ところで二人は赤信号と青信号どっちが好きかな?
唐突だな。相変わらず。
えっと、急いでいる時なんかに足止めさせられる赤信号より、自由に進む事の出来る青信号の方が普通は好きだと思いますけれど。
お兄さんはどっちかというと赤信号の方が好きかなあ。
……相変わらず捻くれてんな。
いや、ひょっとしたら何かちゃんとした理由が……。
信号機に関する嫌なトラウマとか? 無理矢理左折して来た車に、秋葉で買込んだ限定グッズを轢き潰されたとか。
例えば自動車で走っている場合、前方の信号機の存在に気付く距離は大体2〜300m位だよね。
で、それが何か?
とりあえずその距離を250mとすると、時速40km走行の場合、信号機にたどり着くまでおよそ38秒かかる訳よね。38秒もかかるならひょっとしたら、途中で赤に変わってしまう可能性も、実は結構あるのかも。
んなヒマな事を考えて道を走ってる奴いねえって。
町中の信号は大体1分毎に切り替わっているから……
途中で赤に変わってしまう確立は、38秒÷60秒=0.633……で63%、
逆に信号が青のまま無事に通過出来る確立は37%。
あっ、お兄さんが赤信号の方が好きな理由はひょっとしてこれなんじゃ!
で、「幸先」の話は?
……辞書を引くと「幸先」の意味は、
(1)将来、前途
(2)将来を予想させるちょっとした出来事(三省堂国語辞典より)
となってるね。「幸先が良い」という使われ方はとりあえず後者の方で良いのかな。
いきなり素で本題に戻るなって。しかもベタベタの辞書引用ネタかよ!
要するに「幸先」は「将来」を予想する為の材料という事なのだから、両者には何かしらの因果関係かせめて相関関係がなければ、意味のある予想にはならないよね?
まあ、それはそうですね。
例えば初めての場所や対象魚の釣りの時、誰だって本当に魚が釣れるかどうか少し不安を感じるよね。でも、釣り始めに魚が釣れて来たとすれば、それは道具立て、仕掛け、餌、投入ポイント等の想定に大きな間違いは無かったという事で、そこそこの釣果は見込めるだろうと予想が出来る。すなわち「幸先が良い」と言える訳だ。
でも、「幸先」ってのはそういうのばかりじゃ無いっすよね。靴紐が切れたとか、おみくじで凶が出たとか、そういうのは一体どうなるんすか?
因果関係や相関関係が無い物同士を結びつけてしまうのは、実は自分自身がその結果を待ち望んでいる事に外ならないと思うな。
要は、自分が望んだり予想している結果に結びつく物を、無意識に選び取っているだけというか……。
おお、何か前向きっすね!
そうか! 今、前方の信号が赤という表象に惑わされずに、実際に自分が通る時にそれがどうなるかを理知的に判断するべきだと。そう言う意味で敢えて「赤信号の方が好き」とお兄さんは言っていたんですね!
いや、別にそういう訳じゃ……。
堕ちる所まで堕ちちゃった方が人生色々と楽になれるし。出掛ける時も、途中で渋滞に巻き込まれて嫌な思いするより、家の前から大渋滞でハナから外出する気になれず、家でゴロゴロしてた方が良いでしょ。
………………。
………………。
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ま め ち し き
工 作 舎 と 工 作 社 は 全 然 違 う 出 版 社 な の で 要 注 意 だ
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