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Generation-L



 今回のネタはかなり愚痴っぽい所があるので、そういうのが嫌いな人は読まない方が良いと思います。正直、そう大したネタじゃ無いです。































 先日、十年来のファンである「ブルガリアン・ヴォイス」の公演を聴きにO台場へ出かけて来ました。公演情報を知ったのが前日深夜、夕刊のコンサート情報を読んでという非常にタイトなタイミングだったのですが、ネットのおかげで詳細情報と会場への交通も無事調べる事が出来て、ほっと一安心でした。会場の名が○○○(晒し上げは本意では無いので名前は伏せます)という、あまり聞いた事の無い所なのが一寸気になりますが、そんな事は別に些細な事です。少なくともその時はそうだったんです。


 翌日、O台場駅を降りて目的の会場へ向う途中、経路にあるショッピングモール内で早速ドツボにはまりました。上へ向うのは幾らでもあるのに、何故か下へのエスカレーターが中々見つかりません。国会図書館とか老舗の旅館とか、増改築を重ねて迷宮化した建物の類はむしろ大好きなのですが、ここはそれとは一寸違います。
 何の事は無い、経路をわざと分かり辛くして館内を歩き回らせ、客に無理矢理金を落とさせようとするセコイ魂胆が見え見えです。道路を隔てた海浜公園へ渡る歩道橋すら、モール館内へ一旦入らねば上れないという構造がかなりアレです。初めて訪れたO台場ですが、なんか分刻みで私的好感度が低下して行く一方です。


 かなり嫌な気持ちになりながらようやく会場に辿り着きました、とても小洒落た雰囲気のお店です。キャッチコピーも「アーバンなライブ&レストラン」と振るってます…………え、レストラン?! 自分にとって「ブルガリアン・ヴォイス」は食事をしながら生演奏を聴きたいタイプの音楽では無いので、正直この時点で気持ちは萎え萎えでした。でもめったに無い日本公演の機会ですし、ここは一つ気力を振り絞って入店する事にします。大枚6500円を払って。


 席に案内されメニューを開くと、やっぱりそういうお値段のお店です。まあそれは場所柄ある程度仕方ない事ではありますが。傍らには、公演のチラシと一緒に店についてのアンケート用紙も置いてありました。曰く、
「お名前、ご住所、Eメールアドレスを必ずご記入の上、お帰りの際レジへお渡し下さい。サービス料10%、OFFとさせて頂きます」
 いや、サービス料程度に目くじらを立てるつもりは全く無いのですが、一つだけお聞きしても良いでしょうか? お冷一つ出され無いのに支払わなければならぬ「サービス料」とは一体如何なる奉仕に対する対価なのか、現在時給750円で人生の負犬街道を驀進中の自分にも理解出来る説明をお願いします。自分の事はどうかゴミクズと呼んで下さって構いませんので。


 食事は既に済ませていたのでせめて飲み物でもと思っていたのですが、この時点で何か注文をする気は完全に失せました。こうなってしまうと席を確保する為とはいえ、開演の一時間半も前に入店してしまった事がなんとも悔やまれます。居心地の悪さに耐え切れなくなって、開演までの間一旦店の外に出る事が出来ないかどうか、思い余ってお店の人に尋ねてみる事にしました。お店のお姉さんはやさしくこう答えてくれました。
「申し訳ありません。映画館と同じで一旦ご入店なされますと途中の入退場は出来ない規則になっておりますので……」
 そうですか、規則では仕方がありません。しかし映画館と同じというならば、公演の真っ最中にも関わらず、遠慮無しに巨大な唸り声を上げている換気扇のファンとか、グラスを並べたサービスカウンターから聞こえるカチャカチャいう音とか、目の前を横切るウェイター&ウェイトレスさんとかは、一体どこの映画館の規則を真似したんでしょうか? そういう映画館は世の為にならないので、速やかに抗議行動を起してサービスの改善を要求するべきだと、自分は映画ファンとして思うのですが。


 開演の30分位前でしょうか、映写用のスクリーンがステージに下ろされて店内の照明が落ちました。公演の内容から察してブルガリアについてのプロモーション映像でも流れるのかと思い、スクリーンを見つめていると流れて来た音楽は……

「明○ブルガリアヨーグルト♪」

 CMを2連発で流し終えるとスクリーンはあっさりと片付けられてしまいました。以前の公演では、パンフに広告を載せたり、観客にヨーグルトのクーポン券が配られたりする程度で、大人な企業メセナの態度を見せてくれていたのに。
バブルが弾けてから一体何があった、明○乳業?


 ここまでアレな事が続くと普段の自分なら絶対ヘソを曲げて帰ってしまう所なのですが、そうせずに済んだのは隣の初老の男性のお陰です。回りの雰囲気に馴染めないのか始終不機嫌な様子で、開演までの殆どの時間をテーブルではなくロビーで過ごして居られました。テーブルに置かれた伝票を見ると、やはり自分と同じに何も注文していません。同志よ! あの方の存在に勇気付けられたお陰で、開演までの悪夢のような時間をどうにか耐える事が出来ました。本当に感謝しています。


 公演の方は本当に素晴らしい物でした。他の観客の方も公演が始まると大変マナーが良く、有りがちな携帯電話の着信音も全くありません。本当に「ブルガリアン・ヴォイス」が好きな方々が来ているんだなあと、心から嬉しく思いました。


 アンコールも終わりいよいよ最後の精算です。こんな所に個人情報を売り渡すのはまっぴら御免なので当然アンケートは無視、したい所だったんですが……え、注文無しでも一律のサービス料は払わなきゃいけないんですか? ええ、金の誘惑に負けてやむなく出す事にしましたよ、アンケート。○○市団栗山の歩野零二郎さん、貴方の名前を騙ってしまいました、申し訳ありません。もし実在して居られたら迷惑をお掛けしてゴメンナサイ。
 ……とかオチを付けられたならばネタとして大変美味しかったんですが、結局お金は払わずに済んでしまいました。少しだけ残念だったりします。もし、次の公演があそこであったとしたら、行くかどうか一寸微妙な所です。


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