・205系

クハ204-1以下10連  1985(昭和60)年、山手線に回生ブレーキ付の新車を入れるにあたり、201系と比べ大幅なコスト削減を目指して設計された通勤形電車です。国鉄では初めてのオールステンレス車体やボルスタレス台車の採用、制御方式も従来の直流直巻モータを使用できる界磁添加励磁制御を用いるなど、様々な新機軸を盛り込んだ車両で、山手線に続いて東海道・山陽緩行線に投入され、JR化後も阪和、横浜、南武、埼京、中央・総武緩行、京浜東北、京葉、武蔵野、相模の各線に投入され1500両弱の勢力に発展しました。
 増備途上では、動力関係では抵抗器の形状が変更されたり、モータが初期車の外扇形から低騒音の内扇形に、それと前後して室内の主電動機点検蓋が廃止されたりと、大小様々な改良が加えられています。
1998.10.20 上野駅にて撮影
 モハ205-300(外扇形)走行音[205-300.ra/231KB] 直接再生
 山手、東海道・山陽緩行、横浜線と南武線のうちの初回投入分には主電動機点検蓋があり、1989年製の埼京線向け車両の途中くらいで点検蓋がなくなっているようです。つまり、この録音は点検蓋のない車両でのものなわけで、製造時期から見ても新製時は内扇形のモータを搭載していたものと考えられます。そうは言ってもモータは検査のために工場に入ったときに予備品と交換されることも多いらしく、この車両は録音した時点では外扇形モータを積んでいます。
 音の特徴としては高速域で103系の後期形のモータを積んだ車両と似たような雰囲気になることが外扇形の最大の特徴です。ファンの構造が103系後期車と同様の二重式でブレーキディスクのような形をしたものであるためということのようです。そして、減速時には界磁制御による回生ブレーキを使用しているため25〜20km/h程度が電気ブレーキの下限速度であり、そこで断流器の「スコン」という音が聞こえてモータ音もほとんどなくなるというのも国鉄形車両ではあまりない独特の雰囲気と言えます(私鉄では界磁チョッパ車を多く製造してきたため非常に多いですが)。
 録音は京葉線稲毛海岸→検見川浜間です。
 モハ205-92(外扇形/異音車)走行音[205-92.ra/199KB] 直接再生
 こちらは外扇形モータを積んだ車両の中でも加速中や減速中に「ヒュゴゴ・・・」という系統の音をたてる車両の走行音です。たいていは検査を受けてからそれなりに時間が経過した車両でこういう音が聞かれるようです。まぁ、さすがに営団地下鉄のチョッパ制御車の一部のような激しさまではいかないようですが・・・。
 録音は山手線神田→東京間です。
 モハ205-240(内扇形)走行音[205-240.ra/203KB] 直接再生
 こちらは基本的に後期の製造分に搭載されている内扇形モータを積んだ車両の走行音です。205系についての資料を探した結果埼京線に投入されたモハユニットの237番以降の車両では主電動機点検蓋が廃止されているはずなのですが、この車両に乗ったときは間違いなく蓋が付いていました。ということでどこが境目かわからなくなってしまったわけですが、乗った車両は点検蓋の付いた内扇形モータの車両ということで、新製時には果たしてこういう組み合わせが存在したかどうか、興味のあるところではあります。
 モータ音の特徴としては起動時は外扇形と特に変わらないと思うのですが、高速域での走行音が圧倒的に静かになっているのがわかると思います。もっとも、録音した路線がスラブ起動ばかりの埼京線なのであまりよくわからないでしょうが・・・。
 録音は埼京線北戸田→戸田間です。
・その他の205系の姿
 関西地区の東海道・山陽緩行線で活躍するクハ205-35以下7連です。この路線ではスカイブルーのラインが入っているわけですが、過去には似たような姿の205系が京浜東北線でも走っていました。とは言っても、国鉄時代に製造された分と、JR化後でも山手線に投入された車両はドア部分の窓が小さかったため、これと京浜東北線向けの車両を全く同じ姿とするのは間違いだったりもします。
 山手線で主に活躍する車両に関しては、形態はこの写真のグループと同じで、色は一番上にある量産先行車と同じ、ということになります。
 1994.8.28 東海道本線京都駅にて撮影
 こちらは横浜線のクハ205-75以下7連です。103系時代の横浜線では山手線と同じ黄緑の塗装でしたが、205系投入の際にはこのような緑の濃淡を利用した2色のラインカラーとなっています。
 2000.4.29 東急田園都市線長津田駅にて撮影
 埼京線のクハ205-95以下10連です。この路線も103系時代は山手線と同じ塗装でしたが、205系投入時は走行区間が一部重複し、誤乗を招く可能性があるためか、濃い緑色のラインカラーとなりました。
 2000.9.9 新宿駅にて撮影
 こちらは総武・中央緩行線のクハ205-104以下10連です。近くに同一の塗装の路線がなかったこともあり、同線の103系や201系と同じ黄色のラインカラーとなっています。
 1999.1.4 総武本線錦糸町駅にて撮影
 こちらは京葉線のクハ205-111以下10連です。京葉線のラインカラーはこの赤のような、濃いピンクのような色で、205系はこの色で投入されましたが、なぜか103系などはスカイブルーのままです。もっとも、同じ色に塗られたら気持ち悪そうだからそのままでいいんですが・・・。
 ちなみに、この京葉線向けと、後に登場する武蔵野線向けの車両は前面形状が独特のものとなっています。
 2000.1.1 蘇我駅にて撮影
 こちらは阪和線で活躍するJR西日本独自設計の1000番代車、クハ204-1004以下4連です。客室からの前面展望性の向上のため(だと思う)、前面ガラスの仕切の位置を変え、助士側の窓を天地方向に拡大した、これまた独特の形態になっています。せっかくそのようにしても乗務員室のすぐ後ろに座席がないのが残念なところです・・・。
 1999.9.7 阪和線浅香駅にて撮影

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