性交というのは畢竟、自らの遺伝子を残す為の行為なので、意に沿わぬ相手の配偶子を受けとらねばならない性交は強姦、そうでない性交は和姦という事で……
……つまり、避妊さえすれば全部和姦でOK?
いや、どんな避妊法も万全という訳では無いから……
じゃ、まだ生殖能力を持たない幼児に対しては強姦は成り立たないって事?
うわっ、まさにペド野郎天国っすね!
それに、ホモセクシャルやレズビアンの人の、生殖を目的とし得ない性交についてはどうなの?
うう、それはその……
−−−やりなおし−−−
さて、こういう風に話が行き詰まってしまった時には、基本に帰ってみる事が大事かなあと、お兄さんは思うんだ。
ってか、アンタが勝手に墓穴掘っただけ。
まず根本的に性交を行う生物、つまり有性生殖を行う生物でなければ強姦は成り立たないって事には間違い無いよね。
そういや単細胞生物は自慰も和姦も強姦も同じ訳か……刺激的な性生活っすね。
人間以外の生物にはその…、強姦に類する行動ってあるんですか?
じゃあ、生殖方法のタイプ別に事例を検討してみようか。まずは体外受精の例として鮭の交尾の例を考えてみよう。TVドキュメンタリーなんかで鮭の産卵シーンは二人とも見た事あるよね。
あ、あります。
何故か説教臭いナレーションが必ずついてくるのは一体どうしてなんすかね?
一匹の雌を巡る闘争に勝利した雄だけが、ペアを組んで交尾出来る訳なんだけれど、ペアを組めなかった雄は一体どんな行動を取るか知ってる?
さあ……
他のペアが産卵する瞬間を見計らって、隣からこっそり自分の精子を卵にかけて一目散に逃げる。
な、情けね〜。
これは人間で言うと一体どんな行動になるんだろうね。
強姦、とは一寸違いますよね。
むしろ出歯亀?
自分の遺伝子を残したいという本能的欲求を満たす為の、涙ぐましい努力はとりあえず認められるよね。少なくとも陰湿さや残酷さ、暴力的な物はあんまり感じないし。
いじらしいっていうか、なんとなく許せる気持ちは確かにしますね。
じゃあ次は、肉体的な交尾をする生物として哺乳類の例に行こうかとも思ったんだけど……、ワンクッション置いて虫の事例を検討してみようか。
あ、虫は一寸苦手かも……
嫌いな人の気持ちも分からなくは無いけれども、脊椎動物を遥かに越える環境への適応と多様な進化を遂げた生物として、やっぱり尊敬と考察の対象にしない訳にはね。悪いけれど一寸だけ我慢してね。
……小さい頃、孫太郎虫とかミスジコウガイビルとか気持ち悪い生き物を捕まえちゃ、女の子に見せつけて嫌がらせしたクチだろ、アンタ。
草食性の虫はとりあえず置いておくとして…… ごく普通に共食いを行う様な肉食の虫の場合、雄にとって交尾は非常に命がけの行為だったりするんだ。その、交尾が済んだら用済みって事で、お腹の卵の栄養として雌に食べられてしまいかねないからね。
うげっ、萎え〜。
怖い話ですね。
生存と性交、二つの本能的欲求の矛盾というジレンマに苛まれる雄はそれをどう解消していると思う?
風俗? AV?
で、どうするんですか?
一番面白い対策を取っているのは蜘蛛の種類かな。食べられない様に糸で雌を拘束してから交尾したり……
こっ、拘束プレイ!?
違うと思う。
直接交尾はせず、糸で作った精子嚢に自分の精子を予め仕込んでおいて、それを雌の体内にこっそり挿入して逃げたり……
異物挿入プレイ!? アイドルの所に白い液体が入ったビンが送られて来るのと同じっすね。
違います!
交尾の高いリスクに少しでも見合う様、自分の精子による受精の確率を上げる為に、前にその雌と交尾した他の雄の精液を掻き出す器官を生殖器につけている種もあるね。
真珠入り!?
絶対違います!!
さあ、これについてはどう思う?
奥深い性風俗文化に感銘を受けたっす!
えっとこの場合、立場が弱いのは明らかに雄の方な訳だし、仕方ないというかむしろ正当防衛というか……
これもまた、自らの遺伝子を残す為の工夫の一つって事だね。 さて、お兄さんもここでようやく気付いたんだけど…… これまで事例を挙げてきた自然界における少しムリヤリ気味の性交と、人間社会における強姦で、明らかに異なっている事が一つあると思うんだけれども何だか分かるかな?
何すかね〜?
鮭の行動も、蜘蛛の行動も自らの遺伝子を残すという目的にあくまで合致した手段なのに対して、人間の強姦はそう言う目的から一寸はずれた物を感じます。幼児に対する性暴力については特に。
そうだね、人間の性衝動が遺伝子を残そうとする本能に根差しているのは確かだけれども、現在の人間の性に対する嗜好は既に本能の司る範囲からかなり逸脱した物になっているのは確かだね。
人類皆変態。お兄さん良かったっすね、一人ぼっちじゃなくて。
でも、人間のその奇妙な性癖は、一体何によってもたらされた物なのかしら。
ネオトニー(幼児成熟)って聞いた事あるかな?
昔流行ったウーパールーパーの事?
そんな昔のヤキソバのCM良く覚えてんな。
そう、鰓を持った幼生のまま成熟し、生殖を行う両生類のウーパールーパーは身体的ネオトニーの最たる例だね。
「身体的」って事は、「精神的」ネオトニーも有るって事?
その通り! 分かり易い様に一番身近な生き物である犬を例にしてみようか。犬の品種は大型犬のビレネーから小型犬のマルチーズまで実に多彩だよね。これが本当に交配可能な同じ種なのかって位に。でも、両者の子犬を比べてみるとその違いは実は驚くほど少ない。また、ピレネーの子犬とマルチーズの成犬を比較するとその違いはピレネーの成犬と比較した場合より、絶対的なサイズや身体の部位のバランスの面で非常に少ない事も分かる。野生の狼を源とする犬の一族の中で、ピレネーは原種に近い成長をする物、マルチーズはそのネオトニーと言う事だね。
それで?
更に、ピレネーは非常に温和な性質の犬種だけれども、マルチーズは我が強く陽気で好奇心旺盛な、ある意味ワガママな性質という違いもある。でも、マルチーズの性格は子犬に限って言えば実は殆ど全ての犬種にあてはまる物だよね。つまり、マルチーズは身体的と同時に精神的にもネオトニーと言える訳だ。ところで子犬の持つ好奇心は一体何の為にあるか分かるかな?
生きる為の知恵、群れを作る事や狩の方法等を学習する為ですか?
ご名答! 生きる方法を本能として遺伝子レベルでインプットされた他の生物達とは違い、哺乳類のソレはその多くを学習でしか伝えられない、ある意味不確実極まりない模倣子という伝達手段に頼っている。子育てという種の存続にかかわる重要な行動さえもそうだ。子供の好奇心は模倣子を受け継ぐ手助けとして、生殖と並んで遺伝子レベルで刻み込まれた哺乳類のBIOSとも言える本能じゃないかと思うんだ。そしてこれが一番重要な事なんだけれども…人間は本質的に模倣子の容器として特化した、精神的ネオトニーの生物なんじゃないかって。
なんかお兄さん見てるとスゴク納得っす。今回のお題とどう繋がってるのかは良く分からないけど。
ここでやっと性の話に戻れるんだけれども。子犬は性行為の予行演習として同性間でも遊びとしてマウンティング(擬似性行動)を行うけれども、成熟するにつれてそれは次第に収まって行く。人間の性行動の多様さは、実はこの延長上にある物じゃないかと思うんだ。あ、断っておくけど「生殖の目的に合致しない性行為」全ては人間の未成熟さに起因する物で成熟と共に矯正されるべき物である、なんて事を言うつもりは全然無いからね。ホモもレズもその他多くの特異な性行為も全て、精神的ネオトニーに起因し模倣子によって媒介される物として知恵や文化と等価であり、むしろその一部であるというのがお兄さんの考えです。
ご高説ご苦労様。でもペドの肯定には一寸弱いかな?
結局、強姦って一体何なの?
本来、遺伝子(本能)が司ってきた生殖行動の根幹に、模倣子が割り込んだ事で生まれた歪といえば良いかな。これまで他の生物の性交の例を色々挙げて来たけれど、遺伝子のやりとりは根本的に特定の相手の存在を意識した行為なのだという事は理解してもらえた?
鮭の例で行くとあくまで卵子への受精が目的であって、ただ精子を放出したいだけじゃ無いって事っすね。
蜘蛛の場合も、生命の危険にさらされながらそれでも雄が目指したのは、雌への配偶子の伝達だった訳ですよね。
そのとおり。ところが新たに表舞台に登場してきた模倣子の方なんだけれど、こっちは一寸厄介なんだな。個体から個体へ伝達される点は遺伝子と同じだけれども、伝達が上手く行くかどうかは主に受け手の側に左右される事が多い。子供が模倣子を受け入れられる様、初めに好奇心が本能で与えられる事が、何よりその証左といえると思う。送り手の側が特定の相手を意識せず、無差別に垂れ流し出来てしまう事が模倣子の大きな特徴であり、伝達規範において遺伝子と対立する大きな問題点な訳だ。
一番最初、受精される側の同意に拘って失敗してしまったけれども、むしろする側が相手の存在をどれだけ意識しているかを強姦のボーダーにするべきなのかも知れないね。強姦は結局他者を巻き込んで行う自慰に過ぎないって事でどうかな?
受け手不在の無差別垂れ流しって、なんだかこのサイトみたいっすね。
いや、実際その通りだと思うよ。同じ模倣子のなせる技という意味でもね。
……ここってある意味○慰サイトだなあとは以前から思っていたんだけれども…… それはつまり自○サイトどころか実はレ○プサイトだったって事になっちゃうの?
天下御免のセクハラサイト?!
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ま め ち し き
有 名 な 光 学 メ | カ |
カ | ル ・ ツ ァ イ ス は 株 式 会 社 で は な く 実 は 財 団 法 人 で あ る
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