・タッカー

○「真夜中の太陽」The Midnight Sun ロッド・サーリング
○「奇妙な子供」The Curious Child リチャード・マシスン
○「くりのべられた審判」Doomsday Defered ウィル・F・ジェンキンズ
○「静かに!」Hush! ゼナ・ヘンダースン
○「最後の地球人」And Not Quite Human ジョー・L・ヘンズレイ
○「災厄」Disaster ローレンス・シアーズ



5 芳賀書店『ロボット文明』(ロボットSF)→海外SF傑作選5『人間を超えるもの』『ミュウタントの行進』と合わせて再編集)

●「エタオイン・シュルドウル」Etaoin Shrdlu フレドリック・ブラウン
「長かりし年月」April 2026:The Long Years レイ・ブラッドベリ
「生きている家」The House Dutful ウィリアム・テン
●「ロボット誕生」I, Robot イアンド・バインダー
「エレンへの手紙」Letter to Ellen チャン・デーヴィス
「愛しのヘレン」Helen O'loy レスター・デル・リィ
●「来訪者」Farewell to the Master ハリー・ベイツ
「うそつき」Liar! アイザック・アシモフ
●「ロボット還る」Robot's Return ロバート・M・ウィリアムズ
●「サリイはわが恋人」Sally アイザック・アジモフ
●「めざめ」Dormant A・E・ヴァン・ヴォクト



6 芳賀書店『破滅の日』(破滅SF)→海外SF傑作選2『破滅の日』

「太陽系最後の日」Rescue Party アーサー・C・クラーク
「ロト」Lot ウォード・ムーア
◎「にせ者」Impostor フィリップ・K・ディック→『人間を超えるもの』
「大当りの年」The Year of Jackpot ロバート・A・ハインライン
「終りの日」The Last Day リチャード・マシスン
「夏は終りぬ」The Last Night of Summer アルフレッド・コッペル
●「雷鳴と薔薇」Thunder and Roses シオドア・スタージョン
「ひる」The Leech ロバート・シェクリィ
「豚の飼育と交配について」On the Care and Breeding of Pig レックス・ジャトコ



7 芳賀書店『クレージー・ユーモア』(ユーモアSF)→海外SF傑作選7『クレージー・ユーモア』

◎「クリスマス・プレゼント」Child's Play ウィリアム・テン →『時と次元の彼方から』
「ナンバー9」Number Nine クリーヴ・カートミル
「人類供応法」How to serve Man デーモン・ナイト
◎「観光案内」The Tourist Trade ウィルソン・タッカー →『時と次元の彼方から』
「四次元フープ」Ring Around the Red Head ジョン・D・マクドナルド
●「伝記計画」The Biography Project ダドリイ・デル
「クレイジィ・プラセット」Placet is a Crazy Place フレドリック・ブラウン
●「狂った星座」Pi in the Sky フレドリック・ブラウン
「バスカヴィル家の宇宙犬」The Adventure of the Misplaced Hound ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン
「時は金」Compound Interest マック・レナルズ
●「みんなボマーを愛してる」Everybody Loves Irving Bommer ウィリアム・テン
「旅する男」Traveling Man ヘンリィ・スレッサー

→「もののかたち」The Shape of Things レイ・ブラッドベリ
○「怪獣の時代」The Day of the Dragon ガイ・エンドア
○「グレート・デーンになった男」Henry Martindale, Great Dane ミリアム・アレン・ドフォード
○「不景気」The Slow Season ロバート・シェクリィ
(Robert Sheckley)
○「衝動」Impulse エリック・フランク・ラッセル
(Eric Frank Russell)



8 芳賀書店『ミュウタントの行進』(超能力SF)→海外SF傑作選5『人間を超えるもの』『ロボット文明』と合わせて再編集))

●「月の犬」Dog Star アーサー・C・クラーク
「アララテの山」Ararat ゼナ・ヘンダースン
「黒い天使」The Dalk Angel ルイス・パジェット
●「大魔王作戦」Operation Afreet ポール・アンダースン
「バーンハウス効果」Report on the Barnhouse Effect カート・ヴォネガット・ジュニア
●「アブサロム」Absalom ヘンリイ・カットナー
「アトムの子ら」Children of the Atom ウィルマー・H・シラス
●「仕事は終った」The Job is Ended ウィルスン・タッカー
●「災厄」Disaster ローレンス・シアーズTr:福島正実
●「超能力会社」Wild Talents, INC. ロバート・シェクリイ
●「ママだけが知っている」That Only a Mother ジュディス・メリル

→「にせ者」Impostor フィリップ・K・ディック
→「旅路の果て」Journey's End ポール・アンダースン



9 芳賀書店『未来ショック』(未来SF)→海外SF傑作選3 『未来ショック』

「走れ、走路」The Road Must Roll ロバート・A・ハインライン
「海底牧場」The Deep Range アーサー・C・クラーク
●「地球遠征」Expedition to Earth アーサー・C・クラーク
●「お席へどうぞ, 諸君!」Gentleman, Be Seated ! ロバート・A・ハインライン
「徘徊許可証」Skulking Permit ロバート・シェクリィ
「草原」The Veldt レイ・ブラッドベリ
「夢を売ります」Dreaming Is a Private Time アイザック・アシモフ
「1999年」Crisis 1999 フレドリック・ブラウン
●「創造の第一日」Pervyj Den' Tvorenija ゲオルギー・グレーヴィッチ
「災厄のとき」The Evitable Conflict アイザック・アシモフ

→「ショク…」F... リチャード・マシスン



10 芳賀書店『華麗なる幻想』(クラシックSF)→海外SF傑作選8『華麗なる幻想』

●「奇蹟を行う男」The Man Who Could Work Miracles H・G・ウェルズ
「フェッセンデンの宇宙」Fessenden's World エドモンド・ハミルトン
●「プルトニウム」The Plutonium Drug C・A・スミス
「生命の木」The Tree of Life C・L・ムーア
「2889年」2889 ジュール・ヴェルヌ
●「火星の超巨人」John Carter and the Giant of Mars エドガー・ライス・バロウズ
「歩行者族の反乱」The Revolt of the Pedestrians D・H・ケラー
「影と閃光」The Shadow and the Flash ジャック・ロンドン
「ロス・アミゴスの大失策」The Los Amigos Fiasco アーサー・コナン・ドイル
○「新加速剤」The New Accelerator H・G・ウェルズ
○「RURロッサム万能ロボット会社」R. U. R. カレル・チャペック
○「メルシュトレームの大渦」A Descent into the Maelstrom エドガー・アラン・ポー


【参考】
伊藤典夫編『ファンタジーへの誘い』 海外SF傑作選9

「死神よ来たれ」Come Lady Deathピーター・S・ビーグル
「不可視配給株式会社」Intangibles, INC. ブライアン・W・オールディス
「大いなる旅」The Big Trek フリッツ・ライバー
「この卑しい地上に」Upon the Dull Earth フィリップ・K・ディック
「ふるさと遠く」Far from Home ウォルター・S・テヴィス
「13階」The Tenants ウィリアム・テン
「闇の旋律」The Dark Music チャールズ・ボーモント
「順応性」Adapted キャロル・エムシュウィラー
「街角の女神」Teh Goddes on the Street Corner マーガレット・セント・クレア
「みにくい海」The Ugly Sea R・A・ラファティ
「名前の掟」The Rule odNames アーシェラ・K・ル・グィン
「きょうも上天気」It's a Good Life ジェローム・ビクスビィ
「ゲイルズバーグの春を愛す」I Love Galesburg in the Spring Time ジャック・フィニィ


→【関連リンク】「お花畑でつかまえて 日本語で読める英米SFアンソロジー・ガイド」へ


top | link | board | articles | other days