11 州の土地利用計画委員会と農地改革省の地域事務所を訪ねて

1)州の土地利用計画委員会で

  7月28日の午後には、セブ州の土地利用計画委員会の担当者の話を聞く機会をもてた。

  同人の話では、現在、西部セブ工業団地として開発されている地域のほとんどは、州政府が農業地域や緑地保全地帯に指定しており、本来は工業開発はできないところだったということである。

セブ州庁舎

  しかし、バランバン市は、その用途指定の変更を決議し、新たな用途地域指定の案を作成し、セブ州にそのように決定するよう求めているということである。

  本来の建前からすれば、州が土地利用計画を定める権限をもっているため、州の決定があるまでは、従前の土地利用計画が生きているので、工業団地開発はできないとのことだった。

  しかし、本件では、現実に、市の決定だけで利用が先行している。担当者は「計画には反するが、州にはその計画違反を是正する権限はない」と肩をすくめた。それを是正する方法としては、地元住民が裁判を起こすかもしくは別の行政手続きで争うかしかないようだ。

 

2)農地改革省の地域事務所で

  本件では、農地転用を認めた農地改革省の決定に対しては、地元住民たちは、農地改革に関する法令の違反として、不服を申し立てている。

  灌漑された農地については転用が基本的に認められないという法の定めを根拠とするものだ。アルピリとブアノイの水田の大部分は前述のように灌漑されており、それだけからすれば、住民たちの要求は認められそうにも思われる。

  しかし、地域事務所長の話では、「最終的には、大統領府の決定だ」ということのようだ。つまり、制度上、大統領府が認められば、いくらでも例外はあるということのようだ。

  農民たちの権利は、どう守られていくのだろうか。


(灌漑された農地にも開発は迫る)

戻る

次へ