Powered by amazon.co.jp

シオドア・スタージョン『輝く断片』amazon | bk1 | 7&Yicon 《このミス》4位、《週刊文春》3位、《闘うベストテン》2位
『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』amazon | bk1 | 7&Y
『現代SF1500冊 乱闘編 1975〜1995』amazon | bk1 | 7&Yicon





【10月25日】 帰宅

シャバの空気を味わう間もなく、とりあえず自宅に残された本の山を整理。
留守中にやってきた整理部隊の活躍でライトノベル文庫はきれいに処理されてるけど、全体の量からすると誤差の範囲としか……。
売り飛ばす本を段ボール3箱分詰めて外に出し、書庫に運ぶ本も外に。友子ちゃんが手作業でどんどん運んでくれてます。

作業が一段落してから、西葛西のホテルパークレーンで、SIGHT別冊「日本一怖い! ブック・オブ・ザ・イヤー2006」用の対談with北上次郎。今回、北上おやぢは、けなされることがわかりきってる小説は登板を回避させる作戦に出たので、いきりたつ場面はありませんでした。退院当日とはいえ、はるばる西葛西まで来ていただいてすみません。




【10月26日】 ローテンション

クスリで血圧と心拍を下げているせいか、やや貧血気味。本をかたづけてるとすぐ疲れる。無理しないようにと言われるまでもなく無理が利きません。タバコは意外と吸いたくならない。仕事してないせいか。

売る本と捨てる雑誌と書庫へ運ぶ本とこれから読む本の分別はほぼ終了。




【10月29日】 SFファン交流会@原宿

お題がラファティなので出かけてみた。もっとも、参加したのは最後の一時間だけ。おお、ひさしぶりの都会だ。今日のゲストは柳下毅一郎と林哲矢。はるばる徳島から、「とりあえず、ラファティ」のらっぱ亭こと松崎さんも参加。わかったようなわからないような話が展開されてました。ラファティを語るのはむずかしい。

二次会の新宿・味王にも1時間半だけ参加して、なかば退院祝い宴会のようなことに。そんなに心配されていたとは。

体のほうは、低血圧・低心拍の禁煙生活にも慣れてきてもう全然ふつう。作業効率は落ちてますが、まあクロック周波数を下げて省電力モードで駆動してる感じだ。

しかし、退院して晴れて出歩けるようになったと思ったのつかの間、入れ替わりでトキオが入院しちゃったので(持病の気管支喘息)、昼間と夜はまた病院。明日は保育園の運動会だったのに気の毒なことである。




【11月02日】 ホラー大賞パーティ

前回の短編賞受賞者の大和王子改め森山東さんと初対面。「お見世出し」のモデルだという舞妓さんの写真と、「呪扇」のモデルだという扇子職人のお父さまの写真を見せていただく。「呪扇」を読んだお父さまは「でたらめを書くな!」とお怒りだったそうですが無理もない(笑)。

今年の短編賞を受賞したあせごのまん氏は高知県生まれ。受賞作を表題作とする短篇集には、筆名の由来になった土佐弁ホラーが収録されてます。「阿瀬郷の万」だそうで。石鎚山系のほうに実在する伝承だと言ってましたがオレは聞いたことない。場所はほとんど徳島だし。その割りに小説はベタベタの土佐弁ですが。




【11月03日】 トキオ退院

病院からの帰り道にある公園3箇所をはしごして家に帰り、自分の自転車でまた公園へ。
しかし入院中いちばんやりかったことが、「ペットボトルに砂を入れ、それに水を入れてドロドロにして遊ぶこと」だとは……。
まあ元気でよかった。キリカさんもたいそう喜んでいます。




【11月06日】 某氏〜桜坂・桜庭〜麻耶

昨日は昼から某氏のお見舞いに行ってから、三省堂で桜坂・桜庭のトークショーを見物し、高田馬場に出てWMC麻耶雄嵩講演会打ち上げ宴会にちらっと寄ってから元ユタ例会に行ったら麻耶一行が流れてきて驚いた。

・某氏は元気そうだった。メシは臨海病院よりうまそう。紙と鉛筆で翻訳をはじめた模様。退院は早くて来週末?

・三省堂本店の週間ランキング、9位に『宇宙舟歌』、10位に『どんがらがん』がランクイン。
「SFはほんとによく売れるんですよ」と文芸書担当Y嬢は語る。まあ10日のトークショーの対象書籍になってるせいもあるんでしょうが、『どんがらがん』は40冊売って、いま品切中とか。12日には「闘うベストテン」の公開録画があるんですが、ベストテンが決まるのは当日なので、仕入れに苦慮している模様。
(ちなみにジュンク堂池袋本店3Fの外国文学売り場では、従来の翻訳SFコーナーと別に、「今年の外文の牽引車」みたいなキャッチつきで、いちばん目立つ場所に海外文学系SF棚が忽然と出現。外文の世界では、いまSFが高く評価されているらしい)

・WMCの宴会は、どうせここだろうといつもの場所に行ってみたら、やっぱりそのとおりだった。OBがほとんどいなくて現役の学生が大量に集結。奥の席は京大ミステリ研同窓会状態だった。

・桜坂・桜庭対談に2人、麻耶講演会に2人、元ユタ例会に1人――というのはその場にいた東京創元社社員の数。創元は遍在する。




【11月08日】 なか見!検索@amazon

アマゾン・ジャパンでもいよいよ書籍全文検索がスタート。
ふつうの書籍検索からでも、「なか見!検索結果」タブをクリックすれば、全文検索の結果が表示される。
最初のうちは使い物にならないだろうと思ってたら、これが意外と使える。
『知的会話のための英語』なんて本がピンチョンに言及してるとは……。スタージョンの検索結果も微妙に笑えます。
というか、自分の本をぜひ登録してほしいと思いました。太田出版さん、PARCO出版さん、ロッキング・オンさん、よろしくお願いします。

ここから申請するらしい。

しかしこれ、一冊あたりどのぐらいのコストでデータ化してるんでしょうか。どうやったら採算がとれるのかさっぱりわからん



【11月10日】 陳健一と梶尾真治

昨日は109シネマズ木場で「この胸いっぱいの愛を」を見た。

ギャザリア木場のフードパーク(ロータスパーク)でなんか食べようと思ったら、「陳健一麻婆豆腐店」っていうのが入ってた。メニューは麻婆豆腐が大辛・辛口・甘口の3種類。大辛を頼んだんだけど、すいません、麻婆豆腐を舐めてました。半分食べただけで口が火を噴きそう。映画まで時間がなかったんで完食をあきらめた。そのうちリベンジしよう。ごはんとザーサイとスープがついて1050円だったかな。ごはんはおかわり自由なので、食おうと思えば2合ぐらいいけそう。

映画は梶尾真治とはほとんどまったくなんの関係もなかった。これならまだ大石英司原作(神はサイコロを振らないだかなんだか)とか赤川次郎原作(午前零時の忘れもの)とか言ったほうが近いと思った。しかも意味が全然わからない。このラスト(歴史が変わったあとの現在)はどう解釈しろと? いろいろいじりすぎ。べつにフランク・キャプラでよかったのに。




【11月13日】 闘うベストテン公開収録終了

やってる間は、今年は楽だなあと思ってたが、和民で打ち上げやって終電で家に帰ったらどっと疲れた。
国内編はトヨザキ社長の駄々っ子攻撃が炸裂し、思いのままに蹂躙されました。その反動で海外編は無風。なごやかに決まってしまった。しかし海外編満場一致の1位作品が、このミス20位以内に影も形もないとは……。
和民での主な話題は倉阪鬼一郎結婚問題。
一昨夜すわったのと同じ座敷だった。

そう言えば、闘うベストテン収録の前、フォリオでSPA!の取材を受けたんですが、ライターですと紹介された人の顔にどうも見覚えがあると思ったら山田ゴメスさんだった(初対面です)。ヤンナイ初期の連載とかは毎号読んでました。でも今はあんまり風俗ライターじゃないらしい。時間がなくて、取材と関係ない話ができなくて残念。




【11月14日】 ジェフリー・フォードの訳者

『白い果実』は山尾悠子がリライトして、原作に不相応なほどものすごい華麗な翻訳になったわけですが、続編からは山尾さんが抜ける。じゃあ誰がかわりになるのかっていう話をこないだ聞いて驚愕。なんと、貞奴訳だそうで。

検索してみたら、金原さんがすでに10月の「近況報告」に書いてた。全然知らなかったよ。

ちなみに第三作の訳者もすでに決まってるらしい。そっちはまあ納得[と書いたあと、後日、訳者とされるひと本人に直接聞いたら、ぜんぜん知らないと言ってたので、ネタだったかも]。




【11月15日】 プライドと偏見

キーラ・ナイトレーのエリザベスはどうかと思ったが(だって「ベッカムに恋して」のイメージだし)たいそう良かった。すばらしい。
細かいことを言いはじめるといろいろ文句はあるんだけど(ドナルド・サザーランドのベネット氏とか)、リジー萌えな人にはオッケーでしょう。原作にだいたい忠実な2時間の映画としては充分健闘してます。
ダーシーとエリザベスの感想戦ダイアローグは削らなくてよかったと思うけど。



【11月15日】 男たちの大和

覚悟して見にいったが、意外とよかった。さすが角川春樹。

 ものすごくダメなところもあるんですが(主に仲代達矢の現代パート)、最後の沖縄戦の30分は相当すごい。ブラックホーク・ダウン並みとまでは言いませんが、邦画でここまでやったのは珍しい。イージスやローレライより迫力は断然上。すばらしく狂った映画になってます。90分に編集したら傑作になるかも(2時間20分の映画です)。

 蒼井優が手を振るカットは時かけの原田知世が乗り移ったみたいだった。




【11月16日】 集英社三賞

じつは橋本治をナマで見るのは初めて。
ちなみに橋本治の受賞スピーチは、
「わたしは小説現代の選外佳作でデビューして、つまり賞はもらったことがない。小説すばるの新人賞をもらうべき立場で、わたしのせいで立派な柴田練三郎賞が新人賞になっちゃってすみません」
というような内容でした。

二次会でC塚さんに無理やり頼んで、ご本人に紹介してもらいました。
「ええと、小説すばるに(今回の受賞作の)『蝶のゆくえ』の書評を書かせていただいた……」
と切り出したところ、
「ああ、『橋本治ってこんなに小説がうまかったっけ?』ってやつね(笑)」
と言われて茫然。「わたしはなんでも覚えてるんです」とスピーチでも記憶力を自慢してたけど、そんな書評の書き出しまで覚えていようとは……。
しかしその書評では、
「それこそ直木賞選考会の場とかで、お年寄りの選考委員から「この人は小説がうまいねえ」と感心されそうなうまさ」と形容したので、柴錬賞受賞を鋭く予見していたとも言えよう(自慢)。
 もっとも選評を読むと、選考委員の半数は冒頭の一篇しか読んでないようですが。

『人工島』はすでに3000枚ぐらいできてるそうですが、まだ何も始まっていないらしい。2007年の刊行を目指すとか。

その二次会では、なぜか津原やすみ氏から金原ひとみ嬢を紹介される。一応、芥川賞のパーティではお目にかかってるんですがと言いつつ、金原パパの話とか。

一方、小説すばる新人賞の二次会では、前々回の小説すばる新人賞を受賞した山本幸久氏と初対面。新刊の『凸凹デイズ』は、まるで岩郷重力の若い頃の話を読んでるみたいでたいへんおもしろかったんですが、その山本さんはじつはSFファンで、大森ページとか柳下ページとかを10年前から読んでたとか。本業は編集プロダクション勤務で、柳下に原稿依頼したこともあるらしい。世間はせまい。




【11月17日】 課長 島雅彦

「一冊の本」(朝日新聞社)11月号の金井美恵子コラムを読んだばっかりのところに、きのうは帝国ホテルで島課長こと島田雅彦氏と遭遇。
「いつになったらみんな飽きてくれるんですかね」とぼやいているので、
「島雅彦はまだまだ行けるでしょ。部長・島雅彦とか、社長・島雅彦とか。いっそ島田さんも、石田衣良とユニット組んだらどうですか」
「いじられキャラ同士ってことですか?」
と言いながらニヤニヤする島課長。中間管理職の余裕。
同じ話を石田衣良にもしたけどこっちは反応が悪かった。ううむ。

なんのことだかわからない人は、《新潮》11月号に載った阿部和重の芥川賞受賞第一作、「課長 島雅彦」を読もう。もともとの出発点は、8/27付の朝日新聞(日曜版Be)に載った、「孤独悩むな」最後の文士・中原昌也君へと題する島田雅彦原稿。中原昌也がこれに激怒、同調した阿部和重が「課長 島雅彦」を書き、面白がった金井美恵子が「一冊の本」の連載コラムで大々的に引用し、島田雅彦はそれを受けて、文學界12月号の文學界新人賞選評で

「幸か不幸か、私は小賢しい三十代に対しては、哀川翔みたいに兄貴面する癖があるので、これを押した。どうぞ、阿部和重みたいに、メンタル・ディプレッションにあえぐ盟友のために、その作風を模倣しつつ、誰かへのあてつけで、ブログのジャンク・ニュースを書くような真似をしてください。私は金輪際、兄貴面、先輩面、課長面するのはやめ、古井由吉氏や松浦寿輝氏とともに物狂いへの道を進みますから」
とぼやいた。
しかし中原昌也の怒りはおさまらず(?)、12月初めに出た小説トリッパー1月号では、なんとなく愛読していた連載小説「KKKベストセラー」が、第3回にしていきなり「あとがき」(笑)。島田雅彦と朝日新聞へのうらみつらみがえんえんとつづられてます。2ページしかないけど。是非立ち読みしてください>だれにともなく。
島課長は中原くんに対してなんの悪意も持ってないどころか、むしろ好意的だったと思うんだけど、要するにあれですね、文化系の部活にあとから入ってきたちょっと気になる子をからかって遊んでたら、ついやりすぎて向こうがマジ切れ。「マサヒコくんはひどいと思います!」と壁新聞で弾劾するマーくんの友だちや、面白がって学校新聞のネタにする上級生まであらわれ、マサヒコ大ピンチ、みたいな。内実は知りませんが、まあそんなふうに見えてなかなか楽しい。

ちなみに中原昌也と石田衣良の抗争はさらにくだらない理由が出発点。中原くんは意外と持続力のあるタイプなので、《en-Taxi》の連載小説でもまだ流行作家の石平をいじめてます。石平の代表作「沼袋ジュラシックパーク」のあらすじが詳細に綴られる最新号は必見。




【11月18日】 ハヤカワSFフェア2005

『ドゥームズデイ・ブック』下巻に「ハヤカワSFフェア2005」のフェア重版がかかり、今ごろ見本が到着したんですが、その2刷にかかってるオビを見て驚いた。

「森岡浩之『星界の紋章』の次はコレ!
 地球だけではつまらなすぎる
 やっぱりとことんスペースオペラ」


巻きまつがいです。

正しくは「菅浩江『永遠の森』の次はコレ!」。たしか泣けるSFブロックに入ってたはず。しかしフェア用オビには書名が入ってないので、確認のしようがない。まあ、同じぐらいのツカのべつの本と間違えたんでしょうね。
『星界』の次に読んでいただいてもかまいませんが、地球の外には出ません。

ところでこのフェアの問題は、「『××』の次はコレ!」と言われてる『××』自体もフェアに入ってて、「『××』の次はコレ!」という同じオビが再帰的についてることですね。『星界の紋章』の次は『星界の紋章』なので、永遠にほかのSFが読めません。

それにしても、このSFフェアの詳細はネット上に全然見当たらない。フェア用小冊子とかウェブで公開すればいいのに――と思ったらハヤカワ・オンラインに「6つの扉」だけは載ってた。キャッチコピーは塩澤編集長がつくったそうですが、「剣と魔法と何かもうひとつ」はかなり好き。 「文系も理系もたまには本格SF」って意味がわかりません。「ほんとうは怖くないハードSF」とか、ふつうの神経ではなかなか書けないと思う。
ちなみに『ドゥームズデイ・ブック』が入ってるのは黄の扉。
しかし「あたしの涙をきのうの微笑に」ってなに?  「きのうの涙をあしたの微笑に」じゃないの? 叙述トリックでタイムパラドックスなのか? SFはむずかしい……。 [サイトのは誤植で、正しくは「あしたの涙をきのうの微笑に」でした]
このmixi日記エントリを見た人が注進に及んだらしく、担当K氏から連絡あり。正しいオビだけ、べつの献本と一緒に送ってくれるそうです。 どの扉になにが入ってるかのタイトルリストがサイトにないのは、書店へ行かないと全貌が把握できないという作戦かも。高田馬場の芳林堂でもらってきたフェア小冊子見れば、各扉の書籍はわかるはずですが、どこへやったかなあ。




【11月18日】 川島ゆぞ

川島ゆぞと言えば、初期の宇宙塵同人だった昔のSF作家。
と思ってたら、ご本人からいきなり新刊が送られてきました。
新風舎文庫から今年7月に出た『アメリカから来た赤ん坊』。タイトルはもちろんアイラ・レヴィンのもじりで、クローンもの。
お手紙によると、高知生まれで土佐高出身。学校の大先輩だったわけですね。
同封されていた徳島新聞の記事によると、鳴門市の大塚製薬工場の役員を2000年に退職し、いまは悠々自適の日々。なんでも、弟は秋田實の弟子で漫才作家の安藤三省、さらに甥は「劇団ひとり」だというからびっくり。

川島ゆぞが劇団ひとりの伯父さんだったとは。世間は狭い。
1933年生まれってことは、今年72歳ですか。写真を見る限り、たいへんお元気そうです。




【11月19日】 ジブリ次回作はゲド戦記

B氏情報によると、サイゾーに記事が載ってるらしい。正式発表かどうかは知りませんが、公式情報?

というわけで、米光さんの書いた『回天編』未来原稿ネタがはからずも現実化した模様(笑)。
いや、そんなつもりは全然なかったんですが。とっくに発表されているような気になっていたのだった。




【11月21日】 文学フリマ@秋葉原

昼過ぎに到着。近い。適度な混みかたで、コミケよりははるかに楽。当たり前か。知り合い率が異様に高く、半分、SFのイベントみたいだった。

1時間で300部を完売した桜庭・桜坂本はトークショー参加者特典でゲット。これを500円で売るのは反則でしょう。安すぎるよ! あとはSF系ファンジンを中心に買い物。

大学生になったと風の便りに聞いていたカケルくんとは5年ぶりに対面。「父が心配してました」と言われてはっと思い出したが、(入院前夜の)創元のパーティで笠井さんから思いきり議論をふっかけられてたんだった。京フェスのパネルでネタにしようと思ってたのに、その翌朝に入院して水の泡に。
「笠井潔にドーカツされ心筋梗塞の発作」とか言われてたりしてw。(←ほんとに言われてたらしいw)

そのときの議論で中心テーマだった神林さんがなぜか文学フリマに登場(夜、ロフトプラスワンの雪風イベントに出演するのでそのついでにS澤編集長が連れてきたらしい)。どういう議論だったかを縷々説明することに(笑)。

えーと、笠井さんの主張は、簡単に言うと、
『大森望は、当時「冬の時代はSFが難しくなったのが原因」と唱えていたが、その後の神林人気や影響を考えれば、その認識が誤っていたことは明らか。大森望はあのとき、神林長平や大原まり子のコアなSFを外部に向かって積極的にプロモートすべきだったのにそれを怠った。その間違いについてきちんと自己批判すべきである。』
というようなものだったと思った。
中心が大事か周縁が大事かって話で、当時の大森が、「中心だけじゃなくて(一般にSFのレッテルがついていない)周縁もSFだ」という立場を主にとっていたことは事実。
笠井さんいわく、「人間は誰だって潮目を読み違えることはある。わたしだって清涼院流水の件ではまちがいを認めて自己批判した。きみも素直にまちがいを認めなさい」だそうです。
しかし、「SFを難しくして冬の時代を招いた戦犯は神林・大原だ」という意味のことを大森が言ってたっていうのは明らかに笠井さんの誤解だと思います。笠井さんは「ちゃんと証拠を出して原稿に書く」と言ってたので、それを待つべきか。

ちなみに笠井さんがいちばん怒ってたのは、6/12と6/13の日記の記述。本格ミステリ大賞の授賞パーティで話したとき、笠井さんは同じ問題提起を(非常にソフトな表現で)していたのに、大森は自分の問題にはまったく触れず、「村山談話のススメ」だけを日記に書いた。あったことの一部だけを書いて、都合の悪い事実に触れないのは悪質な情報操作である――とおっしゃるんですが、あのときの大森は自分のことを批判されてるとはまるっきり気づいてなかったというお粗末。たいへん失礼いたしました。

あのときの笠井さんは、たしか、雪風がアニメ化されて人気を博したり、神林作品の影響を受けて育った桜庭・桜坂が登場したりしている事実に触れ、難解だと言われていた先鋭的なSFにそういう力があったことを認めなければならない――という意味のことを言ってて、「はい、そうですね」と相槌を打ってたんだけど、まさかそれが大森批判だったとは……。
『雪風』が傑作だとか『ハイブリッド・チャイルド』が傑作だとかいうのはオレにとってはあまりに当たり前のことなので声を大にして言ってこなかったのは事実。
要するに、「SFはむずかしい」という風説に対して、「いや、むずかしくないSFもいっぱいある」と言うか、「むずかしいからこそ凄いんだ」と言うかの違いですね。レムやイーガンのプロモートに際しては後者の宣伝戦略をとっているから、90年代日本SFに対しても同じことはできたはずで、なぜそうしなかったかについては、時代の空気と個々の作品に起因するとしか言えないところがちょっと弱い。ダブルスタンダードだと非難される余地はあるかも。

というような話を神林さんにもちょっとしたけど、あとはもっぱら『膚の下』について。話のついでに、
「そう言えば、書泉ブックタワーの文庫売り場は神林平台が二箇所もありましたよ」と伝えると、「オレ、そういうの、自分の目で見たことないんだよ」
 じゃあ今から行きましょうと徳間書店O野編集長が引率し、書泉ツアーが敢行された模様。お店の人は著者来訪にもまるで気づかなかったらしい。平台担当者がいたかどうかは知りませんが。

そのO野編集長は4日前のインタビューを起こしたコピー本「大塚英志は悪人なのか?」を200円で販売。富野Tシャツ新作と一緒に購入。K山本も買った。編集者が同人誌を出すのが流行りなのか?

東浩紀氏は来てなかったが、「波状言論」およびその周辺グループが最大勢力だったような。そこに東大SF研とか新月お茶の会とかが入り乱れる感じ? 中心層はかなり若いかも。

そのへんの人たち(推定)がつくっている『Natural Color Majestic-12』を購入。會川昇ロングインタビューが面白い。會川昇がこんなに愛されてるなんて! まるでいい人みたいです。いや、いい人なんだけど。ナデシコはいろんなものを残したんだなあ。
あと、ナデシコつながりってわけでもないが、夏葉薫「評伝・桑島法子 〜声優批評の試み」がいろんな意味で爆発している。この雑誌の執筆者はだいたい1980年代生まれ。文学フリマもこの層が中心か。 と思ったら、高原英理氏や藤原義也氏、佐藤亜紀・佐藤哲也夫妻の姿も。なにかと話題のユリイカ編集部Y氏も来てました。驚愕の噂を聞いたがまだ内緒らしい。

終了後は、桜桜・徳間・創元組とワシントンホテルでお茶。スコーン食べてたら、上京中の母親から西葛西に着いたと連絡があったので、あわてて戻り、駅前の「温野菜」でしゃぶしゃぶ。食い過ぎた。




【11月23日】 経県値

mixiで流行ってるのでやってみた。オレの結果は171点

九州は中学校の修学旅行で制覇。四国は地元。あとは日本SF大会で泊まった県が多い。東北は素通り。陸路で北海道往復と弘前往復をしたときに秋田と岩手は通ったことがあるはずだがよくわからない。ぜったい行ってない県は沖縄。大分は歩いたかも。



【11月25日】 銀の髪のアギトvs最終兵器彼女
「アギト」は松竹本社の試写室で。
コナン+ナウシカにラピュタのネタも少々。宮崎アニメ現代風。まあ主演が宮崎あおいなので宮崎アニメにはちがいない。声はけっこう合ってました。
映画の出来は悪くないけど、こういう映画をいまつくってどうするのかという気も。そこをねじふせられる宮崎駿はやはり偉大。

「最終兵器彼女」は実写版。高橋しんの絵柄でないと意味がない話を実写で撮る不思議。ちせ役の前田亜季は納得のキャスティングですが、相手が窪塚俊介ってそりゃないでしょ。テツ役の渋川清彦って人は何なんですか? 高校生たちはともかく、大人の存在にもうちょっとリアリティがないと映画にならないんじゃ。
貫地谷しほりと木村了はけっこうよかった。特撮とCGIもまあがんばってるんじゃないでしょうか。




【11月26日】 SFロボットセミナー@アキバ・ロボット文化祭

ダイビルってどこだろうと思ったら、末広町の駅を降りたとたん、巨大ビルが3つそびえているのが見えた。いつのまにこんなものが。ウルトラマンマックスの世界に迷い込んだかと思いました。そう言えば秋葉のこっち側を歩くのは1年ぶりか。

会場では親子ロボット工作教室とかやってて、これならトキオを連れてくればよかったか。

SFロボットセミナーは満席の盛況。塩澤編集長司会で、小川一水、林譲治、藤崎慎吾の各氏。わりと濃い話をしてますが観客の反応が全然ないのでどう思われているのか謎。はやぶさとか人工知能とかはロボットとして認知されてるんでしょうか。面白かったけど、微妙に話がかみ合わない部分を司会者が毅然として放置するので、なかなか不思議に空気が漂ってたり。

終了後はまたまたワシントンホテル。一週間に二回もここでマフィン&スコーンを食べようとは。




【11月26日】 実相寺マックスとお笑いセイザー

脚本家役の石橋蓮司がウルトラマンマックスに変身。物語の外から中の人に呼びかける「果てしない物語」逆パターン。しかし子供に説明するのがめんどくさい話を……。「ウルトラマンマックス」は、三池崇史を起用した回あたりから、壊れ気味に爆裂してます。怪獣さえ出せばあとはなにをやってもいいだろうみたいな。ハマるとめちゃめちゃ面白い。

「セイザーX」はヒーロー側と敵側のボケキャラ同士が閉じ込められてお笑いユニットを結成するパターン。戦闘も巨大メカもない変則回。しめし合わせたわけでもなかろうに……。




【11月29日】 乱歩邸・土蔵探訪

某誌ミステリ特集の仕事で杉江松恋と対談のあと、乱歩邸で写真撮影。放置されていたのをいいことに蔵書をじっくり検分。

大部な原書アンソロジーの目次に各編ページ数や既訳の有無、○×評価などの書き込みがあるのはウチの本と一緒。乱歩も人間だったというか、急に親近感が(笑)。


top | link | bbs | articles | other days