いい写真伝導師の三脚ワンポイントアドバイス

その6

エレベーターを活用しよう

 アイレベルで撮影するとします。すなわち、立った状態の、自分の目の高さにカメラ を構えて写真を撮るとしましょう。その高さは、エレベーターを10cm程度伸ばして出せるように 三脚をセットします。自分のほしい高さは、エレベーターを10cmくらい上げて出すのです。
 エレベーターを一杯に上げても、アイレベルが出せないというのでは三脚が役不足です。 三脚の背丈に、撮影ポジションが制約を受け、三脚に写真を撮らされることになります。軽い三脚、 コンパクトな三脚という選び方をしますと、伸ばしても眼高が出せない場合がままあります。
 一方、アイレベルの出せる三脚というと、全高165cm以上が、目安になりましょう。これは 一般にいう軽くコンパクトな三脚ではありません。ほんの少し首をすくめるとアイレベルが確保 できる高さというなら、全高145cm見当になりましょうか?エレベーターを一杯に上げずに、眼 高が出せる三脚が高さにゆとりある三脚といえるのです。一般には軽く、コンパクトな三脚では、 アイレベル確保がおぼつかないといっていいでしょう。
(写真は全高165cmの三脚の一例、スリック「マスター」)
 ところで、エレベーターとは、昇降装置のことです。目的に応じて、カメラを上げたり下げた りして、ポジションを調整するからくりです。
 ファインダーを覗いて、「少し下げよう」「もうちょっと上げよう」と感じ、その意をうけて すぐポジションを下げたり、上げたりできないと、エレベーターを備えている意味がありません。
 そこでほしい高さは、エレベーターを10cmくらい上げて出しておきます。こうすると、ファイ ンダーを覗いて、いざ下げたいと思ったとき、即応できます。カメラポジションの調節をしやすい ように上げておくのです。それからもうひとつ、上げておいた方がよい理由があります。カメラを タテ長画面で使うとき、エレベーターが上げてあると、カメラボディーとエレベータークランク など、三脚の一部がぶつかりあいません。
 あらかじめ10cmもエレベーターが上がっていれば、ぶつかって、動かしにくいということが ないのです。三脚を意のままに使いこなせます。
 世間一般に「エレベーターは上げないほうがいい」と言われていますが、それは舌足らず、 不十分な注意です。
 正確には、「伸ばせば伸ばせる脚があるのに、それを伸ばさないで、代わりにエレベーターを 上げて高さかせぎをするのはよくない」ということです。また、エレベーターを上げると風が強い ときブレるから、上げないという話も耳にします。
 上げないのはご自由ですが、しかし、風が吹くからブレるというのは、三脚が機材に対して キャシャなわけで、風が吹いてもブレない三脚を選ぶのが正解です。

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